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タイトル未定


907 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:34:38 発信元:114.48.170.138 [19/38]
他に投下する人いないなら序章のやつ投下しちゃうぜ
ということで投下します
タイトルは未定


909 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:36:06 発信元:114.48.170.138 [20/20]

魔王を倒した後の僕は本当に一人だったんだよ。

('A`)「……」

魔王に突き刺した剣を抜いて鞘に収める。
きっとこれを抜くことはもう当分、いやもう無いかもしれない。
大抵のモンスターは魔法をちょっと唱えるか、適当に素手でぶったたければ倒せるからね。

そう思うと中々感慨深い物があった。
結構剣自体に色々とイベントがあってね。
このためだけに船に乗って遥か東の孤男島――男一人だけで後は動物とかしかいない島なんだ――の職人に頼んでさ、
材料が必要って事でウリニダ火山の噴火口付近にしか存在しないウリジナリーとかいう石を取ってきたりさ、
まあとにかくそんじょそこらの剣とは思い入れが違ったわけだよ。正真正銘、僕だけの剣だったし。

大きく伸びをして溜息を一つ。
全身から空気を絞り出すみたいな感じさ。
「はあ」っていうより「ああぁ」って感じの声が出るんだなそういう溜息って。

体のあちこちが痛かったよ。魔法とかで回復しても痛みってのはなぜだかすぐには治らないんだ。
いやまあ回復する前に比べればそりゃあずっとマシさ、でもだからって痛いのが全く気にならないなんてことは無いんだ。
着ていた服なんてズタズタの自分やモンスターの返り血でぐちゃぐちゃさ。
トマトとかをまっ白い服に投げつけたらこうなるんじゃないかね。ベチャってさ。

('A`)「勝ったぞー」

拳を握って空高く掲げてそういう風に宣言したけど帰ってくる声は何にも無かった。
ぽつんと僕がそこに立ち尽くすだけでさ。史実とかで語られるような花々しい勝利なんて無いもんだな全く。



911 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:37:27 発信元:114.48.170.138 [21/20]

('A`)「……」

ペッって血の混じった唾を吐き捨てて周りを見渡した。
拳くらいの大きさの穴が所々に空いた石詰めの壁、もっとおおきな穴もある。スイカくらいの。
黒こげになってたんぱく質の燃えた独特の嫌な匂いを放つモンスターの死体。
剣で切られて綺麗に赤い首の断面を見せるモンスターの死体。
モンスターや僕達の血で赤黒く染まった床。

そして、

( ‐ω‐)

ξ‐⊿‐)ξ

川 - -)

物言わぬ彼らがいた。
僕の仲間達だ。魔王討伐の、ずっと一緒に旅してきた、仲間。

戦士のブーンも魔法使いのツンも僧侶のクーもみんな死んでしまった。
魔王との戦いでみんな息もしないし笑いもしないただの人の形をした肉になってしまったんだ。
手を取ってみてもひんやりとした感覚が自分に伝わるだけでピクリとも動かない。
ああ、これが死んでしまったってことなんだって改めて思ったよ。
旅の途中でそういう死体は何回も見てきたけれど仲間がそんな風になるってのはなぜかイメージ出来てなかったんだ。不思議なもんだね。


912 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:39:13 発信元:114.48.170.138 [21/38]

('A`)「……」

( ‐ω‐)

ξ‐⊿‐)ξ

川 - -)

しばらく僕はそんな仲間達の死体を眺めていたんだ。

何の言葉も出なかった。
僕は勇者として「皆よくやってくれた!」とか「皆の魂はここにある!」とか格好いい事をいて自分の胸をドンと叩くのが
良いのかもしれない。

でも僕はそんな事を出来るほどしっかりしてなかったんだ。

本当ただただ僕は仲間達の死体を眺めていたんだ。

('A`)「……」

やっぱり何の言葉も出なかった。
何か胸にとても重い、鉛みたいなものをどんと置かれた感じだったよ。

('A`)「はあ」

そうして一つまた溜息をついたんだ。
こんどは「はあ」ってさ。

913 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:40:10 発信元:114.48.170.138 [22/38]


戦闘が終わった直後は酷いもんでさ。ブーンなんてまだ生きてたんだよ。
僕に勝ったのか聞いて「勝ったよ!世界は平和になったんだ!お前も僕と街にかえろう!」
って言ったのに言い終わった時にはもう息してなかったんだ。目なんか開きっぱなしの笑顔でさ。

目を閉じてやってツンの隣に寝かせてやった。二人は恋人だったんだなあ。
僕もクーとそれなりに仲良くなっていたとは思うけど恋人同士ってわけじゃなかったし
そうだったとしても彼らほど仲良くなれなかったと思う。

もっとも僕の中ではクーが死んでしまったことでクーの存在がもうとんでもなく高くなってしまったんだけどさ。
美化ってわけじゃないんだけど手が届かないとわかった途端に彼女のいいところに色々気付くようになったんだ。
色々とずばずば人の欠点を指摘したりしてくる性格だったけど決して僕が本当に言われて傷ついてしまうような事は言わなかったりしたことや
滅多に表情を変えなかったりする無愛想なところも凛としていた、なんて思っちゃってさ。まあ美化かもしれないなうん。

とにかくブーンにしてもツンにしてもクーにしても僕にとってかけがえのない仲間だったんだ。
旅に出る前はそれほど仲が良かったわけでもないけどさ。今は別なんだ。

だけどまあ僕は悲観はしてなかった。
何せようやく世界に平和がやってきたんだからね。
もうカーチャンだって魔物に怯える心配も無いしブーン達が守りたいって思った人たちだって皆安心して夜眠れるんだ。




915 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:41:56 発信元:114.48.170.138 [23/38]


ブーン達はとても僕一人じゃあ連れて行けない。一度国に戻って馬車とかで迎えにくる必要がある。
せめて死体を辱められないように僕は持っていた聖水を彼らの死体の周りに撒いておいた。

しばし、さらば。

魔王のいた部屋を出る。
僕は部屋に向かう途中の長い階段に腰掛けた。

そうして魔王を倒した後三度目になる溜息をついてね、
階段の石に僕の涙がぴしゃりと落ちてだね、染み入っていくのを見てたんだ。

(;A;)

少しの時間泣きたかったんだ。
いくら悲観してないからって全く悲しく無いわけじゃない。
そりゃそうだろう、だって今までずっと旅してきた仲間が死んだんだから。

色々と思い出が浮かんでは消えてってさ、まあ嫌なことばかりだと思ってたこの旅も
思い返すとそこまで酷いものじゃなかったんだよ。

新しい装備が欲しくて皆で相談して宿屋に泊らずに野宿したりさ、お金が無いからモンスター狩って食ったり。
お金が無いことばっかりだな……まあ色々貧乏だった分皆で知恵を出してたんだよ。
三人寄れば文殊の知恵って言うけど僕達は四人だったからね。三人なんかよりずっといいアイデアが出てたんだよ。たぶん。
そんな事考えてるとやたら悲しくなってくるってわけだよ。

916 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:42:57 発信元:114.48.170.138 [24/38]


しばらくして蛇口ひねったみたいにダバダバ出てくる涙を拭いて帰ろうと思ったんだ。
何にせよ僕には帰れるところがあると思ったからさ。

一歩踏み出していくたびに足は重たくなっていった。
色々とこみ上げ続けてくる物があったんだ。

伝えるのは本当に胸が痛くなるけれどブーン達の家族に皆がどうなったかも伝えなきゃならない。
そんな事してくれないだろうけどそれであいつらの家族に殴られたりすればいくらか気分が楽になるかもしれなかったしね。

そうして魔王城出たら空からうざったいくらいにキラキラ光った神様がやって来たんだ。
ミラーボールかってくらいキラキラしてんだよ。あの禿てるとこが光ってるかと思ったけどそういうわけじゃないみたいでさ。
自分の力でやってるとしたら自意識過剰も甚だしいよなあ。
「ワシはえらいんじゃぞフフン」みたいな顔してさ。ドヤ顔って言うんだろうねああいうの。

ビックリしたよ、まさかここまで平然と来るとは思ってなかったからね。
僕達――もちろんブーン達も含めて――がそれこそ命がけで戦っていた時に来ないで今更やって来たんだよコイツ。



918 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:44:21 発信元:114.48.170.138 [25/38]

そんでこう言ったんだ。
やたらと馬鹿みたいに伸ばした髭をいじりながら偉そうに!
人間に力を与えたのはコイツかもしれないけど僕を生んだのはカーチャンなんだぜ?

/ ,' 3 「ドクオよ天界へは来ないのか?」

そんで一瞬も間が無いように言ったんだ。
思いっきり突っぱねる感じでさ。

('A`)「知るかよどっか行ってくれ」

ああ、ちゃんと話してなかったけど僕は勇者でドクオって名前だったんだ。
旅の道程についての話を色々すっ飛ばしてるから色々と説明で脇道にそれちゃうけどそれは許してほしい。
まあとにかく僕には重要な話なんだよ。少なくとも魔王に攫われた王女を助けるだとかそういったことよりはずっと大事な事なんだ。

神様のやつはさ色々と勇者としての力を僕に与えたのは自分だって言ってたんだ。
偉そうにさ、そんな力があるんなら自分で魔王を倒してほしかったよ。そうすればブーン達も死なないですんだんだ!
それでもそれが発覚した時にはもう魔王との最終決戦間近でさ、卑怯なんだよ、そこまで来たら僕達も収まりがつかないもんだから戦うしかないんだ。
魔王の軍勢にだって徹底的にマークされてるし僕達だってそこに至るまでで魔王に対しての怒りを澱みたく貯めてたからさ、やめられないんだよ。



919 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:46:02 発信元:114.48.170.138 [26/38]



そんなんなのに悪びれも無く

/ ,' 3「力を持っている以上お前も私達と同じ種族だ、戦いが終わったらこっちにくるといい」

なんて言いやがったんだよ。
大げさに両手を広げてさ、パフォーマンスなんかねああいうの。

頑張ってたのは僕達だし苦しい思いをしたのも僕達なんだよ。なのにこいつは偉そうにさ!
……すまない少し感情的になった。
とにかくわかってほしいのはそんないきさつで僕は天界に来るように言われてたって事と神様の事を僕が死ぬほど嫌ってるってことさ。

神様のやつそうやって僕の事を天界に誘ってたけどしばらくしたら僕が天界に行く気が無いってのをよくわかったらしい。
だけど「そのうち来たくなるだろう」見たいなこと言ってさ「慈愛を持って見守っているよ」だなんて言ってだな
一人監視役っていうのかな天使の奴を置いて行ったんだな。
本当わかってないんだ。どうして僕が天界に行くの拒否したか、なんで神様を嫌ってるか。
僕が神様の奴を嫌いなのはそういうところだってのにさ。




920 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:46:44 発信元:114.48.170.138 [27/38]

( ><)「よろしくなんです!」

監視役の天使はビロードって言う奴だった。
背丈は僕の半分ほどでまだ少年の顔つきだった。
もっとも僕もまだ十代だけどビロードはまだ原っぱで駆け回ったりするのを真剣に楽しめるくらいの年の外見だったんだ。

悪い奴じゃあないんだけどとにかく面倒な奴だった。
狂信者っていうのとはちょっと違うけど何か話をしてくれなんて言ったら延々神様がいかに素晴らしいかなんてことを
僕に語り続けるような奴なんだ。自分の仕事に熱心なんだな。僕は神様は嫌いだったけどビロードのそういう一生懸命なところは別に嫌いじゃあなかった。
最初はまあ神様を事あるごとにほめたたえ続けるビロードにちょいとイライラしたけどさ。案外慣れるもんだよそういうのって。


930 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:53:20 発信元:114.48.170.138 [28/38]

* * *


('A`)「しっかし監視役つけるくらいならなんか凄い力で送ってくれりゃあ良かったのに」

そんな事を愚痴ったのはラウンジ川に沿って西へと進んでいた時の事だった。
魔王城からずっと西、それこそ一日や二日ではいけないラウンジって国がクーの故郷だった。
僕やブーン、ツンとは住んでた場所が違うんだな。彼女は途中で旅に加わったんだ。

あちこちに街に魔王城にたどり着くまで行ったもんだから直接クーの街を目指すってのは中々骨の折れることなんだ。
大きな森を超えて川をそって下り――川ってのは今話題に出してる川だ――今度は砂漠を越さなきゃならない。
だけど行くしかない。彼女の両親に伝えることは伝えなくちゃならない。
そういうアレコレが僕の勇者としての最後の仕事だったんだ。もちろん僕がやっておきたかったってのもある。

魔王が死んだせいかモンスターを見ることは滅多に無くなっていた。
たまに見かけてもスライムみたいな弱いけど数がたくさんいるから絶滅しないような奴らばかりだった。
スライムとかなら普通の人でもどうにかなるしね。戦闘力でいうと犬とかよりも無いんじゃないかな。
まあとにかくそこまで害のあるモンスターは滅多に見なかったんだ。



932 名前:支援どうもありがとう[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:56:58 発信元:114.48.170.138 [29/38]


変わりにモンスターとは違った虫だとか動物を見るようになった。
もしかしたらモンスターってのはそういう動物とかが凶暴化した奴らなのかも、なんて思ったりしてね。
しかし夜に森で野宿してて狼みたいのに囲まれたのはちょっと焦ったけどね。でもモンスターなんかよりはずっと弱かったから良かったよ。

森で狼に囲まれて以来結構気を張って寝ることが多かったんだけどビロードが進んで見張りをやったりしてくれてとても助かった。
もちろん僕だって見張ったけどさ。それのおかげか結構ビロードとも打ち解けた。相変わらず神様の話はウザかったけど。

その日は森を抜けたもんだから調子に乗ってかなりハイペースで歩いていた日だったんだ。
そんなんだから普段よりも体力を消耗してちょっと愚痴りたくなってしまったってわけさ。

( ><)「きっと神様は旅を振り返れるだろうと思ってあえて送らなかったんですよ!」

相変わらずな調子でビロードが言った。
声変わりをする前のような声なので良く通って耳がキンキンする。
よく天使の声とか素晴らしい声を形容みるけどああいうのは嘘っぱちだね。だってこんなにうっとおしいんだから!

('A`)「お前それはプラスにとらえすぎな気がするんだけど、大体神様に聞いても無いんだからわかるわけないんだろうに」

そう言ってハッとした。
ビロードの奴が下唇をかみしめながらじっとこっちを見ている。ああ、やっちまった。



934 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:58:25 発信元:114.48.170.138 [30/38]


(。><)「そんなことないんです!ないんです!!」

ビロードが半泣きになりながらそう僕に抗議してきた。
僕の理論なんて神様の事があんま好きじゃないから適当にケチ付けてるだけで穴だらけなんだけど
ビロードのやつそれに気がつかないで何とか反論しようとするからすぐ感情的になっちまうんだ。

(;'A`)「ああ、はいわかったよ悪かった俺が悪かったよ」

こうなるとなだめないと本当に面倒だ。
別にビロードが憎いわけじゃあないしこれからの道をビロードとおそらく共に行動するわけで、
なるべく喧嘩なんてしないで行きたいところだったんだ。

小一時間ビロードの抗議を右から左へ受け流し適当にわかったようなことを言って
なんとか再び歩き始めたのはもう昼過ぎだった。



935 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:59:15 発信元:114.48.170.138 [31/38]

* * *

さて、さっき言った滅多に見ないモンスターにお目にかかったのはそんな事があってしばらく歩いた時の事だった。

地の底まで響き渡るほどの唸り声があたり一帯に響いた。
地下に住んでるモグラとかもビックリして地上に逃げ出すんじゃないかってほどの声だ。

ミ ゚゚皿゚゚彡「ゴアアアアアア!!!」

マンティコアだ。幸いこちらには気づいてないが興奮状態だ。気付かれたら間違いなく襲いかかってくるだろう。
さっきまで食事中――何を食ってたかなんて想像したくもないが共食いでもしてたんだろう――だったのか口元は赤い血と肉欠でびしゃびしゃだった。
そんな返り血が長い年月をかけて全身に染みついてそうなったのかは知らないが体は赤黒くて一目で異形の存在の皮膚だってわかる。
じっとみると血管が浮き出て脈打っているのもわかる両翼、毒針が無数に生えた尻尾。

さっきモンスターは普通の動物が凶暴化したのかも、なんて仮説を出したがこいつは例外だ。
生来の魔獣ってやつだ。魔王が死んだ程度で滅びたり行動をやめるほどのやわな種族じゃないってことだ。

(;'A`)「下がってろビロード……」

(。><)「は、はいなんです……」



937 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/21(日) 00:00:51 発信元:114.48.170.138 [32/38]


僕は緊張しながら腰のホルダーに付けていた短刀を抜いた。
威力などを考えると剣の方がいいが、背後を取って確実に急所を刺す、
万が一気付かれた際の行動などを考えると小回りの効く短刀がベストだったのだ。

不意打ち無しでも勝てる相手ではある。だけれどこれからの事を考えると体力の消耗を抑えたかったし、
ビロードの方へ向かったりするかも、なんて不安材料が多すぎたんだ。
何より……今まで共に闘ってきた仲間がいないって事が僕を弱気にさせてたんだろう。


ミ ゚゚皿゚゚彡

(;'A`)


息を殺し、身をひそめてマンティコアの様子を岩陰からうかがう。
たぶん川に隣接している森からやって来たんだろう。



941 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/21(日) 00:02:55 発信元:114.48.170.138 [33/38]


ナイフの刃は研ぎ澄まされ、ひんやりとした銀色をしていた。
ブーンが使わなくなったって事で僕にくれた奴だったんだな。
戦闘の時の連携で言うと主に僕が引き寄せてブーンが太刀とかハンマーで一気に削るって感じだったからさ。

どうやらマンティコアの奴はそっから中々動かない見たいだった。川で魚かなんか狩っていくつもりだったのかもしれない。
だけれど流石にこのまま膠着状態を続けるのも不味いから一気に仕掛けることにしたんだ。

戦意を気付かせないように自分の奥の方へ沈めていく。
感覚は鈍らせず川のせせらぎの音すら聞こえないくらいに先鋭化していく。


(;'A`)

( 'A`)

( A )


――そして







942 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/21(日) 00:06:26 発信元:114.48.170.138 [34/38]


一瞬の出来事だった。

( A )

ミ ゚゚皿゚゚彡

物陰から飛び出し最小限のモーションでマンティコアの首元に飛びつきナイフを突き立てる。
先鋭化された感覚、そんときの僕の純粋な腕力、それらを一体にして首元に押し込んでいく。

ミ;゚゚皿゚゚彡「ガギィ!!」

驚愕の叫びをマンティコアがあげた。

スルリって感じだよ。
本当に何の感触も無いんだ。ゼリーにナイフを差し込んだ感じって言うのかな、そういう風にナイフは入っていく。
差し込んだナイフを支点にしてぐるっと体を反回転させて体を曲げ、マンティコアの顔面を蹴りつける。
その時の衝撃で奴の首の筋肉や、血管はかき回され、蹴りでナイフが横に奔って首の半分がえぐり取られる。
奴の首から流れ出てくる真っ赤な血は酸素とまじりあってあっという間に黒々しくなっていった。




946 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/21(日) 00:08:42 発信元:114.48.170.138 [35/38]



一瞬の出来事で何があったのか理解できない状態で奴の命は消えていく。
段々と瞳の光が消えていき、生気が消えたのを確認して僕はビロードに声をかけたんだ。

(;'A`)「おーいもういいぞー」

(;><)「はーい…ってうわああ!!」

(;'A`)「どうしたんだよ間違いなく死んでるよ」

(;><)「い、いやその死体にビックリしちゃったんです……っていうか吐き気がうえええええ」

(;'A`)「大丈夫かよ……」

そんな事を言いながら岩陰でビロードはげえげえ吐いてた。正直音を聞いてるだけで嫌んなる吐きっぷりでさ。
昨日食べた兎の丸焼きかなんかまで戻してるんじゃないかって思ったよ。




948 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/21(日) 00:11:10 発信元:114.48.170.138 [36/38]


だけども僕はそこでは何にも死体に感じなかったんだな。旅で慣れちゃってたったんだ。
そんときの僕はちょっとビロードに配慮が足りなかったな。うん。

('A`)「ん?」

川の水にチラチラと橙色が反射して目を細めた。

そんで西の方を見ると太陽が砂漠へと沈むのが見えたんだ。
それが本当に綺麗でさ、雲がちょうど太陽をよけてるもんだから一層太陽が際立ってさ、
橙色に染まってんだよ空一面。

('A`)「……」

今まで見た中で一番綺麗な夕焼けだったと思う。
それくらいに鮮やかに空は橙色を映していた。

そんな景色見てるとなんだか感傷的っていうのかな、とってもセンチな気分になったんだ。
確かに自分、いや僕やブーンやツンやクーはこの景色を守ったんだって。
ありがちだけど実感としてそれを改めて理解したんだよ。



950 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/21(日) 00:13:27 発信元:114.48.170.138 [37/38]


(;A;)

そうすると何だか涙が出てくるわけだ。
魔王討伐の過程でこういう景色は結構見てきたはずなんだけどこうグッ来るってやつだったんだよ。

(;><)「あーグロかった……あんなの天界じゃあ発禁物なんです」

そうしている時にビロードがやって来た。
夕日に見入っているって風にビロードに背を向けてさ、なんとか泣いてるって悟られないように
声を絞り出して言ったんだ。

( A )「悪いんだけどちょっと席外してもらってもいいかな、後でいくらでも神様については聞くからさ」

( ><)「……わかったんです。あっちで焚火してるんで寒くなったらすぐ来てくださいなんです」

そう言ってビロードはそこから離れて行った。
たぶん気付いてたんだな、僕そういう嘘すっげえ下手だったし。
そういうところは察してくれるやつだったんだ。

僕はしばらくそうして泣き続けた。
楽しかった事とばかりを思い出してしまってさ、楽しかった事ばかりなのにだよ?
とにかく涙が出てくるんだよ。魔王城で泣き残した分があったのかもしれないね。

滲む夕日を見ながら僕はずっとそうして泣き続けたんだ。




953 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/11/21(日) 00:15:44 発信元:114.48.170.138 [38/38]

.  ∩∩
   | | | |
  (゚ω゚ ) <じょしょうはんい ここまで
  。ノДヽ。
   bb

猿久しぶりであせった。支援どうもでした。
書きあがったら投下するけど色々変わってるかもしんないっす。
なんか批評等あれば参考にしたいので是非ください。

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