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('A`)うだるような暑さの日のようです

139 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/13(金) 22:05:07 ID:ZMT0CGOQ0 [2/15]
僕は大学二年目の夏を一人暮らしのアパートでグダグダと過ごしていた。

そんな時である。


('、`*川「こんちゃー」


死んだ姉さんが僕を訪ねてきた。ちなみに、今日はお盆である。


('、`*川「やっほ、元気?」

('A`)「……」


ぽいっと玄関に靴を脱ぎ捨ててずかずかと部屋にあがってくる。僕の茶色いスニーカーのうえにのっかってしまっていたので綺麗に並べて直した。
ボロアパートである僕の家は姉さんがずかずかと無遠慮に入ってきたせいでぎしぎしと音をたてていた。
そんな音を聞き、そんな非日常的光景を見ながら僕は、


('A`)(幽霊って足があるものなのか)


そんなのんきな事を考えていた。

じわじわと蝉の鳴き声がうるさい夏の日のことだ。雲一つ無い晴天だった。

141 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/13(金) 22:06:04 ID:ZMT0CGOQ0 [3/15]






('A`)うだるような暑さの日のようです







142 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/13(金) 22:07:53 ID:ZMT0CGOQ0 [4/15]

('A`)「はい、麦茶」

('、`*川「あっりがとー暑くて嫌になるわね」

('A`)「幽霊でも暑いの?」

('、`*川「以外と不便なのよー? 幽霊」

('A`)「そうなんだ……」


死んだ身内が盆に訪ねてくるなんてそうそう無いシチュエーションではあるが、僕と姉さんは特別深刻な話をせず、世間話をしていた。

温暖化がひどいだのクーラーがなかなか効かないから新しいのを買えだの。

そんな事ばかりマシンガンように姉は話していた。もっともこっちに話す余地などなく僕は聞くだけだったけど。

それはまるで他界してから今までの時間を埋めるかのようだ、なんて思った。

144 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/13(金) 22:09:12 ID:ZMT0CGOQ0 [5/15]

*****


('、`*川「カレーが食べたい」


姉さんがそういったのは世間話にも、ひと段落がついた昼過ぎの事だった。
こんなクソ暑いなかカレーを食べるなどと言い出した姉さんにうんざりとした視線を送るが無視された。


('、`*川「いーじゃなーいせっかくだし」

('A`)「はあ……」


せっかく、というのはきっとわざわざ僕にはるばるあの世から会いに来た、ということだろう。
なら断るわけにはいかない、渋々了承し、僕は材料を買いに行くことにした。


('A`)「はあ……」


支度をしながらもうひとつため息をついた。

懐かしくも感じたけど。

*****

146 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/13(金) 22:11:12 ID:ZMT0CGOQ0 [6/15]

材料は自宅から徒歩十分程度のスーパーで買うことにした。
特別安くも無いが高くもない。
至極ふつうのスーパーである。


('、`*川「あんたスーパーで全部買ってるの?」


ホイホイとカゴに野菜を入れているとそんなことを姉さんが言ってきた。
「そうだけど?」なんて答えると、


('、`*川「八百屋のほうが安いのに!!」


なんて突然叫ばれて思わず「うわあ」なんて声を出した。
どうやら周りに姉さんは見れないらしく白い目で見られて、恥ずかしい思いをしてしまった。


('A`)「八百屋は遠いんだよ」


小声で姉にそういうと、


('、`*川「ならよし!!」


なんて言っていた。信念を持とう、姉さん。

148 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/13(金) 22:12:18 ID:ZMT0CGOQ0 [7/15]

早々と買い物を終わらせようと材料を集め、レジへ向かおうとするとカゴに入れた覚えのないアイスと花火があった。


('A`)「これ姉さん?」

('、`*川「そそ、そのアイス好きなのよ」


アイスはチューベット型のアイスでふたつに分けられるタイプの物だった。
ようはパピコだ。
小学生の時、姉さんが縁側で食べながらごろごろしていたのを覚えている。


('A`)「こっそりカゴに入れないで言えばいいのに」

('、`*川「こういうのはこっそりとカゴに入れる楽しみがあるのよ」

('A`)「わけわからん」


*****

150 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/13(金) 22:14:16 ID:ZMT0CGOQ0 [8/15]

('、`*川「はい、一本あげるわ」


スーパーを出てしばらく歩いたところで、ぺきりと二つに分けたチューペットの片割れを渡された。
どうやら元々二人で分けて食べるつもりだったらしい。


('A`)「まあ僕が買ったんですけどね」

('、`*川「気にしない気にしない」


ちょっと嬉しく思いながらそんな事を言った。


カレーはなかなか良い出来だった。
辛さもちょうどよく、姉さんは二杯もおかわりをしていた。
幽霊になると食べる量が増えるのかもしれない。


('、`*川「カレー職人に任命してあげる」

('A`)「なにそれ」

('、`*川「印度3000年の歴史が生んだ職人よ!!」


なんだそりゃ。

152 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/13(金) 22:15:57 ID:ZMT0CGOQ0 [9/15]


あっというまに日も暮れて夜が来る。
時計を見るとすでに11時を回っていた。


('、`*川「さあて、花火でもしようか」


そういって姉はスーパーで買った花火をビニール袋からがさごそと取り出した。


('、`*川「そろそろ時間だし、ね」

('A`)「……」


その言葉について、僕は何も言わなかった。
何を意味するかなんてわかってる。

153 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/13(金) 22:16:56 ID:ZMT0CGOQ0 [10/15]

花火は近所の公園でやることにした。
小さい時によくいって遊んだ公園だ。小学生だった姉さんによく連れて行ってもらった。

人は僕たち以外にはいなかった。
まあ夜中だし好都合だ。周りからみて一人で大量の花火で遊んでたら通報されるかもしれない。

昔はジャングルジムなんかもあったけど今は「危険だから!」なんて理由で何もない。
変わってしまった事に少し憂鬱な気分になる。


('A`)「……('、`*川「さー!やるわよ!」

(;'A`)「おわあ!」

('、`*川「なにぼーっとしてんのよ。準備!準備!」

(;'A`)「あ、ああ、うん」


姉さんに言われるまま僕は準備を始めた。


('、`*川「ここもかわっちゃてるんだなあ……」


そう、背中越しに姉さんがぽつりと言ったのを僕は聞き逃さなかった。

154 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/13(金) 22:17:54 ID:ZMT0CGOQ0 [11/15]

色々な花火を買ってきていたらしく、すぐ終わるかと思っていた花火はなかなか尽きなかった。
ファミリーセットのようなタイプだけではなく大中小のロケット花火なんかもあった。


('、`*川「花火は派手であるべきよ!」


姉さんは、そんなよくわからない持論を振りかざしながら花火を振り回していた

そうして、最後に残ったのは線香花火だった。

ライターで火をつけるとパチパチと花火から小さな火花が散った。

ついて、消えて、ついて、消えて。

花火が作る明暗を僕と姉さんはじっと見ていた。


('、`*川「ねえ、ここのくらしはどう?」


昼間から自分の話ばかりだった姉さんが不意にそんな事を聞いてきた。

155 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/13(金) 22:18:40 ID:ZMT0CGOQ0 [12/15]


('A`)「まあ不自由無くやってるよ、スーパーも近いしさ」

('、`*川「寂しくない?」

('A`)「少しはね、耐えられないほどじゃあない。僕だって子供じゃないし」

('、`*川「そうかいそうかい」


ぽとり、と僕の持っていた線香花火の火花が地面に落ちた。

あたりが心なしか暗くなった気がする。

花火に照らされる姉さんの顔には少しの憂いが見えた。

('、`*川「寂しくなったら、実家にいつでもかえりなさいよ」

……お母さん達きっと寂しいだろうから。

そういった時の姉さんの顔を僕は見ていない。
きっと泣いているような気がしたから。

156 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/13(金) 22:19:38 ID:ZMT0CGOQ0 [13/15]


('A`)「うん……」


少し間をあけて姉さんのほうを見ると何でもないような顔をしていた。
すこしだけ目が赤くなっていたけど。


('A`)「姉さんも」

('、`*川「……」

('A`)「いつで化けてきていいからね」

158 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/13(金) 22:21:12 ID:ZMT0CGOQ0 [14/15]

そういうと顔を姉さんはにっこりと笑った。


('、`*川「あったりまえじゃない」

('、`*川「今日だってそうなんだから」


そう姉さんが言うと同時に、柔らかな風が吹いた。


「そんじゃあ、じゃあね」


ぽとり、と火花が落ちた。
一瞬そっちに目をやって、もう一度顔をあげたときにはもう僕以外そこには誰もいなかった。

すこし煙が目にしみたのかもしれない。
花火の片づけをしながら僕は泣いた。

うだるような暑さの日の話し。  おしまい。
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