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お題【失敗】

825 名前:お題【失敗】[] 投稿日:2010/10/03(日) 01:13:56.22 ID:oMP5d/xG0 [1/2]
('、`*川 「失敗」

摂氏37度、およそヒトの体温に設定された試験管内部の半透明の液体。
白色光に照らされ、雪が舞うように沈む細胞の残骸を見ながら、抑揚の無い声で呟いた。

細胞片は一つの塊となり、やがて人の形を成す――はずだった。
様々に条件を変え、時には同じ実験を幾度も繰り返す。数年間、彼女はたった一人で実験を続けた。
しかし、希望の見える結果が得られたことは、一度も無かった。

試験管を手に取り、液を揺らす。
ヒトの材料が溶け込んだ水の中で、その失敗作が舞い上がり、力なく沈んでいった。

( 、 *川 「――違うわ」

震える手で試験管を握り締め、喉の奥から声を絞り出す。

( 、 *川 「これはあの子じゃない、違う、違う、違う違う違う――ッ!!」

堰を切ったように溢れてくるのは、胸の奥底まで満たされた、失意と絶望。
掠れた声を荒げ、彼女はその全てを否定した。

( 、 *川 「もう一度、今度こそ、次は、失敗は、許されない」

あの子はまだ生きている、苦しんでいる、早く助けてあげないと。失敗はもう許されない。
彼女を駆り立てるそれは、もはや子への愛でもなければ、自己満足のためでもない。殆ど恐怖のようなものだった。

手垢にまみれた実験記録書を、追い立てられるように捲る。いつまでも、いつまでも。

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