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名探偵は死んだ



331 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 19:20:28 発信元:114.48.142.181 [2/23]
シャーロック・ホームズも
アルセーヌ・ルパンも
エルキュール・ポアロも

全ては過去の人だ

彼らは、類まれなる推理力と観察力を発揮し
数多の難事件を解決してきたが
科学の発達しきったこの現代において
探偵という職業は、何の意味も成さなくなっていった

勿論、いまだ彼らに憧れて
探偵になろうとする輩もいる
だが、彼らの訪れる依頼のほとんどが
浮気調査や、失踪したペットの捜索など
彼らが夢見ている、華やかな依頼が来るなんて
まず、ありえないのだ






332 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 19:22:08 発信元:114.48.142.181 [3/23]
けれど、そんな今
一人だけ、名探偵と呼ばれている物がいる
彼の名は、ジョルジュ・ジョー・ストーン
彗星のごとく、突然現れ
科学捜査の手の及ばなかった難事件を
鮮やかな手腕で解決した男だ
彼が解決した、ハインリッヒ博士殺害事件以降も
さまざまな事件を解決し
市民からは、ホームズの再来と呼ばれ
熱狂的な支持を得て
警察からは、現場荒らしとして
忌み嫌われている

そんな彼を、僕が始めて会ったのは
政治家である、叔父の懇親会に
父親の付き添いで招かれた
18歳の時のことだった


334 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 19:24:13 発信元:114.48.142.181 [4/23]
豪勢な沢山の料理に目が眩んだ親父が
早々にいなくなり、暇を持て余しだした僕は
フォークなんてくわえながら
何か美味しそうな物は無いだろうか
なんて、間抜け面でぽてぽてと立ち歩いていた

なんも、ないなあ

くわえていたフォークを、からんと手持ちの皿に落としたところで
  _
( ゚∀゚)「行儀が悪いな、お前」

ニヤニヤと、まるで同類を見つけたと言わんばかりの顔で
声を掛けてきた男がいた

そうでもないんじゃない?


335 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 19:26:15 発信元:114.48.142.181 [5/23]
しかし、この懇親会自体に端っから興味の無かった僕は
素っ気ない態度で応じ、これ以上絡まれたら堪らないと
その場を逃れようとしたが
  _
( ゚∀゚)「まあ、待てよ
     俺もなんだ 」

そう言って、右手に持っていたスプーンを
ひょいと投げた

彼の投げたスプーンは緩やかな半円を描き
僕の足元に落下する
  _
( ゚∀゚)「お前、名前は?」

スプーンに気取らている間に
彼は、僕のパーソナルスペースに易々と詰めてきた
こうなると、もう逃げられない

336 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 19:28:14 発信元:114.48.142.181 [6/23]
  _,
( ・∀・)「モララー
      モララー・フィッツベルグ」

少々、眉間にしわが寄ったかも知れないが、致し方ないだろう
  _
( ゚∀゚)「フィッツベルグ?
     あいつの息子か?」

叔父と同じ姓だから、こういった場ではよく間違えられる
これにも、慣れた

( ・∀・)「いや、彼の甥だよ」
  _
( ゚∀゚)「へえ、そうか
     兄弟なんていたのか、あいつ」

( ・∀・)「で、貴方は?」


337 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 19:30:13 発信元:114.48.142.181 [7/23]
こちらが名乗ったのだから、そちらも名乗るべきだろう
言外にそう込めた
  _
( ゚∀゚)「俺か?」
  _
( ゚∀゚)「俺は、ジョルジュ
     ジョルジュ・ジョー・ストーンだ」

( ・∀・)「ジョルジュ・ジョー・ストーン?」

聞いた事があるような……
なんだったっけか
  _
( ゚∀゚)「まさか、俺を知らないのか?」

自信満々に言い切った手前、補足をしにくかったのか
彼は僕に問うた


338 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 19:32:13 発信元:114.48.142.181 [8/23]
( ・∀・)「喉までは出てるさ」

正直に答えたところで、彼は
大袈裟なまでに肩を竦めた
  _
( ゚∀゚)「まったく 俺もまだまだってことか
     ……ホームズの再来って言えば、分かるか?」

……!
  _
( ゚∀゚)「よし、覚えがあるって顔したな、今」

(;・∀・)「名探偵? あんたが、本当に?」
  _
( ゚∀゚)「マジマジ、大マジよ
     証拠が欲しいか? 」

( ・∀・)「いらないよ
      ……でも、なんでこんなところに?」
  _
( ゚∀゚)「お前の叔父さんに呼ばれたんだよ、友人と一緒に
     ロマネスク伯爵っているだろ、そいつとな
     飯食うだけでいいから、一緒に来てくれって  」


339 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 19:34:18 発信元:114.48.142.181 [9/23]
成る程ね
名探偵の人気は、絶大だ
次の選挙も近いし、利用するに越した事はないか
つくづく、嫌な人だ、叔父は

一人でそう得心していると

  _
(;゚∀゚)「あちー…
     それにしても、喉が渇いたな
     モララー、ちょっとワインでももらって来てくれよ」

( ・∀・)「なんで僕が」
  _
( ゚∀゚)「まあ、いいじゃねーか
     お前のが、近いんだから」

たった半歩の差だろうに
そう思いながらも、何故か押し切られた僕は
飲み物を受け取りに行く


341 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 19:36:08 発信元:114.48.142.181 [10/23]
( ・∀・)「ワインと、適当なジュースでも、貰えないかな?」

(*゚∀゚)「坊ちゃん、まだ未成年だろ?
    ワインは駄目だ       」

顔見知りのツーはそう言った

( ・∀・)「ワインは僕が飲むんじゃないよ
      ジョルジュがね、どうしてもって聞かないんだ」

(*゚∀゚)「ジョルジュって、名探偵の?」

( ・∀・)「そ」

(*゚∀゚)「ふーん、ちょっと待ってな」

? 声が固くなった?
まあ、気のせいだろう

などと、トリップしているうちに彼は戻ってきた

(*゚∀゚)「はいよ、分かりやすいように、赤いのがワインな
    高いやつらしいから、坊ちゃん飲むなよ?    」

( ・∀・)「分かってるって、飲まないよ」

好きじゃないしね


361 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 20:10:12 発信元:114.48.142.181 [11/23]
さて、ジョルジュは、っと

……いた
先程の場所から変わらずに
ニヤケ面で突っ立っている

( ・∀・)「持って来たよ」
  _
( ゚∀゚)「おう、助かった」

ぐびり、と一口でワインを飲みほした
もう少し、味わって飲めよ
  _
( ゚∀゚)「いや、味わったって
     飲んだ事のない、変な味がした」

顔をしかめながらジョルジュは言う

( ・∀・)「高いやつらしいからね
      そんなもんなんじゃない?」
  _
( ゚∀゚)「そうか」

適当な相槌が聞こえた

366 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 20:15:14 発信元:114.48.142.181 [12/23]
しばらく、ジョルジュと他愛の無い話をした
ジョルジュと僕の共通の趣味であるクレー射撃の話や
今日の料理の話、ロマネスク伯爵の事など
本当に、取り留めの無い話ばかりだ
ちなみに、どうでもいいことだが
僕にクレー射撃を教えてくれたのは、叔父だ

( ・∀・)「しかし、いつになったら終わるんだか……」
  _
( ゚∀゚)「全くだ」

そんな風に二人でぼやいていると
不意にアナウンスが入った
よく通る声だ



371 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 20:20:48 発信元:114.48.142.181 [13/23]
『次に、ロマネスク伯爵よりバイオリンの演奏がございます』
  _
( ゚∀゚)「なんで、バイオリン演奏?
     しかも、ロマってお前の叔父と仲良かったか?
     こんなことを頼まれるくらいに       」

( ・∀・)「ダンスでもやるんじゃない?
      それに、懇親会と言う名の立食パーティーみたいな感じだしね、これ
      仲が良いアピールしとくと有利なんでしょ、きっと その辺は知らないけど
      政事には興味ないしね                               」

軽口の応酬


372 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 20:25:23 発信元:114.48.142.181 [14/23]
その間にも、伯爵が舞台上の席に着いて
バイオリンを構える

弓が弦に触れようとした、瞬間

視界が闇に包まれた

なんだ? 停電か? と
訝しむ間も無く

響き渡る、銃声

(;・∀・)「!?」

瞬時に明かりが戻る

『どうして、停電したんだ?』

『さっきの銃声はなんだ?』

会場が一気に騒がしくなる
更に、悲鳴が上がった
舞台上からだ

『伯爵が、伯爵が!』

要領の得ない、緊迫した叫び
けれど、何があったのか
推測するには、充分だった


377 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 20:30:21 発信元:114.48.142.181 [15/23]
  _
(;゚∀゚)「撃たれたか!」

いち早く、ジョルジュが駆け出し
舞台へ飛び上がる

遅れて、駆け上がった僕は
立ち尽くすジョルジュに、声を掛けた

(;・∀・)「伯爵は……」

目を閉じ、ゆるゆると首を振るジョルジュ

銃弾は眉間を貫いたらしい

伯爵の死で、更に騒がしくなる会場

そこに、誰かの声が飛んだ

『名探偵がいるんだろ! 犯人を捕まえてくれ!』

悲壮感に溢れた叫び
  _
( ゚∀゚)「俺の仕事は犯人の確保じゃなくて、謎解きなんだけどな……」

諦めたように呟いたジョルジュだが
誰の耳にも届かずに消えたのは、明白だった


382 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 20:35:10 発信元:114.48.142.181 [16/23]
  _
( ゚∀゚)「では、一つ
     お願いがあります
     どうか、その場からお動きにならぬよう、お願いします」

朗々と、どこか芝居がかった調子でジョルジュは言った

多少の戸惑いはあったものの、名探偵の言葉なら、と
皆、動きを止めた

それを横目に、遺体の検分を始めるジョルジュ
  _
( ゚∀゚)「額に一発
     少し傾いてるな
     口径はやや、大きい、か?」

たった、それだけ呟くと
舞台から、叫んだ
  _
( ゚∀゚)「私から見て、右手側にいらっしゃる方々
     貴方々は、ご自由にして下さい
     左手側にいる方々は、もう少々お待ち下さい」


385 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 20:41:05 発信元:114.48.142.181 [17/23]
10分程経っただろうか
半数の人間、右手側にいた人間は
既に会場を後にし、控室に向かった
警察もそろそろ到着するらしい

( ・∀・)「ジョルジュ、どうだい?」

僕が尋ねると、彼は
分かったよ、とだけ言った

名探偵の名は伊達じゃないらしい
もう目星がついたなんて
  _
( ゚∀゚)「様々な情報を統合した結果さ」

あくまで、クールにジョルジュは言う
  _
( ゚∀゚)「銃創の角度、若干、右になっているだろう
     しかも、貫通している
     そうなると跳弾はありえない
     だからは舞台右手側から撃たれた証だ
     次に、口径
     それ程、大きくはない
     ぎりぎり、懐に隠し持てるサイズだ
     女性は胸元の開いたドレスばかりだからね、隠し持てはしない
     最後に、銃撃が起こった瞬間だ
     停電した、真っ暗闇
     その中で正確に額を撃ち抜いてる
     射撃の腕が相当なものじゃないと、これは無理だ       」

387 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 20:45:12 発信元:114.48.142.181 [18/23]
(;・∀・)「つまり、犯人は……」
  _
( ゚∀゚)「そう、お前の叔父以外、有り得ない
     残った人の中ではな
     他に該当する人がいない以上、確定的だ  」

  _
( ゚∀゚)「何も言うな」

そう言ってジョルジュは、僕に背を向けた
  _
( ゚∀゚)「犯人が分かりました
     これは、今までにないくらい非常に簡単なものでした」

会場がどよめく

スッと、ジョルジュの腕が上がる
  _
( ゚∀゚)「犯人は――――




                 しゃk――ゴフッ」


392 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 20:50:16 発信元:114.48.142.181 [19/23]
何かを嘔吐する音がした
嫌な予感がする

ジョルジュを見た
ふらつき、己の吐き出した赤に
沈み込んでいく

ゴトン、と倒れ伏し、動かなくなるジョルジュ
駆け寄り、声を掛けると
  _
(  ∀ )「ワ……イン…か や…られた……ぜ」

生気が失せた顔
動かない肢体

ああ、ジョルジュは死んだんだ、と
誰に言われるでもなく理解した

到着した警察になんと答えたか、覚えていない
ただ、彼らはろくな捜査もせずに
二人の遺体を運び出していった

393 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 20:55:13 発信元:114.48.142.181 [20/23]
叔父が一人の偉そうな警官と話しているのは、辛うじて覚えていた
お互いにとっての邪魔が減った

つまり、そういう事だ

トランク一杯の紙幣と二人が、屋敷から
運び出され、いなくなった時
会場には、祝福の声が飛び交う

皆、グルだった

(  ∀ )「何も

      言いませんし、見てません」

こちらにやってきた、叔父にそう答えると
彼は満足そうに笑い、僕にも
大量の紙幣を寄越して、言った

(`・ω・´)「そう、それでいいんだ」

何かが聞こえた


396 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 20:59:45 発信元:114.48.142.181 [21/23]
( ・∀・)「――――っと、まあこんなもんかな」

あれから、十数年
叔父から受けとった、金を使い、僕は作家になっていた
故郷は例の事件の翌年に捨て、今は海を隔てた地で暮らしている

( ・∀・)「んー、疲れたなあ」

ここのところは、しばらく
これに集中していたから、ろくに休みを取っていなかったっけ

ζ(゚ー゚*ζ「モララー、出来たの?」

デレが言った

( ・∀・)「ああ、出来たよ」

僕の担当者であり、妻でもある彼女とは、もう長い付き合いだ

ζ(゚ー゚*ζ「あ、そうだ
      書名とかって、決まってるの?」

( ・∀・)「ああ、決まってるよ
      始めっからね   」

ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、教えてくれない?
      本社に送っちゃうから  」

( ・∀・)「ああ、いいとも
      コイツの書名は――――

397 名前:名探偵は死んだ[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 21:00:46 発信元:114.48.142.181 [22/23]







                                「名探偵は死んだ」






                                                                              終わり


398 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 21:01:53 発信元:114.48.142.181 [23/23]
以上で、投下は終わりになります
沢山の支援、ありがとうございました!

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