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冬の終わりに鐘が鳴るようです



560 名前:冬の終わりに鐘が鳴るようです[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 17:23:03 発信元:202.229.177.6 [2/11]
冬。
積もった雪で、子供たちが楽しそうに遊ぶ広場。


('A`)「腹減ったなぁ」

その広場のベンチに、痩せて今にも死にそうな男が1人、横になっていました。
彼の名はドクオ。旅人のような装いですが、その服はぼろぼろで汚れています。

('A`)(引きこもりだった俺が、追い出されるようにして旅に出てからどれくらい経ったんだろう)

('A`)(あてもなくさまよっているうちに、大きな時計台の街にたどり着いた)

('A`)(俺の命をつないできたのは、俺の姿を哀れに思った人たちからのわずかなお金)


('A`)(それももう尽きた)



('A`)(あぁ、寒いなぁ)


564 名前:冬の終わりに鐘が鳴るようです[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 17:35:12 発信元:202.229.177.6 [3/11]
( ^ω^)「そんなことはどうでもいいお。僕、いや僕たちは、君を保護したんだお」

ブーンは、そういうとベッドの横にあった椅子に座りました。

('A`)「保護…?」

( ^ω^)「そうだお。でも詳しい事はご飯を食べてからにするお」

( ^ω^)「ショボンー、ドクオが起きたおー。ご飯持ってきておー」

扉の向こうに、ブーンが呼びかけました。



(´・ω・`)「そんなに大声上げなくても聞こえるよ、ブーン」

少し時間が経った後、そう言って1人の青年が入ってきました。
落ち着いた雰囲気を持つ青年だなぁ、とドクオは思いました。

(´・ω・`)「がつがつ食べると体に悪いから、ゆっくりと食べるんだよ」

ショボンはベッドの横に朝食を置き、ブーンの隣の椅子に座りました。

('A`)「あ、ありがとうございます」

566 名前:冬の終わりに鐘が鳴るようです[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 17:41:07 発信元:202.229.177.6 [4/11]
( ^ω^)「いきなりこんなところに連れてきて、訳わかんないって顔してるおね」

ドクオは、こくこくとうなずきます。

( ^ω^)「ここは保護施設なんだお。行き場のない人に、部屋と食事と簡単な仕事が提供されるんだお」

('A`)「保護施設?」

( ^ω^)「そうだお。僕たちは、この街で死ぬ人を少しでも減らしたいんだお」

( ^ω^)「僕たちが街を見回ってたら、ドクオがベンチで横になってたんだお。
      この街の人でもなさそうだし、なにより死にそうだったから保護したんだお」

('A`)「そうだったんだ。ありがとう」

( ^ω^)「どういたしましてだお」


( ^ω^)「そういえば、ドクオはこの街の時計台の話は知っているかお?」

('A`)「ううん、知らない」

( ^ω^)「そうかお。じゃあ、この街の時計台の秘密を話すお」

そう言って、ブーンはゆっくりと語り始めました。

567 名前:冬の終わりに鐘が鳴るようです[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 17:44:23 発信元:202.229.177.6 [5/11]
***
この世界の真ん中に、不思議な街がありました。
不思議な街の真ん中に、大きな大きな時計台。

時計には針が一本しかありません。
数字はどこにもありません。

それでも、その時計は世界にとって大事なもの。
なぜなら、時計には数字の代わりに「季節」が刻まれていたからです。


3時の場所には、桜の絵。
6時の場所には、ひまわりの絵。
9時の場所には、もみじの絵。
12時の場所には、雪だるまの絵。

時計の針は、毎日少しずつかちり、かちりと動きます。
そして、その針が絵と重なったとき。


りぃん、ごぉん。
時計台の鐘が鳴りました。

571 名前:冬の終わりに鐘が鳴るようです[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 18:13:08 発信元:202.229.177.6 [6/11]
( ^ω^)「窓の外に時計台が見えるお?あの針が桜の絵を指したら、鐘が鳴って季節が変わるんだお」

('A`)「へぇ、そうなんだ…」

とは言っても、なかなか信じられることではありませんでした。



そのとき、こんこん、とドアをノックする音が聞こえました。

(´・ω・`)「やぁ。片付け終わったよ」

( ^ω^)「おつかれだおー」


(´・ω・`)「ドクオ、これからこの建物を一通り案内したいと思うんだけど、どうかな?体調は大丈夫?」

('A`)「うん、たぶん大丈夫」

( ^ω^)「じゃあ、僕についてきておー」

('A`)「わかった」

こうして、ドクオはブーンやショボンと共に建物の中を回ることになりました。
建物はそれなりの広さがあり、居室や談話室、図書室や大浴場までありました。


体力があまりないドクオは、建物を案内されてぐるぐると回っているだけでも少し疲れてしまいました。

575 名前:冬の終わりに鐘が鳴るようです[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 18:26:19 発信元:202.229.177.6 [7/11]
***
二人は、途中でショボンが持ってきたサンドイッチを食べ、日が傾くまでずっと話していました。
ブーンは、この施設に来たきっかけや、ここにいる人たちのことを話しました。
ドクオは、今までの旅のことや、旅を始める前のことを話しました。

ドクオは、ブーンにすっかり心を開いたようでした。




その日、ドクオは幸せな気分で眠りました。


幸せが長く続かないことも知らずに。

***
それから数日間、ドクオは施設横の畑で皆と農作業をしたり、ショボンのおいしいご飯を食べたり、
施設の人たちと話をしたりして過ごしました。
それは、ドクオにとって今までで一番幸せなひと時でした。


そんな日々を過ごしていたある日、ブーンが朝食の席にいないことに気づきました。

しかし、朝食を食べた直後急に眠気が襲ってきたので、ドクオはブーンを探すことはせずにばたりとベッドに倒れこみ、そのまま眠ってしまいました。

586 名前:(またさるった…)冬の終わりに鐘が鳴るようです[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 19:01:04 発信元:202.229.177.6 [8/11]
体と頭はもう1人が受け止めました。
受け止めた人間が二言三言つぶやくと、ドクオから吹き出た血はぴたりと止まりました。

(´<_` )「今日も切れ味が最高だ。流石だな兄者」

( ´_ゝ`)「今日も止血の呪文が完璧だ。流石だな弟者」


(´<_` )「よし、運ぶか。兄者は頭を頼む」

弟者は、兄者に向かって頭を放り投げました。
その頭には、驚きの表情が張り付いていました。

( ´_ゝ`)「把握した」

兄者はそれを受け止め、弟者が体を背負い終わるのを待ちます。

(´<_` )「よっ…と。今回の体は軽いから楽だな。では行こう。クール様が待っている」

( ´_ゝ`)「あぁ」

二人は、時計台内部の階段を駆け上がっていきました。


( ^ω^)「二人とも、グッジョブだお」

一連の動作を黙って見ていたブーンも、二人の後を追って階段を上がっていきました。

589 名前:冬の終わりに鐘が鳴るようです[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 19:04:08 発信元:202.229.177.6 [9/11]
***
時計台の一番上、大きな鐘のある部屋に、白い着物を着た美しい女性が立っていました。
女性は、手すりにもたれながら街を見渡しています。

( ´_ゝ`)「「クール様、お待たせいたしました」」(´<_` )

クール様、と呼ばれた女性の背後から、兄弟の声がしました。階段を駆け上がったせいでしょう。少し息が上がっています。
二人はドクオを床におろし、女性に向かって恭しく頭を下げました。

( ´_ゝ`)「「こちらが今回のいけにえでございます」」(´<_` )

川 ゚ -゚)「ふむ。ずいぶんと微妙な顔をした奴だな」

(´<_`;)「それはブーンとショボンに言ってください」

川 ゚ -゚)「まぁ私は顔など気にしないが」



――では、いただきます

クールは、大きく口を開けました。
それこそ、化け物のように大きく。


クールは、ばりばりとドクオを食べていきます。それこそ、服も髪も骨も、何もかも。
始めは白かった服が、みるみるうちに赤く染まっていきます。

591 名前:冬の終わりに鐘が鳴るようです[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 19:07:15 発信元:202.229.177.6 [10/11]
***
川 ゚ -゚)「ごちそうさま。今回もうまかったぞ」

( ´_ゝ`)「「ありがとうございます」」(´<_` )

( ´_ゝ`)「「では、今回もよろしくお願いします」」(´<_` )

川 ゚ -゚)「あぁ、任せておけ」



そのとき、時計台の針がかちりと音を立てて、桜の絵を指しました。


りぃん、ごぉん。
時計台の鐘が鳴りました。

クールは、ふわりと浮かび上がると、街中を駆け巡っていきました。


***
時計台の鐘の音。

それは、過ぎ行く季節を惜しむ音。
それは、来たる季節を歓迎する音。



そして、犠牲になったいけにえを弔う音。

596 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 19:15:34 発信元:202.229.177.6 [11/11]
以上です。

お題は、
・桜の実
・雲
・時計台の鐘

でした。かなり前にもらった記憶があります。


では、長々と失礼しました。

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