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彼らは待つようです



644 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:09:40 発信元:122.102.225.250
目の前に広がっている光景に、女は目を伏せた。
口元には笑みが浮かんでいる。


o川* ー )o


彼女の前に折り重なるように倒れているのは元姉達だ。

川 - )

姉の一人はとても冷静な人だった。


ノハ ⊿ )

姉の一人はとても熱血漢な人だった。


lw´  _ ノv

姉の一人はとても不思議な人だった。




646 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:12:26 発信元:122.102.225.250


o川* ー )o「わたしだってお姉ちゃん達みたいに愛されたかった……」


女は小さく呟いた。
頬には涙が流れている。


o川* ー )o「お母さんも、お父さんもお姉ちゃんばっかり」


彼女の両親はすでに亡くなっている。
亡くなったのはほんの数分前だ。


o川*゚ー゚)o「でもさ、向こうではわたしも可愛がってくれるよね?」


コップを手に取る。
氷が動き、心地よい音が聞こえる。
中に入っている液体は普通のジュースにも見えた。


(,,゚Д゚)「……これ、どういう状況?」




647 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:15:23 発信元:122.102.225.250

鍵をかけていなかった玄関から、一人の男が入ってきた。
倒れている女達と、泣いている女。

一見しただけで状況がわかるのならば、
よほど勘がいいか、エスパーかのどちらかだろう。


o川*゚ー゚)o「……これは」

(,,゚Д゚)「わかった!」


女の言葉に男が声をかぶせてきた。


(,,゚Д゚)「こいつら、強盗だな!
     襲われたのか? 大丈夫か?」

o川*゚ー゚)o「違うよ」


心配そうに近づいてくる男にハッキリとした否定を口にする。


(,,゚Д゚)「ふえ?」

o川*゚ー゚)o「わたしが殺したの」




649 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:18:28 発信元:122.102.225.250

コップを揺らす。
氷がキラリと光った。


o川*゚ー゚)o「毒、とある人から買ったの」

(,,゚Д゚)「お、お前……犯罪、だぞ」

o川*゚ー゚)o「泥棒さんも、犯罪者じゃない」

(,,゚Д゚)「その人達にだって、家族が」

o川*゚ー゚)o「わたしあの人達の末の妹なの」

(,,゚Д゚)「これからの人生が」

o川*゚ー゚)o 「今から死ぬからいいよ」

(,,゚Д゚)「……」

o川*゚ー゚)o「あなた、変な人ね」


男は一人で慌てて言葉を紡ぐ。
それらは全て女によって否定される。





653 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:21:24 発信元:122.102.225.250

(,,゚Д゚)「死ぬのか?」

o川*゚ー゚)o「予定では」

(,,゚Д゚)「やめろよ」

o川*゚ー゚)o「止めてくれるの?」

(,,゚Д゚)「当たり前だろ」

o川*゚ー゚)o「ありがとう」


女はふわりと笑う。
どこか儚げな雰囲気が悲しかった。


(,,゚Д゚)「こっちにこい」


男は女の手を引いた。




654 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:24:38 発信元:122.102.225.250

女はキュートといった。
男はギコという。

二人は路地裏を通り、怪しげな建物へ入る。
キュートは抵抗しなかった。しかし、ポケットの中に
何かの粉が入った袋を忍ばせているとギコは知っていた。


(,,゚Д゚)「久しぶりおっさん」

 _、_
( ,_ノ` )「おう。久しぶり」


中に入ると、一人の男と女がいた。
男は中年といった風であり、女は若く美しい。

キュートはあの女のような人間だったのならば、
両親からも愛されたのだろうと、一人思った。


ξ゚⊿゚)ξ「あら、その子は?」

(,,゚Д゚)「ちょっとわけありでな」

ξ゚⊿゚)ξ「まーた変なの拾って」

(,;゚Д゚)「変なのって……」



657 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:27:20 発信元:122.102.225.250

o川*゚ー゚)o「あなた達は?」

ここへ連れてこられて理由もわからない。
未来のことなど、どもうでもいいが、気にはなる。


ξ゚⊿゚)ξ「あたしはツン。アレは渋沢」

 _、_
( ,_ノ` )「アレ呼ばわりとは酷いな……」

(,,゚Д゚)「みんなオレの知りあいだ」

o川*゚ー゚)o「ふーん。で、わたしは何でここに連れてこられたの?」

ξ゚⊿゚)ξ「何で?」

(,,゚Д゚)「え、死ぬとか言うから」


目を丸くして、さも当然のように言ってのける。


ξ#゚⊿゚)ξ



659 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:30:36 発信元:122.102.225.250

ツンがギコに飛びかかり、顔面を何度も殴る。
悲鳴が聞こえてくるが、キュートには関係のない話だ。

o川*゚ー゚)o「ここにきたら、死ななくていいんですか」

 _、_
( ,_ノ` )「そうだなぁ。あいつは死んでほしくないみたいだが」

ξ゚⊿゚)ξ「どっちでも良いわよ。
      でも、何があったのかは教えてね」

o川*゚ー゚)o「何って……別に」


(゚、゚トソン「おや、そこにいるのは我の手を借り、
     苦痛から逃れた子羊か?」

新たに入ってきた女にキュートは見覚えがあった。
銀色に染められた髪と、赤のコンタクトはあまりにも印象的で、
忘れようにも忘れられないものだ。


ξ゚⊿゚)ξ「なによ。トソンも彼女のこと知ってるの?」

(゚、゚トソン「無論だ。我に知らぬことなどないさ」

 _、_
( ,_ノ` )「そうかそうか。で、どこで知りあったんだ?」



663 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:37:23 発信元:122.102.225.250

キュートとトソンは偶然出会ったにすぎなかった。
偶然が歯車の一つとして機能したのは、
トソンが放った一つの言葉だった。


(゚、゚トソン「キミも我と同じく、世界に苦痛を感じているな」


彼女は見ず知らずの他人にもよくこの様に話しかけていた。
そのことを知らなかったキュートは頷いてしまった。


(,,゚Д゚)「で、薬をもらったのか?」

o川*゚ー゚)o「うん」

ξ゚⊿゚)ξ「警察は何しているのよ」


トソンは自分のことを特別な人間だと信じている。
子供ならば苦笑いですまされるが、彼女はもういい歳だ。

さらに言うのならば、それなりのルートと力を持っている。

 _、_
( ,_ノ` )「力を持っちゃいけねぇ奴が力を持つ何てよくある話だ」





666 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:40:58 発信元:122.102.225.250

(,,゚Д゚)「お前、何てことするんだよ!」

(゚、゚トソン「何がだい?」

(,,゚Д゚)「あの子、一人になっちゃったんだぞ」

(゚、゚トソン「孤独、それが幸せだとわからないのかい?」


二人は口論を続ける。
キュートとしては、手を下したのは自分だし、
下す原因を作ったのは家族だ。


ξ゚⊿゚)ξ「馬鹿よね」

o川*゚ー゚)o「え?」

ξ゚⊿゚)ξ「ギコよ、ギコ」

 _、_
( ,_ノ` )「ああ、馬鹿だな」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたには言ってないの」

o川*゚ー゚)o「ちょっと、変わってますよね」



668 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:43:32 発信元:122.102.225.250

泥棒のようだったが、物を盗るどころか他人の命の心配をしている。


ξ゚⊿゚)ξ「変わってるのはみんな一緒よ」


ポツリと零す。


ξ゚⊿゚)ξ「まあいいわ。で、あなたは何で家族を殺したの?」

o川*゚ー゚)o「普通の話ですよ」


仲の良い四姉妹だった。
個性的な姉妹に囲まれ、とても楽しい日々だった。

けれど、末っ子は平凡だった。
影が薄く、両親も彼女のことを忘れることがあった。


o川*゚ー゚)o「酷いですよね。親なのに」


目を閉じて、軽く微笑む。



670 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:46:31 発信元:122.102.225.250

 _、_
( ,_ノ` )「そんなものさ」


渋沢は天井を見上げている。

 _、_
( ,_ノ` )「オレの妻は、遠いところに行っちまったよ」


静かに語り始める。

優しい妻だった。よくできた妻だった。
誠実であるために、全てを投げ捨ててきた渋沢に、
文句も言わず、ただ黙ってついてきてくれていた。


ξ゚⊿゚)ξ「そのせいで奥さんは死んじゃったんだって」


ツンが冷たく言う。


o川*゚ー゚)o「え……」





673 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:49:40 発信元:122.102.225.250

言葉の端々から、渋沢がどれほど妻のことを愛しているのか、
どれほど妻のことを思っていたのかが伝わってきた。
同時に、妻のことを大切にしていることもわかった。

 _、_
( ,_ノ` )「でも、死んじまったんだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「渋沢のことを逆恨みした連中にね、殺されたの」

o川*゚ー゚)o「そんな……」


キュートは今にも泣きそうだった。
大切な人が消えてしまう。その悲しみはよくわかっていた。




彼女もまた、大切な家族を失っているのだから。




676 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:52:26 発信元:122.102.225.250


o川*;ー;)o「だって、家族が……」

ξ゚⊿゚)ξ「運命ってものはね、意外とえげつなくできてる物なのよ」


例えば、他人の話を聞いて、
始めて自分の置かれた現状を理解できるような。


ξ゚⊿゚)ξ「そんなもんよ」


彼女もまた、何かを抱えているのだろう。
それをキュートは聞くことができなかった。

自分の頭の中で渦巻く感情を上手く処理できない。

姉達のことは好きだった。
けれど、憎かった。だから殺してしまった。

殺した瞬間、確かに自由になれた。
今も自由を感じている。宙に浮くような浮遊感だ。

 _、_
( ,_ノ` )「まあ、ゆっくりするといい」

ξ゚⊿゚)ξ「また変なのが増えるのね」




680 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:55:26 発信元:122.102.225.250

ツンは奥の部屋に入っていく。

 _、_
( ,_ノ` )「もう家には帰れないだろ」


そっと携帯電話が渡される。

 _、_
( ,_ノ` )「トソンは変な奴だが、本物だ。
     残念だがキミの家族は二度と戻ってこないだろう」

o川*;ー;)o「は、い……」


今になって考えてみても、衝動的な殺人ではなかった。
冷静に、ただ冷たく、みんなを殺していった。

倒れる姉達を見ても、何も感じることがなかった。


(,,゚Д゚)「おっ、おい、何で泣いてるんだよ」

(゚、゚トソン「ほら、キミが彼女の苦痛を感じてあげられないからだ」



682 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 16:58:24 発信元:122.102.225.250

ギコは心配そうにキュートを見つめる。


(,,゚Д゚)「大丈夫だ。ここにいる連中は変な奴ばっかだけど、
     みんないい奴だし、待つには最適だから」

o川*;ー;)o「待つ?」

(゚、゚トソン「ここにいる人はみんな、何かを待ってるんだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「そういうこと」


ツンの手から渡されたのは一つの鍵だった。


ξ゚⊿゚)ξ「突き当たり右があんたの部屋ね」

(,,゚Д゚)「その電話、どうするんだ?」


二つの選択が目の前にはある。


o川*゚ー゚)o


キュートは一つを選び、三つのボタンを押した。



685 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 17:01:21 発信元:122.102.225.250

o川*゚ー゚)o「もしもし。○○町××にある赤い屋根の家なんですけど……」


そこで死体を発見したとだけ告げ、電話を切った。

 _、_
( ,_ノ` )「それでいいのかい」

o川*゚ー゚)o「はい」


渋沢は携帯電話を受け取る。

 _、_
( ,_ノ` )「これはトソンからもらった奴だから、足はつかんさ」


少しだけ心配していたことを言われ、ほっとする。


(゚、゚トソン「さあ、キミも我々と同じ存在となったね」

o川*゚ー゚)o「……トソンさんも、何か待ってるんですか」



688 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 17:04:27 発信元:122.102.225.250

(゚、゚トソン「ああ、我は世界の終末を待っている。
     気が向けばキミは助けてあげよう」

(,,゚Д゚)「はいはい」

ξ゚⊿゚)ξ「こいつは放っておいていいわよ」

 _、_
( ,_ノ` )「ま、ギコとトソンはふらふらしてるが、
     オレとツンはいつでもここにいる」


ゆっくり話でもしようと言われる。
渋沢は聞くことが好きであり、ツンは知ることが好きだそうだ。


ξ゚⊿゚)ξ「あたしはもっと詳しく知りたいの」


殺すときの気持ちを、取り返しのつかないと知ったときの思いを。
彼女には思いやりの気持ちはない。
だからここにいるのかもしれない。

ξ゚⊿゚)ξ「話しましょ。話し合いましょ」



690 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 17:07:34 発信元:122.102.225.250

楽しげに、歌うように彼女は言う。


死について話そう。殺すことについて話そう。


o川*゚ー゚)o「家族とも、ちゃんと話せればよかったんですね」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね。つまらない理由で殺しちゃったわね」


話すことからは逃げてしまった。
待つことからは逃げないでおこう。

何を待っているのか、キュートはまだわからない。
罰を待つのかもしれない。罪悪感を待つのかもしれない。




693 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 17:10:25 発信元:122.102.225.250

そこには待っている者達がいた。


(,,゚Д゚)
悲しい誰かを待っている男がいた。

ξ゚⊿゚)ξ
犯罪への知識を待ち、人の闇を待つ女がいた。

 _、_
( ,_ノ` )
いつか妻が帰ってくるのではないかと待っている男がいた。

(゚、゚トソン
世界の終焉と、自らが英雄になる日を待つ者がいた。



o川*゚ー゚)o
何を待つのかを知るために待つ子が増えた。








697 :彼らは待つようです:2010/08/03(火) 17:13:29 発信元:122.102.225.250
以上です。


使用お題

逃げずに話し合え

(,,゚Д゚)
虚しい一人芝居

 _、_
( ,_ノ` )
ダンディズムの代償

厨二病を患った(゚、゚トソン

o川* ー )o「わたしだってお姉ちゃん達みたいに愛されたかった……」

ξ゚⊿゚)ξ「運命ってものはね、意外とえげつなくできてる物なのよ」



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