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('A`)正しさと問題のようです


248 名前:('A`)正しさと問題のようです [] 投稿日:2010/11/21(日) 23:27:43 発信元:111.86.142.26 [1/3]
暗い場所だった。
とても暗い。
でも自然と道は覚えていた。
電灯は無いのに、細い田んぼ道が一本だけ。
ぼうっと蛍のように光っていた。
('A`)

俺はなぜ歩いているのだろうか。
この道はどうも土ではないらしく。
どろどろと、僅かに流動しながら、しかし表面は土のように固く、足に絡むこともない。
('A`)「どこだ、ここは」

呟いてみたが、誰からも返事はない。
それどころか、ここには俺の呼吸と、心臓の音しかない。
この田んぼ道らしき道を足は勝手に進んでいく。



249 名前:('A`)正しさと問題のようです [] 投稿日:2010/11/21(日) 23:32:24 発信元:111.86.142.25 [2/2]
頭の中でどこかこの道を進まねば、と思うのだ。
いくら歩いたかはわからない。
一分、いや五分、いや一時間かもしれない。
しかし

('A`)「行き止まり?」

道は途切れていた。
困った、俺は進まなくてはならないのに。
道は完全に消え、足を踏み出そうとしたその先は完全に何も見えない、暗闇だった。
( ・∀・)「お困りですか?」

('A`;)「わっ!?」

途切れた道の向こう、暗闇から男が現れた。
黒いスーツに黒い靴、黒いスーツケース。
こんな場所じゃなかったら、葬儀屋にも見えたかもしれない。



251 名前:('A`)正しさと問題のようです [sage] 投稿日:2010/11/21(日) 23:37:21 発信元:111.86.142.17 [1/2]
( ・∀・)「お困りですよねぇ、道が途切れてしまった、困った困った、いやいや」

葬儀屋は、ははは、とさして困っていないように笑った。
('A`)「俺は進まなきゃいけないんだ」

( ・∀・)「まぁまぁそう言わず、ちょっとゆっくりしましょう」

葬儀屋はスーツケースを開けた。
空っぽに見えた。
( ・∀・)「それ!」

男がカバンをひっくり返す。
すると、汚れを洗剤が流すように暗闇が真っ白に変わっていく。
それは水紋のように広がり、数メートルほどの円を作った。



253 名前:('A`)正しさと問題のようです [sage] 投稿日:2010/11/21(日) 23:41:03 発信元:111.86.142.22 [2/3]
( ・∀・)「ささ、こちらですよ」

男は強引に俺の腕を引っ張り、円の中に入れてしまった。
('A`;)「ちょ、ちょっと」

( ・∀・)「さ、ここならもう歩かなくても平気ですよ」

言われてみれば、歩かなければという漠然とした使命感は消えていた。
代わりに重く鈍い痛みが足にかかる。
('A`;)「うわっ!」

立っていられず、ぺたんと座ってしまった。
( ・∀・)「歩きすぎですよ、まぁそのままでいいです。少しお話をしましょう」

優男もそのまま地面に座った。
( ・∀・)「人間ってのは、どこまで許されると思います?」

('A`)「は?」


255 名前:('A`)正しさと問題のようです [sage] 投稿日:2010/11/21(日) 23:46:10 発信元:111.86.142.21 [2/2]
( ・∀・)「実にトロいのですが、最近の人間はやっと自らを保ってきた道徳とか宗教と、自らを高めてきた科学技術のズレに気づきました。例えば…」

('A`)「環境破壊とか、クローンとかですか?」

( ・∀・)「!……ええそれらに代表される科学と人間のズレです」

優男は驚き、ニヤリと笑った。
( ・∀・)「環境問題はかなり大々的に騒がれていますが、すでに解決法は出ています。実行するかしないかはさておき、解決法をちゃんと見つけられたことは良いことです。しかし解決法、答えが出ていない問題も多い」

256 名前:('A`)正しさと問題のようです [sage] 投稿日:2010/11/21(日) 23:49:01 発信元:111.86.142.20 [1/2]
彼の声は心に溶け何故か、素直に聞くことができた。
( ・∀・)「十歳の子供は人間ですか?」

('A`)「もちろん」

( ・∀・)「八十歳のお婆さんは?」

('A`)「当たり前です」

( ・∀・)「生後二ヶ月の赤ん坊は?」

('A`)「当然」

( ・∀・)「胎児は人間ですか?」

('A`)「ええ」

( ・∀・)「それらの理由は?」

('A`)「え、だってどれも成長した、もしくはすれば人間じゃないですか。遺伝子でも証明できる」

( ・∀・)「確かに、それらは人である以上、それを殺すことは殺人ですよね?」

('A`)「はい」

257 名前:('A`)正しさと問題のようです [sage] 投稿日:2010/11/21(日) 23:52:07 発信元:111.86.142.22 [3/3]
( ・∀・)「ふむ。なら受精卵は人ですか?」

('A`)「…人です。遺伝子情報とかが人間のものだし、成長すれば人になる」

( ・∀・)「ふむふむ。着床前診断というものがあります。知ってますか?」

('A`)「一応、名前は」

( ・∀・)「まぁ受精卵の一部を取り出して検査するって考え方なんですよ。検査でその受精卵から育つ子がどんな病気があるのか無いのか調べたりできるんです。流産の可能性も調べられます。また妊娠の確率も高まります。」

('A`)「いいこと、じゃないんですか?」

( ・∀・)「それはどうでしょうか?」

('A`)「だって病気があるってわかったら適切な対応ができますし、何も異常がなければ、親も安心して産める」

258 名前:('A`)正しさと問題のようです [sage] 投稿日:2010/11/21(日) 23:55:35 発信元:111.86.142.26 [2/3]
( ・∀・)「ははは、ご冗談を。受精卵の段階でわかるのは障害の有無、遺伝的重病の有無、流産の有無です。流産は回避不能。遺伝的重病は、なかなか治せないんですよ」

('A`)「じゃあ…どうするんです?」

( ・∀・)「決まってるじゃないですか。それは『失敗作』として廃棄ですよ。苦労して産んだ子が、どうしようもなく苦しみながら生きるなんて親としても嫌でしょう。それに受精卵の状態だから母体への負担も少ない」

('A`)「廃棄って!…そんな!それも命なのに『失敗作』なんて」

( ・∀・)「命の重さとやらが容姿や年齢で判別されてはいけないと、人間たちはそれを『正義』といいます。矛盾ですね、あぁでも適者生存って言葉もあります」

('A`)「適者生存?」

( ・∀・)「スペンサーの言葉です。生物は外界の状況に最も適したものだけが繁栄する。適さないものは淘汰される」

('A`)「人間も、同じと?」


260 名前:('A`)正しさと問題のようです [sage] 投稿日:2010/11/21(日) 23:57:56 発信元:111.86.142.19
( ・∀・)「自然界か否かの違いですよ。人間だけの自然、つまり社会は不適合者に対して極めて冷たい。社会の重要な役割を担えず消えていく方が多い。自然淘汰と似てませんか?」

('A`;)「でも、それじゃみんなが幸せになるようにって作った社会の意味が無い」

( ・∀・)「おお、なかなか鋭いですね。ホッブズは自然状態を極めて危険な状態、明日の命もわからない動物たちの自然と変わらないとしました。それを平和にするために社会や政府があると。ロックもルソーも前提こそ違えど社会、政府があれば大丈夫という点で似ています」

('A`)「なら…なら技術の進歩で、遺伝病を治したり、ならないようにするしか」

( ・∀・)「また鋭いですね、社会制度を変えるのも手ではありますが生物としての人間、その考え方はなかなか変わらないでしょう社会的矛盾もまた、なかなか変えづらいものです。長い時間がかかるでしょう。その間にも名前もつけられなかった命が廃棄されていく」

('A`)「あとは着床前診断を止めるとか」

( ・∀・)「それはさらに難しいですよ。人間は手に入れた技術を決して手放さない。自身を焼き払う核を持ちながら捨てられないのと同じ。さらに確かに着床前診断は



262 名前:('A`)正しさと問題のようです [sage] 投稿日:2010/11/22(月) 00:02:12 発信元:111.86.142.20 [2/2]
その後の対策として必要です。害ばかりではないのですが、害を無視できない」


('A`;)「社会の…今の矛盾した社会の維持の為に?」

( ・∀・)「ははは、社会が崩壊したら着床前診断は消滅しますが着床前診断で死ぬ命よりもはるかに多い命が死にます。大問題ですよ」

('A`)「社会の改善も平行しつつ技術を進める、理想的ですか?」

( ・∀・)「まぁ私が考えた中ではそれがベストです。あくまでも矛盾社会に従わないとなにもできない。ギリギリのベストアンサーですね」

ははは、とまた彼は乾いた笑顔を見せた。

( ・∀・)「まぁクリアでしょう。誰かが為さないといけないものがあります。為すにはまずは知らないと。一つ利口になりましたね」



264 名前:('A`)正しさと問題のようです [sage] 投稿日:2010/11/22(月) 00:06:29 発信元:111.86.142.26 [3/3]
( ・∀・)「この矛盾だらけの世界じゃ、『正義』すらも矛盾だらけ。お題目として捉えるか、為すべきこととして捉えるか」

今まで張り付いていた笑顔が落ち、自然な笑みに変わっていく。

( ・∀・)「『正義』の取り方も自由自由。大切なのは行動できるかどうか。あなたは『知った』から『考え』られるはず。悩んで悩んで、戦ってください」

パチンと優男が指をならす。
急に視界は真っ暗に。
('A`;)「なっ!?」

('A`;)「うわああああああああ!!」

どこかもわからない暗闇へと落ちていく。

「『知った』なら何か『できる』はずです!考えてくださいね」

ドップラー効果で間延びするあの人の声を聞きながら、俺は目を閉じた。

「は……せ……ド…は…せ…!」

誰かが呼んでる。
誰だろうか。
川 ゚ -゚)「博士!寝るならソファーじゃなくてベッドに行って下さい!」

('A`)「…クーか…」

彼女の名前はクール。
縮めてクーと呼んでいる。
極めて優秀な助手だ。

265 名前:('A`)正しさと問題のようです [sage] 投稿日:2010/11/22(月) 00:09:05 発信元:111.86.142.23
川 ゚ -゚)「全く、ちゃんと寝ないからふらりとソファーで寝てしまうんです。博士も人間ですから、ちゃんと休んで下さい」

('A`)「ああ…そうだな…」

理想は理想的であればある程、道のりは険しく辛い。
人類が天国とか浄土とかの理想郷を求めてきたなら、そのことは充分に。

('A`)「なぁクー」

川 ゚ -゚)「はい?」

なら、それを求めるのが、我々の仕事なのか。

('A`)「理想は、一番いい未来は科学で創られるのかな?」

そう、例えば着床前診断から、見えてきた、いやそれよりも前から見えてきた、人間と科学のズレ。
人間の進歩の道具を担ってきたのが科学なら、倫理的な問題や環境問題を新たに作り出したのも、間違いなく科学だ。
川 ゚ -゚)「…博士、我々は科学者です。我々が信じるのは目に見えない神ではなく、科学です」

('A`)「…そうだな」

ならば、何もかも、倫理さえ、科学が解決する。
科学を信仰する、信者として、その未来を作る。
科学が生み出した問題すらも科学が……?


266 名前:('A`)正しさと問題のようです [sage] 投稿日:2010/11/22(月) 00:12:09 発信元:111.86.142.17 [2/2]




( ・∀・)「あなたが合格したのは問題を受け止め、自分なりの答えを出したからです」

( ・∀・)「まぁ理由や解決法はまだまだですが」

優男はふふん、と笑ってぼんやりと光る田んぼ道を歩く。
くるりと、振り返る。
( ・∀・)「あぁ、忘れてました。あちゃー決め台詞なのに。そうだ、ならあなたに言いましょう。聞いてください」

( ・∀・)「人間はなにが『正しい』かわからない。『答え』がわからない。自分の『正しさ』すらもわからない。」

でもね

( ・∀・)「私たちはかならず『正しい』。常に、ね」

267 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:15:22 発信元:111.86.142.15
以上です
祭の時間をオーバーしてしまいました。
申し訳ありません。

感想などありましたらお願いいたします。

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