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(-@∀@)気付くことには時間がかかりそうです



331 名前:(-@∀@)気付くことには時間がかかりそうです[] 投稿日:2011/01/10(月) 21:16:41.82 ID:tXEgvVzH0 [2/11]

从 ゚∀从「よっ、朝日! 帰るか?」

(-@∀@)「…………(また来たよ)」

太陽の光で焼けたであろう彼女の髪が、僕の頬を少しだけかすめる。それほどまでに距離を詰めて話す理由はどこにあるのだろうか。
僕は慌てて自分の身体を引っ込めて、帰り支度を始める。
彼女は「照れるな、照れるな」と弾けるような明るい声を出すと同時に、僕の肩を強く叩いた。

从 ゚∀从「なんだ? だんまりか? ん?」

(-@∀@)「痛いです……」

从 ゚∀从「えー聞こえなーい」

春から同じクラスになったこの人はやたらと僕をからかう。
放課後に教室で残って勉強していると、必ずやってくる。それもちょうど帰ろうかと思っているときにだ。

从 ゚∀从「準備終わったか? 帰ろうぜー」

そして勝手に一緒に帰る空気に持っていく。僕もまんまとそれに乗せられてしまうのが高校生になってからの日常だ。
彼女は誰に対しても、何でも、自分の好きにしたいようにする。傲慢、我侭、無邪気、すべての言葉が当てはまる。
普通は嫌われるような性格でも、彼女の整った容姿とどこかに感じる愛嬌のようなものをもってすれば、すべてが”チャラ”になってしまう。

恐ろしい世の中だ。
いつだって嫌われるのは……暗くて、地味で、常に勉強ばかりして、分厚い眼鏡をかけていている僕のような人間なのだ。
どんなに真面目に生きているつもりだって、嫌われるのは彼女ではなく僕だ。



333 名前:(-@∀@)気付くことには時間がかかりそうです >>300いえこちらこそすみません[sage] 投稿日:2011/01/10(月) 21:20:10.10 ID:tXEgvVzH0 [3/11]

中学二年のとき、初めて彼女ができた。

冴えない見た目で、運動オンチで、だからと言って今みたいに勉強が好きなわけではなかった。
平凡中の、平凡。そんな僕に彼女ができたのは、僕自身が一番驚いた。

川д川「あさぴん、今日おうちに来ない?」

貞子も僕と同様目立たない子だった。
真っ黒の長い髪が特徴的で、肌の色が以上に白い(というか、青白い)、そんな子だった。

でも、彼女の性格は抜群に良かった。
優しくて、僕のことをいつも気にかけてくれて、料理が上手で、ほんわかと笑う。

周りには彼女を可愛いという人間はいなかったけれど、僕からすればクラスのどの女の子よりも可愛かった。

川д川「……実はね、見てほしいものがあるの」

貞子は例のほんわかとした笑顔を僕に向けた。

付き合ってから半年ほどたったこの日のことを僕は未だによく覚えている。

334 名前:(-@∀@)気付くことには時間がかかりそうです[sage] 投稿日:2011/01/10(月) 21:22:38.44 ID:tXEgvVzH0 [4/11]

部屋に入って、少しだけ談笑をする。
控え目に肩を揺らす彼女が可愛いな、と思う反面、さっきの”見てほしいもの”が気になってしまっていた。

しびれを切らした僕がその話題に触れると、貞子は少しだけ困ったような顔をした。
そして自分の左腕を僕の目の前に突き出し、するすると制服の裾をまくり始めた。

川д川「実はね、これ…………ごめんなさい! 私、こんなことして! でも!」

川д川「……え? 何ってリスカだけど……あ、リスカ、知らない? ええと、なんていうか、自分で自分のこと傷付けるみたいなことで」

川д川「! うん、それは分っているの! でもっ、でも! 私、生きてても意味あるのかなって! 怖くて! 不安で……っ」

川д川「て、哲学者? いや、目指してないけど……。 そうじゃなくて! 私不安なんだよ……あさぴん、ちゃんと私のこと必要としてくれて……」

川д川「……うん、ちょっとね。 お風呂のときは沁みるかな」

川д川「夏? そりゃ長袖着たり、包帯巻いたり…………え、臭くなる? うん、そうだね、夏は蒸れるもんね……」

川д川「え! ちょっと、どこ行くの?! マキロン……付けてないけど、じゃなくて! いいから! 要らないから! ちょ、聞けって!」

川д#川「座って、いいから座れ…………あさぴん、なんか思ってた人と違う。 ごめん、今日は帰って」

そう言われたあと、いつの間にか僕は玄関の外にいた。
バタン、と荒々しくドアが閉まる音がいつまでも耳の中で鳴り響いていた。

この日を境に、彼女と僕の関係がおかしくなり始めた。

335 名前:(-@∀@)気付くことには時間がかかりそうです[sage] 投稿日:2011/01/10(月) 21:25:32.23 ID:tXEgvVzH0 [5/11]
その数週間後、僕はまた彼女の家を訪ねた。
部屋に入ると、金色の髪をワックスでがちがちに固めた細身の男がいた。
なぜだか貞子と仲良さそうに笑い合い、小突き合っていた。この状況がまったく飲み込めない。

川д川「あさぴん、話があるの……この人新しい彼氏なんだ。 だから別れよう」

( ^Д^)「そーいうことなんで」

信じられなかった。
全身に真っ黒な衣服をまとい、じゃらじゃらとうるさく揺れる銀の飾りを身に付け、高校生のように振舞う二十代後半のその男は気味の悪い笑みを浮かべている。

川д川「実はね、ニマニマ動画で知り合って意気投合したんだ! あさぴんなんかより……え? ニマニマ動画知らないの?」

(;^Д^)「えー……ニマニマっていう動画サイトだよ」

川д川「そうよ、ネットで知り合ったの! 悪い?
    それでもね、あんたより……どうやってって、サイト内にあるコミュで運命的に……あーもうっ、コミュニティーのこと!」

( ^Д^)「ホントばかだな、コイツ! しかもKYだし……はあ? 空気読めないヤツのことに決まってんだろ!
      ……いやだから、空気のK……ちが、kuukiのkだって!」

川д川「とにかく! あさぴんと違って、彼はリスカのことも認めてくれたし、いつだって私の望んでる言葉をくれるの。
    だから彼を選ぶね。 ばいばい」

川д川「あ、最後だから一言言うけど……あさぴん、人の気持ち分からなすぎ。 もう一回、小学校から国語の勉強しなおしたら?」

がつん、と頭に衝撃を受けた。
僕はのろのろと立ち上がり、何も言わずにその場を立ち去った。
僕が部屋の外に出た瞬間、ガチャン、と鍵が閉まる。彼女との繋がりが完全に切れた音だと思った。

336 名前:(-@∀@)気付くことには時間がかかりそうです[sage] 投稿日:2011/01/10(月) 21:28:51.72 ID:tXEgvVzH0 [6/11]

僕は何がいけなかったのだろう。

周りにひやかされたこともあった、クラスの女の子から根も葉もない貞子の噂を告げられた、友達には真剣に心配されたこともあった。
それでも、僕は彼女が好きだったから、すべてをはねのけた。

周りの声が聞こえないふりをして、変な噂を話す奴に注意して、意味のない心配をするアイツを怒った。

それなのに、僕の隣にはもう彼女がいない。

他の人もいない。誰も、いない。

それから僕は勉強に打ち込んだ。
初めは勉強したらもどってきてくれるかもしれない、なんて淡い期待があった。だけど、すぐにその気持ちはなくなった。

必死に勉強して、みるみるうちに成績があがるのが気持ち良かった。
いつも間にか、彼女のことなんてどうでもよくなった。

だけど、僕の中からあの言葉を消すことができない。

”人の気持ち分からなすぎ”

それはきっと今でも変わってないと思う。だって僕はまだ、彼女が僕を振った理由が分からないのだから。
勉強して変わったことといえば、異常なほど視力が下がり、分厚い眼鏡をかけるようになったことだけだった。

338 名前:(-@∀@)気付くことには時間がかかりそうです[sage] 投稿日:2011/01/10(月) 21:31:34.18 ID:tXEgvVzH0 [7/11]

从 ゚∀从「なーんだよ、ぽやっとして!」

(-@∀@)「別に……」

僕は今、彼女の気持ちが分からない。
なぜいつも彼女は僕と一緒に帰るのだろう。

何のとりえもない、ガリ勉でつまらない、嫌われ者の僕なんかに、なんで構うのだろう。
馬鹿にしているだけなのか、ただの暇つぶしなのか、分からない。

(-@∀@)「あの、」

从 ゚∀从「名前で呼びなさーい、はい、どうぞ! あ、知らないなんて言ったらぶちのめすぞ」

(-@∀@)「……高岡さん」

从 ^∀从「さんって! クラスメートじゃん! おもしろいなぁ、朝日は」

(-@∀@)「何で、僕にそんな構うの」

从*゚∀从「……な、何だそれ! それじゃ、まるで、わ、私が朝日のことす、好きみた」

(-@∀@)「ハインさんも、嫌われちゃうよ」

僕はそう言って席を離れた。早足で長い廊下を歩いていく。
じんわりと視界が歪む。自分で言った言葉に、なに傷付いているんだろう。
馬鹿だ、馬鹿だ、馬鹿だ。

339 名前:(-@∀@)気付くことには時間がかかりそうです[sage] 投稿日:2011/01/10(月) 21:33:59.90 ID:tXEgvVzH0 [8/11]

どん、

背中に大きな痛みが走った。
その瞬間に、僕の足は縺れて前方に身体が傾いていた。

从#゚∀从「なに言ってんだ!」

ぼてりと格好悪く転んだ僕の頭上から大きな声が響いた。

从 ゚∀从「そんな言い方……朝日が嫌われてるみたいじゃないか!」

その通りじゃないか、と心の声がいう。

从 ゚∀从「違うからな! 嫌われてないからな!」

彼女は僕の心が読めるのだろうか。

从 ゚∀从「お前、なんか卑屈すぎ! お前がそんな風に勘違いしているからおかしくなってんだ!」

(-@∀@)「…………勘違い?」

从 ゚∀从「朝日のことみんなすごいって言ってるよ。 頭いいし、勉強の教え方うまいし、意外に優しいし!」

(-@∀@)「意外に……」

从 ゚∀从「とにかくもったいないって! 次、そんなこと言ったらぶちのめすからなっ!」

彼女は人差し指で僕の額を強くつついた。
僕がゆっくりと頷くと、満足そうに笑って、僕の腕をひっぱりあげた。

343 名前:(-@∀@)気付くことには時間がかかりそうです[sage] 投稿日:2011/01/10(月) 21:36:17.34 ID:tXEgvVzH0 [9/11]

なんだか茫然としてしまって、気持ちと頭が今の出来事に対応できない。

从 ゚∀从「おら、帰ろう」

彼女の唇から真っ白の歯が顔を出した。
僕がやっとの思いで「うん」と返事をすると、彼女はひとつ頷いてスタスタと僕の前を歩いた。

从 ゚∀从「なー、明日の放課後は私にも勉強教えてよ!」

(-@∀@)「……いいけど、部活は?」

从 ゚∀从「部活? なんもやってないけど」

(-@∀@)「? じゃあ、今まで何してたの?」

从*゚∀从「え! えっと! そ、それは……」

頬をほんのり紅くした彼女が、僕の方をじっと見つめる。
なんか、なんだか、変な、空気。

从 ゚∀从「分かんねー奴だな」

彼女は呆れたように笑う。
僕の心臓はぎちぎちと音を立てて狭まっていった。

(-@∀@)(僕はまた……)

344 名前:(-@∀@)気付くことには時間がかかりそうです おわり[sage] 投稿日:2011/01/10(月) 21:41:53.07 ID:tXEgvVzH0 [10/11]

从*゚∀从「でも、そういうとこ好きだぜ!」

(-@∀@)「わっ」

そう言って僕の眼鏡を取り上げた。
視界がぼやけてしまって彼女の表情は完全に見えなくなってしまった。だけど、なんだかこちらを見てにやついている気がした。

( ・∀・)「なに、返してよ」

从 ゚∀从「こっちのが、男前じゃない?」

不意に放った彼女の一言に動揺する。僕は急いで顔を逸らした。
徐々に頬が熱くなるのが自分でよく分かる。

( ・∀・)「前見えない……」

从 ゚∀从「そんな目ぇ悪いのか? 仕方ないな、私がエスコートしてやるよ! 特別だぞ!」

( ・∀・)「いや、眼鏡を返してくれればそれでいいって」

彼女は僕の手をぎゅっと握る。
それはとても熱かった。

从*゚∀从「……なー朝日? 私ね、真面目な奴が好きなんだ。
  地味だって、目立たなくったって、頑張ってれば、そういうとこちゃんと見ててくれる奴って、結構いるもんだぜ」

喉にひっかかって出てこない言葉のかわりに、きつく握った彼女の手を必死に握り返した。

348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 22:02:51.01 ID:tXEgvVzH0 [11/11]
支援ありがとう
次はもっと頑張ります

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