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( ^ω^)はゆとり世代のようです



216 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:36:38 ID:4BV3FSMwO [5/37]
( ´∀`)「はぁ……。資格はお持ちで?」


( ^ω^)「はいですお。御社で働く上で必要と思われる資格は一通り取ってありますお」


( ´∀`)「でも君さ……ゆとり世代でしょ?」


(;^ω^)「えっ……?」


( ´∀`)「ゆとり世代ってやっぱあれでしょ?頭は悪いし常識に欠けてるっていうか……」


(;^ω^)「そ、それは違いますお!僕たちはそんな……」


( ´∀`)「みんなそう言うんだよね。あ、面接は以上だからもう帰っていいよ」


(;^ω^)「あ……。……ありがとうございましたお。失礼しますお」

217 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:37:28 ID:4BV3FSMwO [6/37]




( ^ω^)はゆとり世代のようです





◇     ◇     ◇     ◇     ◇


218 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:39:25 ID:4BV3FSMwO [7/37]
20XX年。日本。
相変わらず都会は排ガスに汚れ、農村では後継ぎ問題が後を絶たず、景気は低迷したままであった。

変わった事といえば、高速道路が増えたり、学校の学習指導要領が大幅に『改善』されたことであろうか。


日本政府は学校教育において何度も方針議論が繰り返された『ゆとり教育』について一つの区切りをつけた。
いわゆる『脱ゆとり教育』である。

『ゆとり教育』の発端は1992年度に施行された新学力観教育だろう。
まずは小学校低学年の理科、社会の科目を廃止し、生活という名に変えた。


その年の9月からは毎月第二土曜が休日になり、1995年には毎月第四土曜も休日となった。
そして、1996年に『ゆとり』用の学習指導要領が導入されのであった。



( ´ω`)「……あの様子じゃまたダメだったおね……」



彼、内藤ホライゾンもゆとり教育が施行されてから小学校に入学した男の一人である。

219 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:40:20 ID:4BV3FSMwO [8/37]
内藤ホライゾン。他人からはブーンと呼ばれている。
この男、中学時代から生活態度も真面目で、成績も良いとは言えないまでも決して悪くはないものであった。
大学も国公立へ進学し、ある程度就職に必要な資格も取ってきた。

卒業までに就職先が決まって、普通に幸せな人生を歩むことができると、そう思っていた。
しかし、現実はそんなに甘くはなかった。



(;^ω^)「クビ…………ですかお?」


(`・ω・´)「簡単に言えばそういうことだ。すまんな」



その年、日本の景気はどん底だった。
それまでにも景気が悪い景気が悪いと言われてはいたが、これほどではなかった。

町には失職者が溢れかえり、消費税の大幅引き上げによって人々の購買意欲は低下。
そのため物価が少なからず上昇し、さらに人々の購買意欲を低下させるという負の連鎖が続いていた。

気づけば消費税の税率は17%になっていた。
5%から10%に上昇したのは、10年ほど前の事だが、
6年前に10%から13%に引き上げられ、2年前に13%から17%に引き上げられた。
しかも恐ろしい事に、近い将来これを21%に上げると言うのだ。

222 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:40:59 ID:4BV3FSMwO [9/37]
( ´ω`)「日本は酷い国だおー」



話を元に戻そう。

その年、企業に切られた人の数は異常だった。
だが、その中に含まれる『ゆとり世代』の割合こそ異常であった。

20代中頃~40代前半の、会社に取って中核になりうる世代が、なぜこうも大勢切り捨てられたのか。


それには先の『脱ゆとり教育』の施行が大きく影響している。


脱ゆとりの新学習指導要領により、小、中、高校生の学習時間枠は増加し、小学校高学年の授業に英語が追加された。
それに伴い、教員自身の学力もかなり高いレベルまで要求されるようになった。

結果はすぐに現れた。
脱ゆとり教育施行から3年後に実施された国際学力到達度テストにおいて、
日本は前回実施時よりも良い成績を残したのだ。

223 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:41:54 ID:4BV3FSMwO [10/37]
マスコミはこれを大きく取り上げ、脱ゆとり教育の成功を高らかに謳った。

しかし、その実を見てみれば、
そもそもたった3年で結果がでるようなものでもないし、
前回実施より上がったとは言ってもそれ以前の結果には追いついていないのだ。

だが、こうやって一つでも『結果』としていいものを残してしまったためか、
社会のゆとり世代に対する偏見は大きくなった。

それだけではない。
ゆとり世代が引き起こした犯罪についても、マスコミは大袈裟なまでに反応するのだ。

例えば、児童虐待。
別に今始まった事ではないのに、あたかも親がゆとり世代であるがために事件が起きたと誇張して記事が作られる。

他の通り魔や殺人などの犯罪も同様だ。
ゆとり世代の人間が何かをすれば、新聞であろうがニュースであろうが頭に『またゆとりが』と付くのだ。


そしていつの間にか、ゆとり世代は社会の失敗作として認識されるようになってしまった。

226 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:42:42 ID:4BV3FSMwO [11/37]
( ^ω^)「こんにちはですおー」


さて、ブーンがやって来たのは町の外れにある小さな診療所だった。
お年寄りが大勢いて、なかなか繁盛しているように見える。

だがこの老人達の目的は、無料の健康診断を受けるという名目で診療所の待合室に集まり、老人同士で雑談する点にあるのだった。


('、`*川「荒巻さーん。荒巻スカルチノフさーん」



/ ,' 3「……での?息子がまた変な壺を……」


(::%"ш")「おやおや。それはまた難儀なことで……」



(-、-*;川「ああ……もう」

228 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:43:45 ID:4BV3FSMwO [12/37]
( ^ω^)「いつもながら大変ですおね」


('、`*川「あら、ブーンくん。こんにちは」


( ^ω^)「モララー先生とお話できそうですかお?」


('、`*川「どうぞどうぞ。どうせあのじー様達は検査しなくても健康体なんだから」


( ^ω^)「おっwww了解ですお」



この病院の院長であるモララーも、ゆとり世代の人間の一人である。

数年前までは都心の大病院に勤務している有能な内科医だった。

だが、ゆとり世代批判が強くなってきたある日、彼は医療ミスを犯してしまった。
その患者は命に別状は無く、その後の治療に差し支えない程だったが、モララーはこのことをひどく反省していた。

別に大っぴらに発表するほどの大事故ではなかったが、
マスコミにとって『ゆとり世代が起こした事故』というのは格好のネタだった。

案の定、病院側はこの事故について深く追及され、モララーは素直に事の全てを話した。

229 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:44:35 ID:4BV3FSMwO [13/37]
ところが、どこをどうやったらそうなるか知らないが、それが記事になった時、事件はかなりの大事になっていた。
あからさまに内容が誇張されていたのだ。

記事によっては患者を殺しかけているという話もあった。
病院側もこれには猛反発をしたが、世間は彼らの言葉など信用しなかった。
世間のゆとり世代に対する評価はそれほどまでに低下していたからだ。

モララーはマスコミの暴走によるものとはいえ、病院の評判を著しく下げた事に責任を感じ、
まだ若いままにその病院を辞め、今の診療所を建てるまでに至ったのだ。



( ^ω^)「こんにちはですおー。モララー先生」


( ・∀・)「おや。ブーンくん。今日の面接はどうでしたか?」


( ´ω`)「お……。また『ゆとり世代でしょ?』って言われて露骨に嫌そうな顔されましたお」


( ・∀・)「そうですか。まあ、そんな企業には勤めないほうが賢明でしょう」

230 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:45:15 ID:4BV3FSMwO [14/37]
ブーンはこうやってモララーにいろいろと愚痴をこぼすのが日課になっていた。
モララーは医者として、カウンセラーとして、また同じゆとり教育の被害者としてブーンの話を聞いている。

こうして見てみれば、ブーンも待合室で談笑している老人達と変わらないかもしれない。
特に病気があるわけでもなく、ただ自分の暇を潰すためだけに病院へと足を運ぶのだから。


( ´ω`)「申し訳ないですお。いつもこうやって病気でもないのに……」


( ・∀・)「病気なんですよ。あの老人達も、君も」


( ^ω^)「病気…………?」


( ・∀・)「ええ、心の病気ですね」


( ^ω^)「でも……ブーンは」

231 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:45:48 ID:4BV3FSMwO [15/37]
( ・∀・)「待合室にいる老人達は、どうしてわざわざここに来るか知ってますか?」


( ^ω^)「暇つぶしですかお?」


( ・∀・)「いいえ。居場所がないらしいんですよ。彼らが言うには」


( ^ω^)「居場所が……?」


モララーの診療所に来る老人達の話と言えば、やれ息子がどうの、やれ嫁がどうのといったことばかりだ。
確かに、働けない上に細かいことに口うるさくなりがちな老人を邪険に扱う家は少なくないだろう。

そういう意味でなら、居場所がないというのも納得のいく話だ。
しかしモララーは「それは違うのですよ」と話を続けた。



( ・∀・)「確かに、家で邪険に扱われている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、居場所がないと思っているのは、彼ら自身なんです」

232 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:46:46 ID:4BV3FSMwO [16/37]
( ^ω^)「自分自身が、ですかお?」


( ・∀・)「ええ。実際、彼らのご家族から電話が来ることはしょっちゅうですからね。
家にちゃんと居場所はあるのに、自分で勝手に居場所を失ったと思って、そこから離れよう離れようとしているんです」


( ^ω^)「でも……どうしてそんなこと」


( ・∀・)「彼らも我々と同じように、マスメディアによって社会から『必要無い存在』とされた人達ですからね」



今の日本で65歳以上の高齢者にはいわゆる『団塊の世代』が含まれている。
それによって日本の高齢者の割合は過去の最高値に達し、高齢者に対する風当たりも多少なり厳しくなった。

まず、公的年金が破綻寸前まで追いやられたために、高齢者への給付金が少なくなった。
それとほぼ同時に医療費が上がり、所得喪失した高齢者が長期治療を受けるのが困難になった。

その一方でマスコミは、団塊の世代が高齢者の枠に入った事による問題点ばかりを取り上げ、
まるで『年寄りは早く死ね』と言ってるような国の対応について言及することはほとんどなかった。

233 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:47:46 ID:4BV3FSMwO [17/37]
( ・∀・)「マスメディアにとって、団塊の世代もゆとり世代と同様に叩きやすい相手だったのでしょうね」


( ^ω^)「お……」


( ・∀・)「ですが、ブーンくんはあの老人達に早く居なくなって欲しいと思ったことはありますか?」


(;^ω^)「そんなことないですお!お年寄りだって国のせいで苦労してて……」


( ・∀・)「そうですね。ですが、日本全体で見て、高齢者の数が増えすぎて多くの問題が発生しているのも事実です。
そういう広い視点で見れば、高齢者の数は減った方がいいとは思いませんか?」


(;^ω^)「そう言われると……まあ、そうですおね」


( ・∀・)「そこなんですよ」


(;^ω^)「おっ?」

234 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:49:47 ID:4BV3FSMwO [18/37]
( ・∀・)「個人的に、自分の周りだけ見る分には高齢者が大勢いても問題はない。
しかし、もっと広い視点……日本全体という範囲で見ると、高齢者が大勢いることで問題が発生する。
マスメディアの視点はもちろん後者です。そして、ここに来られる高齢者達の視点も、後者のものなんですね」


( ・∀・)「しかし、僕たちのような一般人は前者の考えしかしていません。
我々にとっては、国の問題でも結局は他人事でしかありませんからね。
僕たちが何をしようと、問題を解決に導くのは不可能なのですから」


( ^ω^)「お…………」


( ・∀・)「では、なんで高齢者の皆さんは後者の考えをしてしまうのでしょうか?
その理由が僕の言う『病気』だからなんですよ」


( ^ω^)「と、言うと?」


( ・∀・)「自分たちは団塊の世代だから、社会に取って良い存在ではないのだという考えが勝手に先行して、
それがどんどんネガティブな思考に繋がっていき、物事を悪いほう悪いほうへと考えてしまうんです」


( ・∀・)「軽い鬱と同じような症状です。周りはそう思っていなくても、
周りがそう思っているのだと思い込んで、勝手に落ち込んで……」

236 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:50:34 ID:4BV3FSMwO [19/37]
( ^ω^)「なるほど。それで病気と言ったんですおね」


( ・∀・)「そうです。そしてそれは彼らだけでなく君も……いや、僕もそうなのかもしれないですね」


( ・∀・)「『ゆとり世代だから』って言葉に過剰反応して、人々がゆとり世代だから自分を非難していると勝手に思い込んで、
一方的に与えられた身の不幸に甘んじて、自分は不幸なんだと喚き散らして。違いますか?」


(;^ω^)「そんな!そりゃ確かに不幸だと思うことはありますお。けど、それで喚き散らしたりなんかは……」


( ・∀・)「落ち着いてください。僕は、現実に君が大声で喚いたりしているなんて言ってませんし、
君がそんなことをする人間でないことは知っています。
しかし、あなたの心の中には不幸を嘆き、大声でそれを叫ぶ自分がいるでしょう」


( ^ω^)「それは……わかりませんお」


( ・∀・)「そうですか。僕にはいたんですよ、そういう自分が」


( ^ω^)「モララー先生に……?」

237 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:52:15 ID:4BV3FSMwO [20/37]
( ・∀・)「ええ、これでも僕まだ30代でして、まだまだ医者としては将来有望な年なんですよ」


( ・∀・)「僕がゆとり世代の人間で無ければ、僕は都心の大病院でそれなりの権力を持つ医者になっていたかもしれない。
大きな一戸建てだって簡単に建てられるような財力を手にしていたかもしれない。
優しい妻が出来て、かわいい子供を作って幸せな家庭を築いていたかもしれない……なんてね」


( ^ω^)「先生は独身なんですかお?」


( ・∀・)「ええ。意外ですか?」


( ^ω^)「意外ですお。先生って医者だし、カッコいいから、てっきり結婚してるものだと。やっぱり……」


( ・∀・)「『ゆとり世代』だから、と言いますか?」


(;^ω^)「おっ……」


( ・∀・)「そうやって考えちゃうのが、いけないことなんだと思いますねぇ」

239 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:53:09 ID:4BV3FSMwO [21/37]
( ・∀・)「ゆとり世代だから、と自分を卑下し、物事を合理化するのは人間心理として自然な行動です。
ですが、それに頼りすぎてしまうのはやはり一種の病気ではないかと僕は思うんですね。
少々キツい言い方をさせていただけば、ある意味ではゆとり世代だということに甘えてるのではないでしょうか」


( ・∀・)「人に非難されるのはゆとり世代だから仕方ない。
なかなか職につけないのは、ゆとり世代だから仕方ない。
彼女が出来ないのも、社会で優遇されないのも、みんなみんな自分がゆとり世代だから」


(;^ω^)「そ、それは暴論ですお!」


( ・∀・)「そうでしょうか。君は違っても、他の同世代の人間はどうでしょう。
『ゆとり世代』と言う名の殻に籠もって、それを盾にして、自分が出来ないこと全てそれのせいにして。
別におかしい事ではありません。
人間は誰しもそうやって自分を守る術を持とうとするものですから。
表に出さないようにしても、心の中ではそれをいつの間にか肯定して……」


(; ω )「やめてくださいお!!」

241 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:54:43 ID:4BV3FSMwO [22/37]
ブーンの怒声で、診察室はシンと静まり返った。
先ほどまで一人でマシンガントークを見せていたモララーも、目を伏せて口を噤んでしまっている。

別段、モララーの言ったことは間違いではない。
人間の心にある防衛機制のシステムが無意識下で働くことは仕方がないのだ。

しかしブーンにとって、モララーの言葉は己でも理解する事が出来ない自分の心、
―――ゆとり世代であることに甘えている情けない心を無理矢理に見せつけられるものでしかなかった。



( ・∀・)「……失礼。少し、興奮していたようです」


(;^ω^)「すみませんお……。突然大声をだして……」


( ・∀・)「気持ちはわかります。前の勤め先を辞めたとき、僕も君と同じような考えでしたから」


(;^ω^)「……先生、僕は、ゆとり世代であることに甘えてるのでしょうか」


( ・∀・)「それを決めるのは君自身ですよ、ブーン君」

242 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:56:15 ID:4BV3FSMwO [23/37]
(;^ω^)「モララー先生はどうなんですかお?ゆとり世代ということに甘えてるのですかお?」


( ・∀・)「僕はそんな小さな事、気にしないことにしました」


(;^ω^)「小さな事って……」


( ・∀・)「……少し、昔の話をしましょうか」


( ・∀・)「ゆとり教育が始まり、僕達の学習時間は大きく削減されました。
では、その余った時間で僕らは何をやりましたか?
友達と遊んだり、家族とどこかへ行ったりしましたよね。
いずれにせよ、それ以前の時代よりも周りの誰かと何かをする時間は格段に増えました」


( ・∀・)「そうすることで、友人や家族との絆をより深めることが出来ました。
また、その時間を自分の好きなこと……例えば野球のクラブチームに入ったり、ピアノを習ったり、
そういう趣味の時間に当てることが出来るようになりました」


( ^ω^)「でも、そのせいで友達の出来ない子は一人ぼっちで、いじめられたりしてましたお」

243 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:57:57 ID:4BV3FSMwO [24/37]
( ・∀・)「確かにそうですね。しかし、それはその昔だって、今だってそうではないですか?
今だって、公衆の面前に晒されていないだけで、残念ながらいじめというものは至る所で起こっています」


( ・∀・)「では、なぜ当時はいじめが大流行したように思えたか。今の君ならわかりますよね?」


( ^ω^)「今の僕らと同じ……記事にすればみんなが食いつく内容だから、マスコミが大きく取り上げたからですかお?」


( ・∀・)「その通り。当時からゆとり教育は世間から非難の声を浴びることが多かった。
だからマスメディアはゆとり教育を非難する内容を探した。
そして『いじめ』に辿り着いた……」


( ・∀・)「マスメディアはいじめについて大きく取り上げ、さもゆとり教育が原因で事が起こったかのように記事を書き連ねた。
僕らはそんなマスメディアに影響されているだけだったのですよ」


( ^ω^)「それは……今も同じですかお」


( ・∀・)「そうです。僕はそれよりも、マスメディアが大きく取り上げない事情の方が怖いです」

244 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 21:59:02 ID:4BV3FSMwO [25/37]
( ・∀・)「最近、日本人の道徳的センスは低下してきています。なぜだと思いますか?」


( ^ω^)「ゆとり教育のせいで、教育者の質が低下したからですかお?」


( ・∀・)「それもあるでしょう。ですが僕は日本人の生活様式の変化が問題だと思うんです」


( ^ω^)「……と、言いますと?」


( ・∀・)「例えば、ドラえもんに出てくる雷さんみたいな人を、最近町で見かけますか?」


( ^ω^)「そんな人いませんお」


( ・∀・)「そうでしょうね。今のこの時勢で、子供が悪い事をしたとして、それにげんこつでも加えてみなさい。
後にその子供の親が怒鳴り込んで来るでしょうね。下手をすれば警察沙汰です」


( ・∀・)「学校での体罰も禁止されました。それどころか、家族間でも過剰な体罰は禁じられています。
しかしその『過剰』のラインも少々問題があると思えますね。
例えば、タバコの火を押しつける、熱湯を被せる。これは過剰ですか?」


(;^ω^)「明らかに過剰ですお!」

245 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 22:00:18 ID:4BV3FSMwO [26/37]
( ・∀・)「では、げんこつ一回、張り手一回、一時間締出しはどうでしょうか?」


( ^ω^)「それくらいなら……」


( ・∀・)「では、げんこつ30回、張り手50回、一晩中締出しは?」


(;^ω^)「それは……過剰ですお」


( ・∀・)「そうでしょうか。僕は小さい頃、家の門限を三時間も破って家に帰ったらその日は家の中に入れて貰えませんでした」


(;^ω^)「えぇっ!?」


( ・∀・)「随分小さな頃の話です。ドアの前で必死に謝っても、大声で泣き叫んでも中には入れてくれませんでした。
しばらくそうしていたら、お隣のおばあさんが僕を一晩泊めてくれました」


(;^ω^)「ああ……なんだ」


( ・∀・)「お隣のおばあさんにも長々と説教されましてね、随分惨めな思いをしました。
それから僕は二度と門限を破ることはしませんでしたけどね。
……僕が言いたいこと、わかりますか?」

247 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 22:01:33 ID:4BV3FSMwO [27/37]
( ^ω^)「えと……モララー先生のお家が厳しかったってことですかお」


( ・∀・)「それは否定しません。では、もし僕がその時、一時間程度で許され、
家の中に入ることが出来たら、僕はどんなことを考えるでしょうか」


( ^ω^)「……ブーンは締出されたことがないからわかりませんお」


( ・∀・)「そうですか。恐らく僕は『この程度で済むなら別に遅れてもいいや』と思うでしょうね。
締出された事はなくとも、別のお説教の時にそんなことを思った経験があるでしょう?」


(;^ω^)「恥ずかしながら……」


( ・∀・)「厳しい罰は違法になるが故に、つい子供への罰が軽くなる。これが、道徳的センスの低下の原因だと、私は思います」


( ^ω^)「なんとなくわかりましたお。……でも、今となっては一晩中締出しなんて出来ませんおね」


( ・∀・)「そこなんです」

248 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 22:02:26 ID:4BV3FSMwO [28/37]
( ・∀・)「マスメディアは、その時その時の流行ばかりを大きく取り上げ、水面下で生じている大きな問題を蔑ろにしていたんです。
子供のしつけと言うのは非常に大事なことです。
良いことと悪いことの区別がつき、なおかつTPOに合わせて行動出来るような大人になるには、
『それを出来る大人』が『子供に正しいしつけをする事』が大事なのです」


( ・∀・)「まあ、みんながみんなそれを可能にしていれば、この国は犯罪など起こらない国になっていますが、
最近の青少年や若い大人たちを見ていると、あまりにもモラルが低い人が多すぎると思うんです」


( ・∀・)「他にも、せっかく子供の自由な時間が増えたのに、子供の自由を縛ってしまった事にも原因があると思います。
人間も他の動物と同じように、一度痛い目に遭えば二度と同じ事をしないように出来ているんです。
極論ですが例えば、川で一度溺れる、または溺れる友人の姿を見ることで川の恐ろしさを知ることができる、といったように」


( ・∀・)「しかし大人は子供を守ろうとする心理が強いばかりに、
『あそこは危ないから行ってはいけない』、『あれは危険だからやってはいけない』
と口で注意するばかりで、どうして危険か、どのくらい危険か、どうすれば安全なのかを子供に伝えきれないんです」


(;^ω^)「それでちょっと痛い目に遭うくらいならいいですお。
でも、もし大けがしたり取り返しのつかないことになったりしたら……」


( ・∀・)「別に実際にひどい目に遭わなくても、それがどれくらい危険なことかがきちんと伝わればいいんですよ」

250 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 22:04:16 ID:4BV3FSMwO [29/37]
( ・∀・)「以前はそれでなんとかなっていました。
その理由として、昔は子育ては村ぐるみ、町ぐるみで行っていた事があげられると思います」


( ・∀・)「先ほどの雷さんの例のように、悪いことをしたらその場で叱ってくれる人がいましたし、
危ないことをしようとしていても、それを危険だと子供にわからせることが出来る大人がいました」


( ・∀・)「親が安心して子供に自由な時間を与えられる環境だったのですよ。
そしてその子供たちが成長すると、幼い頃にいろんな人から学んだ様々な事を次世代の子供たちに伝えていくという良い連鎖がありました」


( ・∀・)「では、現代はどうでしょうか。近所の子を勝手に説教しようものなら最悪警察沙汰、
親は個人の偏った知識のみを子供に伝え、その子供が大人になるとまた個人の偏った知識を子供に伝える。
子供のしつけも甘くなる一方で、子供は良いこと悪いことの区別がどんどん曖昧になっていく。
また、学習時間が増えたことにより子供の自由な時間が減って、子供たちが自身の力で新しい事を発見する機会が激減していく……」


(;^ω^)「……」


( ・∀・)「まあ、これも少々極端な話ですけどね。
しかし、悪い連鎖が続いているのは残念ながら事実ですから。
政府にも、学力云々ではなく、この悪い流れを断ち切るために動いて欲しいんですよね」


(;^ω^)「お…………」

251 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 22:05:38 ID:4BV3FSMwO [30/37]
( ・∀・)「どうです?今の話を聞いている間に、一瞬でもゆとり世代だからどうこうと考えましたか?」


(;^ω^)「いえ……」


( ・∀・)「小さな事でしょう?ゆとり世代だとか、脱ゆとり教育とか」


( ^ω^)「……モララー先生は、すごいですおね。そんな所まで考えているなんて」


( ・∀・)「こうやって評論するのだったら誰にも出来ますよ。
実際に行動できない限りは、何もしないで時代の動きにただ流されてるのも同義です」


( ^ω^)「お……」



('、`*川「先生。もう診察終了時間ですよ」


( ・∀・)「おや、もうそんな時間ですか」

252 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 22:07:17 ID:4BV3FSMwO [31/37]
いつの間にか、病院の時計は19時を大きく回っていた。
モララーもブーンも話に熱中しすぎて、時間の事をすっかりと忘れていたようだ。


( ・∀・)「まったく、時が過ぎるのは早いですね」


( ^ω^)「おっ。それじゃあ僕は失礼しますお。今日はありがとうございましたお、モララー先生」


( ・∀・)「えぇ。またいつでも来てください」


('、`*川「出来ればなんか病気になってからね」


( ^ω^)「それはお断りしますおwww」



待合室にいた老人たちはいつの間にか全員いなくなっていた。
点けっぱなしのテレビでは夕方のニュースをやっている。

253 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 22:08:01 ID:4BV3FSMwO [32/37]
( ^ω^)「おっ……?」


画面の下には大きな文字で『脱ゆとり失敗か!?青少年の犯罪数増加!!』と書いてあった。
どうやらマスコミの次の標的は脱ゆとり世代のようだ。

しかし、そんな話はブーンにとってどうでもいいことだった。
今日のモララーの話を聞いたおかげで、頭の中はいやにすっきりとしていた。

青少年の犯罪数が増えているのは、別に教育が悪いとかそういう話ではない。
今の日本で起きている負の連鎖が続く限り、目に見えている結果だった。

国はこれからどうするのだろうか、また新しい学習カリキュラムを組んで、健全な青少年の育成を目指すのだろうか。
そうしたらマスコミは最初のうちにそれを持ち上げ、脱ゆとり世代を叩くのだろう。

今一番の問題はなんなのか、知ってか知らずかそれを隠してしまう。
人々の目を、関係ないところへ向けてしまう。


( ^ω^)(ブーンがそんなこと心配しても、どうしようもないお。ブーン1人じゃ何も出来ないんだから)


そう自身に言い聞かせるが、ブーンの胸の奥には靄みたいな何かがかかっていた。

255 名前:失礼。訂正[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 22:12:15 ID:4BV3FSMwO [34/37]
ブーンはもう一度自身に言い聞かせて、病院を出た。
赤く染まった夕焼けが心にしみた。

すぐそばを中学生らしい少年たちがタバコをふかしながら、自転車を2人乗りして通り過ぎて行く。


( ^ω^)(……誰も、注意しないんだおね)


胸にチクチクとした痛みを感じながら、ブーンは自分に今一度言い聞かせた。


自分1人が何をやっても仕方がない。
自分1人では何も変えられない。

―――自分はゆとり世代なのだから。



不思議と胸の中がスッと気がして、ブーンは自嘲気味に笑った。
そして、何事もなかったかのように家へと歩を進めるのだった……。

256 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/23(木) 22:13:46 ID:4BV3FSMwO [35/37]
( ^ω^)はゆとり世代のようです    終



※このお話はフィクションです。未来にこのようなことが起こるとは限りません。というか起きたら困ります。
また、モララーによる日本の教育事情やモラルの低下の話には一切根拠がありません。
全てただの個人的な見解ですので、ご了承ください。


使用お題は「ゆとり」でした

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