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雨音


185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/20(金) 16:58:59.55 ID:yvt/Ikxx0 [2/3]
雨音

この時ほど私は、雨音が美しいと思ったことはない。
その日最も重い雫が夜の公園に間断なく降り立ち、か細い音をたてて地表に突き刺さっていった。
雫は枝葉にあたって木々が小刻みに揺れ、不可解な音を立てて戦慄いていた。
私は、その軽快な音に心踊っていた。何故なら雨音は世俗から自分を遠ざけるのに丁度良かった
のである。私は、木造りのベンチの腰を凭れていた。

(´・ω・`)(そうだ、もっと降るがいい。雨音を遮る物はないもない。在るのは君と私だけだ。
      透明で最も精密な君よ、私を酩酊の中に)

暗鬱な感情は、次第に歓喜に変貌していくのを感じた。もはや惑溺の域に近いところまできていた。
そのような心持ちの私は、雫が悲しみを孕んでは弾け、豪奢な闇を孕んでは霧散していく、そのような無秩序に消失し
ていく様を見て、世俗の醜い象徴性、精緻な悪の構造をかき消していくかのように思えてならなかった。

(´・ω・`)(私は確かに妻を殺めた。人はそれが怖ろしいと云う。しかし、何故恐れられねばならぬ。
      この雨と一緒だ。流れていく血と、この雨と殆ど変わりはない美しいものだ。
      人間の可成有機的な部分じゃないか。そもそも私は美を鑑賞するだけだったのだ)

この雨の中、忽ち彼らが現れてもこの雨粒のカアテンの前に遮られることだろう。ここは私だけが在り、
雨だけがあり、それ以外のもの一切が排他されていた。雨だけが私を知悉さえしていればいいと考えていた。

その時、世界の中に激しい光が混じった。私は立ち上がって腰につけていた拳銃に手を伸ばした。
だがもう遅かった。私は激しい破裂音ともに、空を仰ぎながら地面に倒れこんだ。
しかしながら流れていく血と雨が混ざり合って奇妙な光沢を放ったのを見た。私は希薄な意識の中で最後の言葉を口にした。
                  『ああ、なんと美しいのだ』


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