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誰もいない砂浜のようです



350 名前:誰もいない砂浜のようです 1/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 22:52:13 ID:5u/Q5vug0 [16/31]
 ブロロロロォーー……と、舗装された海沿いの山道を
 最近よく見るようになった、スリムなタイプのワンボックスカーが一台走っている。

( ´_ゝ`)「混んでるかねぇ?」

(´<_` )「多分そうだろうな。それより兄者、もう買うものはないか?」

 兄者と呼ばれた、助手席から海を眺めている男の質問に
 運転席でハンドルを握る男……弟者は答え、新たな質問をする。

 車に居るのはこの二人だけで
 後ろの座席はクーラーボックス、タックルケース、竿ケース、救命胴着、等が
 所狭しと詰め込まれている。

 どうやら海水浴ではなく、釣りを楽しみに来ているようだ。

( ´_ゝ`)「ああ、後はこのままポイントに……ん?」

 流れる景色、海の青の手前に映る木々の緑の中に
 兄者は人の肌のような色合いのポッカリ空いた空間を発見し
 途中まで喋っていた言葉を止めた。

( ´_ゝ`)(砂浜……? でも目的の砂浜までは、まだ20分はかかるよなぁ)

(´<_` )「どうした兄者?」

( ´_ゝ`)「いや、今砂浜が見えたもんでな」

(´<_` )「ほう……」

351 名前:誰もいない砂浜のようです 2/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 22:53:28 ID:5u/Q5vug0 [17/31]
( ´_ゝ`)「気のせいかも知れないが、確かめてみるか?」

(´<_` )「そうするか」

 二人はそう決めると、兄者の方は注意深く木々を見て砂浜を探し
 弟者はスピードを少し落とし、周囲に曲がれる場所はないか見ながら車を走らせた。





             『誰もいない砂浜のようです』





 数分し、山を大分降りてすぐ近くに海が見えるようになった頃

( ´_ゝ`)「弟者、ゆっくり走ってくれ。あそこだけガードレールがないぞ」

(´<_` )「了解した」

 足を少しあげスピードを緩めると同時に、弟者は道の脇を見る。

 ガードレールで区切られた道路の向こうは木々が生え
 この道路が自然を侵蝕して出来たと言う事実を認識させられる。





352 名前:誰もいない砂浜のようです 3/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 22:54:51 ID:5u/Q5vug0 [18/31]
(´<_` )「あれか」

 兄者が言った場所はすぐに見つかり、弟者は一旦車を脇に寄せて停車する。

 ガードレールのない先を見てみると
 車が一台と少し入るぐらいのコンクリの道がある。

 しかし、コンクリは荒くガタガタしそうで、あまりにも急勾配で車で入るには酷く不親切だ。

( ´_ゝ`)「これは少しきつそうだな、行けるか?」

(´<_` )「ああ、なんとかな」

( ´_ゝ`)「それじゃ、頼むぞ」

 舗装された道路から、徐行運転でその狭く急勾配な道に入る。
 予想した通りガタガタと車体は揺れ、安定感がまるでない。



 どうにかその坂を降りると、二人はその先の光景に感嘆の息を漏らした。



( *´_ゝ`)「これは……」

(´<_`* )「すごいな……」

354 名前:誰もいない砂浜のようです 4/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 22:56:31 ID:5u/Q5vug0 [19/31]
 目の前には半円を描くように砂浜が広がっており
 周囲は木々に囲まれ、砂浜の両端は崖が覆っている。

 さんさんと照りつける太陽が海に反射して、いかにも夏と言った風情をかもし出している。


 砂浜の手前はいくらかコンクリで舗装されており、車を駐車出来るスペースもあるが
 海の家や、真水で体を洗うような施設は一切ない。

 いかにも、知る人ぞ知ると言った感じの砂浜だ。


 その証拠に……

( ´_ゝ`)「人っ子一人いねーなぁ、遊泳禁止の砂浜なのかねぇ?」

(´<_` )「にしても釣り客もいないな。魚が全然釣れないのかもな」

( ´_ゝ`)「まあ折角来たんだ、試しに釣ってみようぜ!」

 車を停め、二人は外に出ると手際よく準備を始める。

 救命胴着を着て、日除けの帽子を被り
 弟者はクーラーボックスとビニールバケツやタモなどを持ち
 兄者はタックルケースと釣りケース、それと餌を持って砂浜へと行く。


(´<_` )「あれ……?」

355 名前:誰もいない砂浜のようです 5/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 22:58:02 ID:5u/Q5vug0 [20/31]
( ´_ゝ`)「どうした?」

 荷物を置いた弟者が、砂浜ではなく森と言えるほど鬱蒼とした木々の方に近づいていく。
 兄者も持っていた荷物を置いて、後を追いかける。

(´<_` )「……ん、釣り道具だ」

 ここに唯一通じる道である急勾配な坂からは少し離れた場所
 木々の生い茂るそのすぐ手前に、ポツンとタックルケース等が置かれている。

( ´_ゝ`)「先客がいんのかね?」

(´<_` )「そういう事だろうな」


 しかし周囲を幾ら見渡しても、二人以外の人の気配はまるでない。


( ´_ゝ`)「まあどこかに行ってるんだろ、戻ってきたら挨拶でもしよう」

(´<_` )「そうだな」

 二人はそう結論付けると、自分達の荷物の所に戻る。

356 名前:誰もいない砂浜のようです 6/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 23:00:06 ID:5u/Q5vug0 [21/31]
( *´_ゝ`)「なっげっづっり♪ なっげっづっり♪ 投げきっす~♪」

 変な歌を口ずさみながらも、こなれた手つきで兄者は準備を終える。

(´<_`; )「投げキス…間違ってはないが意味が全然違うように聞こえるな」

 今日の二人の狙いは、今が旬のシロギスだ。
 仕掛けは天秤と言う独特の物に錘をつけて使う投げ釣りが一般的だ。

(´<_` )「さて、じゃあ釣るか」

 そうこうしてる間に準備が終わる。仕掛けは図にすると


竿 ̄ ̄ ̄ ̄天秤(錘) ̄T ̄T ̄針
               針 針


 と言う感じで、ウキはつけない。

 力糸やクッションゴムと言ったものもつけており
 投げた際の衝撃を抑えるのも忘れない。

( *´_ゝ`)「よし、それじゃ餌だ、ゴッカイちゃんー♪」

 鼻歌を歌いながら、透明の餌入れの中でオガクズと一緒に入ってるゴカイを一匹取り出し
 細長い体の半分ぐらいの所を親指の爪で切断する兄者。


(´<_`; )「せめて、糸切りバサミぐらい使ってくれ……」

357 名前:誰もいない砂浜のようです 7/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 23:01:50 ID:5u/Q5vug0 [22/31]
 弟者がそうげんなりしながらぼやくが
 兄者は全く聞いておらず、竿を構えて海に向かって糸を投げ放った。


 この遠くへ飛ばすキャスティングも、キス釣りの醍醐味の一つだろう。



( *´_ゝ`)「ふんふんふーん♪」

 錘のついた天秤が着水して少し待つ。
 それからゆっくりゆーっくりと兄者はリールを回す。

 隣では餌をつけ終わった弟者が投げ始めていた。

(´<_` )「釣れるといいなぁ」

 天秤が着水すると、弟者も兄者と同じ様な行動をする。

 キスは主に砂地の底で虫やエビを食べるため
 リールを勢いよく巻くと錘が浮上してしまい、釣れなくなってしまうからだ。


( *´_ゝ`)「おっ、来た! 来たぞ!」

(´<_`* )「なんと! 焦るなよ兄者!」

358 名前:誰もいない砂浜のようです 8/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 23:03:17 ID:5u/Q5vug0 [23/31]
( *´_ゝ`)「分かってるって!」

 兄者は釣竿を通して手へと伝わる明確な引きを感じて、テンション高く応える。
 しかしリールを巻く速度は、さっきとあまり変わらずゆっくりとしたものである。

 こうやる事で、群れる習性のあるキスを散らす事なく数が狙えるからだ。


 しばらくして、兄者が14~18cm程のキスを三匹釣り上げる。
 程ほどの大きさだ。

( *´_ゝ`)「おうおう、釣れるじゃねーか! しかもいきなり三匹とか」

(´<_`* )「おっ、こっちも来た! 一投目から釣れるとか」


( *´_ゝ`)b 「流石だよな俺達!」d(´<_`* )


 ビシッと、二人にとってはお馴染みのポーズを決めて
 更に釣るべく二人は仕掛けを海へと投げる。

359 名前:誰もいない砂浜のようです 9/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 23:05:09 ID:5u/Q5vug0 [24/31]
(´<_` )「ん……なんか…釣れてる?」

 何投目のキャスティングだろうか
 弟者が今までと同じようにリールを巻いていると
 手にずっしりと異様な重たさを感じた。

( *´_ゝ`)「すごいしなりだな! ヒラメでもかかったのか!?」

 そう言って兄者は弟者の釣竿に目をやる。
 シロギスがかかった時とは比べ物にならない程、竿がしなっている。
 余程重たい何かがかかっているのだろう。

(´<_`; )「いや……何かかかってはいるんだが…一切引かないんだ」

( ´_ゝ`)「ふむ、タコかイカでもかかったか?」

(´<_`* )「イカだったら刺身で決定だな」

( *´_ゝ`)「俺はゲソをあぶって食いたい」

(´<_` )「帰りは兄者が運転だからビール飲むなよ」

( ´_ゝ`)b「俺だけ飲めないと悔しいから、今回はアルコール自体買ってません!」

( <_と )「……チクショウ」

 そんな軽口を叩きあいながら、弟者はゆっくりとリールを巻く
 ほとんど巻き終え、次第に海中にシルエットが見えてくる。

361 名前:誰もいない砂浜のようです 10/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 23:06:30 ID:5u/Q5vug0 [25/31]
( ;´_ゝ`)「……お……弟者」

(´<_` ;)「……な、何だよ兄者」

( ;´_ゝ`)「気のせいか、妙にでかくね? 絶対1メートルは越えてるぞアレ……」

(´<_`; )「一体何が……」



(:;:。ω゚´;;)



(||i´_ゝ`)「うわぁああああああああああああ!?」(´<_`i||)

 巻き上げられ、海面から顔を出したそれは……


 明らかに人間の顔で……どこからどうみても



 死んでいた。

362 名前:誰もいない砂浜のようです 11/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 23:08:07 ID:5u/Q5vug0 [26/31]
(||i´_ゝ`)「うわっ、おっ……弟者行くぞ!!!!」

(´<_`: )「ちょ、何す……うわぁああああああ!!!」

 兄者は弟者の釣り竿を奪って投げ捨て
 手を引っつかんで走り出す。





 その後車に逃げ込んだ二人は、港町まで車を走らせ
 近くにあった駐在所に駆け込んだ。



 それから、警察の調べで男の身元はすぐ判明した。

 釣りあげてしまった男が持っていた鍵が
 砂浜にあった誰のものかわからない釣り道具の中の一つの鍵だった。
 そしてその中にあった免許証から身元がわかったのだ。

 どうやら地元の漁師のようで、夏にはよくあの砂浜で釣りをしていたようだ。

( ^Д^) 「君達のおかげで、シャキンの奴は家族の所に帰る事が出来た。
      彼に代わって礼を言う。本当にありがとう」

 彼の漁師仲間であった、壮年の男性がそう言って頭を下げる。

363 名前:誰もいない砂浜のようです 12/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 23:09:31 ID:5u/Q5vug0 [27/31]
(||i´_ゝ`)「い、いえ……いいんです」

(´<_`i||)「……ええ、それにしてもまさか……死体を釣るなんて……」

( ^Д^) 「あの砂浜……両端に崖があっただろう?」

( ´_ゝ`)「はい」

( ^Д^) 「……あそこは自殺の名所なんだ」

(´<_`i||)「えっ……?」

( ^Д^) 「いつからそうなってたのか、どちらの崖にもよく遺書が置いたりしてるよ。
      それで、二人が釣りをしていたあの砂浜はな……」

 そこで一旦言葉を区切り、漁師は少し俯いて言葉を続けた。





(  Д ) 「崖から飛び降りた死体が、流れつく場所なんだ」

364 名前:誰もいない砂浜のようです 13/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 23:11:08 ID:5u/Q5vug0 [28/31]
(||i´_ゝ`)「えっ!?」(´<_`i||)

( ^Д^) 「波の関係でね、あそこで飛び降りた死体が腐敗して浮き上がって来ると
      ゆらゆらと流されてあの砂浜にたどり着くんだ」

(´<_`i||)「……」

( ^Д^) 「そういう理由で、あの辺は最低限しか開拓せずに放置してある。
     立ち入り禁止の看板もしてたんだが、どこかに行っちまったみたいだな」

( ´_ゝ`)(……ん?)

 不意に兄者は違和感を覚えた。

( ´_ゝ`)(あれ……ちょっと待てよ。 おk情報を整理しよう。
      水死体が釣れた。 身元は地元の漁師。 あそこは自殺の名所。
      ……それで確か、身元が判明した理由は砂浜にあった釣り道具だ)

( ;´_ゝ`)(おいおいおい、だったらあの人は自殺者じゃ……ない?)

( ;´_ゝ`)「ちょ、ちょっといいですか?」

( ^Д^) 「どうしたんだ?」

365 名前:誰もいない砂浜のようです 13/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 23:13:03 ID:5u/Q5vug0 [29/31]
( ;´_ゝ`)「その、シャキンさんの身元って釣り道具で判明したんですよね?
       彼は釣りをしに来てたって事ですよね? だったら……」

(´<_` )「兄者?」

( ^Д^) 「ああ、自殺じゃないだろうな。
      あいつはあの砂浜でよく釣りをしていたみたいだ。
      死体があがると知っていたけど、気にしてなかったみたいだ」

( ;´_ゝ`)「……」

(  Д ) 「あいつは泳ぎも得意だし、釣り中に泳ぐような真似はしない奴だった。
      だから、溺れたなんてありえねーんだ」

(  Д ) 「あんな所で釣りなんてしてるから、自殺した奴に引きずり込まれちまったんだろうな……」

 そう寂しそうな顔でプギャーは言葉を漏らす。

366 名前:誰もいない砂浜のようです 15/15[] 投稿日:2010/08/14(土) 23:14:20 ID:5u/Q5vug0 [30/31]
 その後、帰りの車の中で兄者は呟くように言った。

( ´_ゝ`)「シャキンさんが弟者の針にかかったのは、俺達に見つけてほしかったのか
       それとも……危険だと告げるためだったのか」

( ´_ゝ`)「どちらにせよ、あのまま釣りをしていたら
       俺達もシャキンさんのようになっていたかもしれないな」

(´<_` )「…………そう…だな」




 誰もいない砂浜。


 そこは本当に誰もいないのだろうか?


 もしかしたら見えない何かが、たくさんいるのではないだろうか。

367 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 23:15:27 ID:5u/Q5vug0 [31/31]
31本目のお話しは以上でござる
支援さんこんすこん

  (
   )
  i  フッ
  |_|

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むしろプギャーに殺されたかと思った

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