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(゚、゚トソンようこそ合成屋へ!のようです




263 :合成屋:2010/11/13(土) 05:46:19.98 ID:cSHAfKKBO

 むかしむかし、おじいさんとおばあさんが? いや、違う。
 西暦20XX年、東京? これも違う。

 いつの時代か、どこかの世界のどこかの場所に――

(゚、゚トソン「ようこしょ合しぇい屋へ!」

 綺麗な黒髪に、大人っぽさの中に少しの幼さを秘めた整った顔立ちの、トソンという名の女の子がおりました。

( ・∀・)「こんにちは」

 カウンターの向かいには、二本の剣を携え真っ白な鎧を着た、騎士の姿もありました。

 そこは不思議な合成屋。
 あれとこれを合わせてみれば、素敵な物が生まれます。
 さてさてこの騎士は――

(゚、゚トソン「噛んだ。二回噛んだ。やり直す。次は頑張る」

(;・∀・)「ど、どうぞ。頑張って」

 どんな合成を、依頼するのでしょうか?



【(゚、゚トソンようこそ合成屋へ!のようです】




264 :合成屋:2010/11/13(土) 05:48:11.12 ID:cSHAfKKBO

(゚、゚トソン「何を合成したいのですか?」

 タートルネックの黒いセーターに灰色のロングスカート、そして無地の赤いエプロン。
 二十代前半のその容姿よりほんの少し上に見える、大人っぽい出で立ちをしたトソンが言います。

( ・∀・)「これと、これを」

 カウンターの上にごとっと音を鳴らし、二本の剣を置いた騎士。
 背が高く、凛々しいながらもどこか少年っぽさを残す顔立ちは、トソンと似たものを感じますが、漂う雰囲気はやはり騎士のそれで、逞しい青年でした。

(゚、゚トソン「これは?」




265 :合成屋:2010/11/13(土) 05:53:14.59 ID:cSHAfKKBO

( ・∀・)「炎の剣」

(゚、゚トソン「刃が燃えてますね」

(゚、゚トソン「こちらは?」

( ・∀・)「氷の剣」

(゚、゚トソン「ひやっこいですね」

 ふむ、と声を出し、腕を組んでトソンは考えます。

(゚、゚トソン「えっと……では騎士さんの名前は」

( ・∀・)「あ、僕はモララー。VIP国の騎士、モラ」

(゚、゚トソン「ダニエルにしましょう」

( ・∀・)「えっ」

(゚、゚トソン「では、合成しますね」

( ・∀・)「え、あ、はい。お願いします。え?」

 よくわからない言葉を置いて、トソンは店の奥へ。




266 :合成屋:2010/11/13(土) 05:58:30.12 ID:cSHAfKKBO

( ・∀・)「ダニ……エル?」

 モララーはぽつんと一人、佇んで。

( ・∀・)(最初にも思ったけど)

 木の香り漂う店の中で。

( ・∀・)(あの子、変だ)

 少しだけ、困っていました。

(゚、゚トソン

( ・∀・)(変な子は苦手だなぁ)

(゚、゚トソン

( ・∀・)(可愛いけど)

(゚、゚トソン「お腹すいた」

( ・∀・)(それとこれとは別だよなぁ)

(゚、゚トソン「おいダニエル」




267 :合成屋:2010/11/13(土) 06:04:58.89 ID:cSHAfKKBO

( ・∀・)「え? あ、はい? もう終わったの?」

(゚、゚トソン

( ・∀・)

(>、<トソン

( ・∀・)「え、なにその顔」

(゚、゚トソン「今日は空が青いわ」

( ・∀・)「剣は?」

(゚、゚トソン「あの空を見てると思うの。私はなんてちっぽけな存在なんだろうって」

( ・∀・)「ねぇ、剣は?」

(゚、゚トソン「ほら見てダニエルさん。空が青いわよ。とても、とても青いわ。どこまでもどこまでも、青いわ」

( ・∀・)「僕はダニエルじゃない。ついでにその舞台調の言い回しやめ……あ、ほんとだ凄く綺麗」


 
 
268 :合成屋:2010/11/13(土) 06:08:58.90 ID:cSHAfKKBO

(゚、゚トソン「雲が綿菓子みたいだね」

( ・∀・)「食べたら美味しいだろうね」

(゚、゚トソン「楽しいね」

( ・∀・)「楽しいね」

(゚、゚トソン「うふふ」

( ・∀・)「あはは」

(゚、゚トソン

( ・∀・)

(゚、゚トソン

( ・∀・)「で、剣は?」

(゚、゚トソン「はて?」




271 :合成屋:2010/11/13(土) 06:14:38.35 ID:cSHAfKKBO

( ・∀・)「二本の剣、どうしたの?」

(゚、゚トソン「いや、のっぴきならないアレがコレでソレで」

( ・∀・)「あ、なんか大体わかった。失敗したんでしょ?」

(゚、゚トソン「……」

 少しの沈黙が、二人を包みます。

 モララーは――

( ・∀・)(正直に言えば怒らない。嘘つかれたら悲しいけど、それも仕方ない)

 とても優しい青年で、何を言われてもトソンを怒ろうとは思いません。

 対し、トソンは――

(゚、゚トソン(……ネロ……パトラッシュ……あなた達はあんな最後で幸せだったの?)

 大好きなアニメのワンシーンを、頭の中で再生していました。




273 :合成屋:2010/11/13(土) 06:17:37.15 ID:cSHAfKKBO

(゚、゚トソン(私があなた達の傍にいれば……あんな風にならなかったのに)

 黙り続けるトソンの前、モララーはじっと、彼女が口を開く時を待ちます。

( ・∀・)(……長いな。いや、この沈黙の長さは彼女が、素直になれない自分の心と闘っている証。ならば待つ。僕は騎士だ。剣を持ち野を駆ける騎士モララー。そして彼女も今、騎士となり自分の心に剣を突き立てようと頑張っ――)

 優しいけれどちょっぴり鬱陶しい性格をちらりと覗かせながら、待っています。

(゚、゚トソン(どうして……どうして……どうしてなの?)




275 :合成屋:2010/11/13(土) 06:20:22.76 ID:cSHAfKKBO

( ・∀・)(まだかなまだかなマナカナ)

 そしてついにトソンは――

(゚、゚トソン「どうして?」

( ・∀・)「え?」

 口を開き――

(゚、゚トソン「どうしてなの? 彼らはあんなにも幼いのに、どうしてあんな目に」

( ・∀・)「え、彼ら? え、何? 何の話?」

(゚、゚トソン

( ・∀・)「?」

(;、;トソン

 泣いちゃいました。






277 :合成屋:2010/11/13(土) 06:23:46.66 ID:cSHAfKKBO

(;・∀・)「ちょっ、待って! 何で泣くの? 怒らないから! 大丈夫だから! ね?」

(;、;トソン「ね゙ろ゙……ばどら゙っぢゅ……どゔぢで……」

( ・∀・)「……ね……ろ? あ、あれ? なんか変だぞ」

(;、;トソン「ぐすん……ぐすんぐすんぐすん」

( ・∀・)「……泣き方も変だ」

 トソンは泣きます。
 困り顔のモララーを無視して、これでもかとばかりにぐすんぐすんと泣きます。

(゚、゚トソン「……ふぅ」

 ひとしきり泣いて落ち着いたトソンの顔は、キレイキレイでしこたま洗った後の手の様な、それはそれは清々しいものでした。




278 :合成屋:2010/11/13(土) 06:26:48.05 ID:cSHAfKKBO

( ・∀・)「落ち着いた?」

(゚、゚トソン「はい」

( ・∀・)「そう、よかった。じゃあ、剣はどうしたのか教えてく」

(゚、゚トソン「結婚してください」

( ・∀・)「れるかな? 怒らないから教え――」

(゚、゚トソン

( ・∀・)「……はい? な、なん――」

(゚、゚トソン「はいって言った! 今はいって言った! 言った言った! 絶対言った!」





280 :合成屋:2010/11/13(土) 06:29:34.82 ID:cSHAfKKBO

( ・∀・)「ちょ、待っ――」

(゚、゚トソン「ふつつつつか者ですが、これからよろしくお願いしましゅ」

( ・∀・)「……つ、が多い。最後噛んだ。あと、結婚はしない」

(゚、゚トソン「」

( ・∀・)「絶対にしない」

(゚、゚トソン「はて?」

( ・∀・)「しないったらしない。僕はいつかお姫様をゲットするんだから。そしてお姫様とお花畑を駆け回るんだ。きゃははうふふって。だから絶対に結婚はしない」

 トソンの精一杯のプロポーズ。
 それは鬱陶しい夢を持つモララーの心には届きませんでした。
 綺麗だねって、一緒に空を見たあの日。
 楽しいねって、一緒に笑い合ったあの日。
 泣いてる自分を、大丈夫だよって励ましてくれたあの日。
 それら全てが今、無駄になろうとしていて――

(;、;トソン

 トソンはまた、涙を流したのです。






282 :合成屋:2010/11/13(土) 06:33:07.48 ID:cSHAfKKBO

( ・∀・)(なんで泣くのさ)

 こんなにも、愛しているのに。
 何度も重ねた唇は、意味が無かったの?
 彼がくれた、愛してるの言葉は薄っぺらいものだったの?
 二人で過ごした夜と、手を繋ぎながら見た朝日は、価値の無いものだったの?

 さっきとは違って、しくしくと泣くトソンをモララーは――

( ・∀・)「泣き止んで」

(゚、゚トソン「はい」

 優しく励ま――

( ・∀・)「あと地の文がおかしい。なんか、色々おかしい」

(゚、゚トソン「はて?」

 ――しはせずに、冷静に突っ込みを入れました。




284 :合成屋:2010/11/13(土) 06:36:03.59 ID:cSHAfKKBO

( ・∀・)「えっとさ、結婚は置いといて、剣の合成は?」

(゚、゚トソン「はて?」

 ふぅ、と一呼吸置いて。

( ・∀・)「……この店、君一人なの?」

(゚、゚トソン「父は小さい頃に亡くなり、ここを経営していた母も亡くなって、今は一人です」

( ・∀・)「それは辛かったね。こんな調子で収入は?」

(゚、゚トソン「はて?」

( ・∀・)「え? 母親が亡くなってから、どうやって暮らしてるの?」




288 :合成屋:2010/11/13(土) 06:59:42.09 ID:cSHAfKKBO

(゚、゚トソン「食べて」

( ・∀・)「うん」

(゚、゚トソン「寝て」

( ・∀・)「うん」

(゚、゚トソン「起きた」

( ・∀・)「うん」

(゚、゚トソン

( ・∀・)「えっ、終わり?」

(゚、゚トソン「はい」

( ・∀・)「母親が亡くなったのいつ?」

(゚、゚トソン「昨日」




291 :合成屋:2010/11/13(土) 07:03:15.95 ID:cSHAfKKBO

(;・∀・)「えぇ!? 合成、した事あるの? ていうか辛くないの?」

(゚、゚トソン「無いです。辛くもない。というか正直まだわけがわからない。母はいないし溶かしてくっつけてとか意味がわからないし。だから剣は捨てた」

(;・∀・)「よくもまぁそんな淡々と――っていうか剣捨てたの!?」

(゚、゚トソン「だから、結婚してください」

( ・∀・)「け――」

(゚、゚トソン「おっぱいそこそこありますよ? カップは――」

( ・∀・)「待って言わないで誘惑しないで」




294 :合成屋:2010/11/13(土) 07:10:01.25 ID:cSHAfKKBO

(;、;トソン「……ダメなの?」

(;・∀・)「また泣いた」

(;、;トソン

( ・∀・)「女の涙は、苦手なんだ」

 モララーが言った直後、何かを閃いたのか鼻を啜って、涙を吹いたトソン。

 そして――

(゚、゚トソン「……ダメ?」

 上目遣いで、そう言い放った。

( ・∀・)「うわ、涙目可愛いどうしよう可愛い」

 大きな二つの瞳に見つめられたモララーは、顔真っ赤。

(゚、゚トソン「うるうる」

( ・∀・)「あぁくそっ! 変な事言ってるけどこれは可愛い!」




296 :合成屋:2010/11/13(土) 07:13:18.62 ID:cSHAfKKBO

(゚、゚トソン「うるうる」

( ・∀・)「んー」

(゚、゚トソン「うるうる」

( ・∀・)「しょうがない、結婚すっか」

(>、<トソン「ほんとけ!?」

( ・∀・)「うん。あー、うん」

(>、<トソン「オラ嬉しいよダニさ! オラが幸せにしてやりゅよ!」

( ・∀・)「ダニさって。しかもまた噛んでるし。うん――」

(>、<トソン

( ・∀・)「ま、いっか」

 こうして二人はめでたく? 結ばれましたとさ。




297 :合成屋:2010/11/13(土) 07:16:49.09 ID:cSHAfKKBO

 ――それから、数年の時が流れました。

 やはり、どこかの世界のどこかの場所に――

( ・∀・)「帰ったよ」

 昔よりもずっと逞しくなった騎士がおりました。

(゚、゚トソン「おかえりなしゃい! だにえりゅ!」

 昔と変わらず、噛み倒すトソンの姿もありました。




299 :合成屋:2010/11/13(土) 07:18:44.01 ID:cSHAfKKBO

( ・∀・)「今日は何を合成したの?」

(゚、゚トソン「薬草と毒消し草」

( ・∀・)「……なにができた? いつもの如く泥団子?」

(゚、゚トソン「はがねの剣」

( ・∀・)「えっなにそれ凄い」

(゚、゚トソン「凄いでしょ。だからその後ね、はがねの剣と我が家の貯蓄を合成してみたら」

(;・∀・)「え? 今なん」

(゚、゚トソン「薬草ができた。褒めて」

(  ∀ )「」

 なんとなく結婚してしまった二人ですが――




301 :合成屋:2010/11/13(土) 07:21:32.57 ID:cSHAfKKBO

( ・∀・)「失敗ばかりだね」

(゚、゚トソン「そうだね」

 どうしてか、日々はとても楽しくて。

 穏やかな時を過ごす二人はいつしか――

「ぱーぱ! まーま!」

( ・∀・)「お、呼んでる」

(゚、゚トソン「ほんと私は失敗ばかり。私とあなたのピーとピーはうまく合成できたのにね」

(;・∀・)「あ……あはは。おもしろいねー。トソンはほんとおもしろいや、あは……は」

「ぱーぱ! まーま!」

( ・∀・)「はいはい」

(゚、゚トソン「今行きますよ」

 最高の幸せを授かって。




302 :合成屋:2010/11/13(土) 07:24:12.52 ID:cSHAfKKBO

 そんな三人は、ずっとずっと――

( ・∀・)「ねぇ、なんで僕にプロポーズしたの?」

(゚、゚トソン「頑張ってって、言ってくれたから」

(;・∀・)「え? いつ?」

(゚、゚トソン「覚えてないの? パパひどい人だねー」

「ひどーい!」

(;・∀・)「ご、ごめんね! 教えて!」

(゚、゚トソン「私がね、こう言った時だよ」

 幸せに、暮らしましたとさ。




304 :合成屋:2010/11/13(土) 07:26:59.68 ID:cSHAfKKBO



(゚、゚トソン「ようこしょ合しぇい屋へ!」



【おしまい】



(;・∀・)「いや、最初かよ! もっと良い場面あったろ!? かなり優しかったろ僕!?」

(゚、゚トソン「はて?」

「はて?」

( ・∀・)「もうヤダこの人達」



【ほんとうにおしまい】







306 :合成屋:2010/11/13(土) 07:31:28.45 ID:cSHAfKKBO
以上です。支援本当にありがとうございました。かなり助かりました。

【頂いたお題】
・合成
・涙目

さるくらって時間とっちゃってすみませんでした。
それではまたどこかで。

土曜なのに仕事だッ!嫌だッ!

ではでは、ありがとうございました。

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