スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです


746 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 18:31:31.89 ID:73odygFz0
ξ*゚⊿゚)ξ「いやー、買った買ったぁ!」

ワカッテマスが戸を開けると、ツンはさっそくどたばたと家に上がっていった。

ξ*゚⊿゚)ξ「よっこい、しょッ。あぁ~あ疲れたぁ~」

( <●><●>)「そうですね」

ワカッテマスは能面のような顔と機械のような声で、小さくぼそっとそう返した。
靴をきちんと揃えた後、買い物袋を手にキッチンへ向かう。
居間からねぇねぇと呼び掛けてくるツンの声は、どうやら聞こえていないらしい。

ξ゚⊿゚)ξ「…なによう、冷たいなぁ」

座ったばかりなのにと文句を言いつつ、ツンはのろりと立ち上がった。
キッチンに入ると、ワカッテマスが食材を冷蔵庫に黙々と並べ入れていた。

ξ゚⊿゚)ξ「あ、いいわよっ。私がやるから」

( <●><●>)「いいです。もう終わりましたから」

ワカッテマスは一々素っ気ない。
キッチンの入り口に突っ立つツンの横を通って、今度は居間へ移動する。
ワカッテマスは先程ツンが座っていた座布団を折り畳むと、それを枕に身体をどさりと横たえた。



747 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 18:32:21.99 ID:73odygFz0
そうして、大きな溜息をつく。

ξ゚⊿゚)ξ「疲れたの?」

( <●><●>)「疲れました」

ξ゚⊿゚)ξ「なっさけないわねェ、あれくらいの荷物持ったくらいで」

二人分とはいえ軽いもんでしょうとツンが呆れた顔をする。

( <●><●>)「荷物が重くて疲れたわけじゃあありませんよ」

金色のツインテール。
黒い瞳。
膨らませた頬。
――白い肌だ。

腰に手を当てて己を見下ろすツンを見上げ、ワカッテマスは目を細めた。

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ何に疲れたのよ」

( <●><●>)「……さぁて」

何に疲れたんだか――。
ワカッテマスはゆらりと手を挙げ、ツンの頬へと掌を向けた。

748 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 18:33:18.33 ID:73odygFz0
ξ;゚⊿゚)ξ「……な、ななな何っ何よっ」

ツンはどぎまぎしながら、やっとそれだけ言った。
少うし伸びたその爪先が。
ツンの頬に触れるかというところで、ぴたりと止まる。

( <●><●>)

触れられないのだ。
この――肌には。

ξ;゚⊿゚)ξ「おーい、ワカッテマス……? どうかした?」

( <●><●>)「――いえ」

何でも。
何でもありませんよ。
ワカッテマスはむくりと半身を起こし、がりがりと頭を掻いた。

ξ゚⊿゚)ξ「あ、分かった。さては買い物に出掛けた時の事、気にしてるんでしょ」

ツンと並んで歩くワカッテマスの横を、見知らぬ他人が何度か通り過ぎた。
その通り過ぎていった何人かが、それを見て露骨に嫌そうな顔をしたのだ。
中にはひどく怯えた顔をして、転げるように走り去っていった者もいた。

749 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 18:34:24.31 ID:73odygFz0
( <●><●>)「……気にしているといえば気にしていますが」

ξ゚⊿゚)ξ「気にする事ないわよゥ、人の目なんてどうだって!」

ツンは相変わらず明るい笑顔で、ワカッテマスの背をばしばし叩いて励ます。

ξ゚⊿゚)ξ「デカ目とかオバケ顔とか、そんなもの気にしてたら生きていけないでしょ」

( <●><●>)「――そうですね」

ワカッテマスは。
その日初めて、ツンに笑みを向けた。

ξ゚⊿゚)ξ

寂しそうな微笑。
消え入るような声。
哀しそうに細めた目。

何故だろう。
これは。この笑顔は。
――嫌いだ。

750 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 18:35:19.55 ID:73odygFz0
ξ゚⊿゚)ξ「……気にしないのっ」

最近は外では全く話さない。
今までは話し掛ければちゃんと答えてくれていた。
声を掛けようが肩を叩こうが、近頃は全てガン無視される。

いつも仮面を被っている。
誰と話そうが滅多に声を上げて笑わない。

分かっている。
この男は元来『こういう性格』なのだ。

ξ゚⊿゚)ξ「あんたがどう見られようが、私は全然気にしないんだかんね」

ξ゚⊿゚)ξ「仮面被ってても笑わなくても、私はあんたが好き」

ξ゚⊿゚)ξ「だから人の目なんかいちいち気にしちゃ」

( <●><●>)「ツン」

ワカッテマスは空を見たまま、ぼそっと彼女の名を呼んだ。
焦点が合っていない。どこか遠くをじっと見据えているようだ。

752 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 18:36:14.19 ID:73odygFz0
( <●><●>)「電話です」

呼び出し音がじりじりと鳴り響いている。
ワカッテマスはつと立ち上がると、またツンの横をすり抜けていった。

ξ゚⊿゚)ξ、

ξ#゚⊿゚)ξ「人の話を聞かんかぁい!」

せっかく慰めてあげていたのにとツンが怒鳴る。
怒鳴りながら、廊下の親機を取りに行くワカッテマスの背を後ろからぽかぽか叩いてやった。
ちらりと見えたその大きな二つの目は、死んだ魚みたいに濁った黒色をしていた。


受話器を取ったワカッテマスの顔は、相変わらず能面の如く色がない。
笑わないし声のトーンも低い。ただただ相槌を打つだけで、己からは話を振らない。

( <●><●>)

ええ、ええと空返事をするばかりだから、何を話しているのか分からない。
偶に――そうですね、という短い言葉を発したりするが、空返事と大して変わらない。
つまんなぁいと呟いて、ツンが居間へ戻ろうとした時であった。

753 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 18:37:17.17 ID:73odygFz0
『僕の方がツンを想う気持ちが大きいんだお!』


襖に掛けたツンの手がぴくりと止まる。
受話器から聞こえてきたらしいその声に、聞き覚えがあったのだ。

( <●><●>)「私だって、貴方達二人の仲が誰との仲よりも良いことくらい分かってます」

受話器から少うし耳を遠ざけて、ワカッテマスは淡々とした口調で返す。
どうやら、電話の相手はブーンらしい。
幼い頃から仲が良く、どこへ行くにもずっと一緒にいた男である。
ツンはそうっとワカッテマスに近付いて、受話器に耳を近づけた。

(  ω )『じゃあ――何で、何で君のとこにツンが』

( <●><●>)「ツンは――居ません」

ここには来ていません。
――何故嘘を言うんだ。
ワカッテマスが二度繰り返すと、嘘を言えおと再び怒声が受話器から飛び出した。

( ^ω^)『ブーンには見えるんだお。君も知ってるお? ブーンの事』

( ^ω^)『ツンのご両親の所にも友達の所にも、ツンはいなかったんだお』

(  ω )『ブーンには――見えるんだお』

754 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 18:38:01.54 ID:73odygFz0
( <●><●>)「――ブーン。誰がどこに居るかだなんて、離れた所からじゃ見えないんですよ」

当たり前の事をワカッテマスが言うと、何故か重く深い言葉に聞こえるのが不思議だ。
ツンはワカッテマスの袖を引っ張って、ねえと小声で声を掛けた。

ξ゚⊿゚)ξ「ね、私思いっきりここに居るんだけど……なんで嘘つくの?」

ワカッテマスは。
答えない。

( ^ω^)『ほら、そこに居るんだおやっぱり! ブーンには聞こえるんだお』

( <●><●>)「何の――話です」

( ^ω^)『惚けるなお! 今君の肩に手を置いてるのは――』

ツンだお。
ツンがそこに。

ブーンの声はツンにも聞こえる。それ程大きな声を向こうが出しているからだ。
何を――何を怒っているのだろう。

ξ゚⊿゚)ξ「……ね、代わってよ。私出るから」

袖を引く。
袖が引けない。
ワカッテマスはツンの手を振り払った。

755 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 18:38:54.78 ID:73odygFz0
(  ω )『ツンは――ツンはまだ居るんだお。まだ向こうに行ってないんだお』

(  ω )『一番会いたがってた人の所に行くって、まだここにいるんだお』

(  ω )『ねえ、ワカッテマス。ツンは、ツンはきっとまだ"――"』

( <●><●>)

ξ゚⊿゚)ξ

まだ――何なのだろう。
そこから急に声が小さくなっていき、ついにはぱったり聞こえなくなってしまった。
ワカッテマスは、無言で受話器をかちゃりと置いた。

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっと!切っちゃったの!?」

( <●><●>)「頭から肩にかけての腹痛が物凄いといって切られました」

ξ;゚⊿゚)ξ「そんな事喋ってなかったよ! というか何それ、腹痛!? 頭から肩にかけて!?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと、もう一回かけなおしなさいよ。今度は私が出るから」

( <●><●>)「切られたんです」

764 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[さるさんごめんよ(´・ω・`)] 投稿日:2010/05/13(木) 19:02:42.96 ID:73odygFz0
切られたんですよ、とワカッテマスは三度こう言った。
彼にしては珍しく強めの口調だったから、ツンは気圧されて黙り込む。

( <●><●>)「もう繋がらない」

ワカッテマスは、つい、とキッチンへ移動した。
さてコーヒーでも入れますか等と言いながら。

ξ゚⊿゚)ξ、「……何、よ」

何だかおかしい。
最近、己を取り巻く周りの空気がひやりとしている。重苦しい。
あんなに興奮しているブーンの声を聞いたのは、ツン自身も初めてだった。

ξ゚⊿゚)ξ「――ねえ、あのs」

がちゃり。
キッチンの戸を指一本で器用に開けて、ワカッテマスは足音も立てず階段を上がっていった。
片手にコーヒーカップ、片手に新聞紙を丸めて持っていた。

ワカッテマスは自室に入ると、ツンが入る前に戸を閉めてしまった。

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっ、ちょっと待ってってば」

765 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[支援ありがとん!] 投稿日:2010/05/13(木) 19:03:26.59 ID:73odygFz0
以前入った時より、部屋は小綺麗になっていた。
全部片付けられていて、ツンが昔読んでいた本まで棚からなくなっている。

ξ゚⊿゚)ξ「あれ…あの本捨てちゃったの?」

( <●><●>)「――いい加減整理しないとなぁって思いましてね」

ξ;゚⊿゚)ξ「だ、だからって人の本……! あぁー!あれもこれもないっ」

ツンが本棚を見てぎゃあぎゃあ騒いでいる横で、ワカッテマスは新聞を広げた。
ほこほこと湯気の立つカップを口に運び、ばさり、と一枚紙を捲る。

ξ゚⊿゚)ξ「……あり?」

てっきり今日届いたものだと、ツンは思っていた。
ワカッテマスが読んでいる新聞の日付は、数週間程前のものだ。

ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、それ大分前のよ」

( <●><●>)「――読みたくもない記事があるんです」
 _,
ξ゚⊿゚)ξ「……読まなきゃいいじゃん?」

( <●><●>)「捨てるに捨てられないんですよ」

768 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 19:04:31.60 ID:73odygFz0
あのことを思い出して辛い筈なんですがねえ。
ワカッテマスは独り言のように呟くと、カップをテーブルに置いた。
彼が黙って読んでいる記事を、ツンも横からぬっと覗き込んでみた。

ξ゚⊿゚)ξ「んえーと、何何……"帰宅途中の女性、若い男に襲われる"…」

ξ゚⊿゚)ξ「凶器は現場に落ちていた……金属バットぉ?」

ξ゚⊿゚)ξ「ナイフじゃなくて? ……最近こういう物騒な事件多いわねぇ」

野球少年かしら。高校生だから野球部かしら。
ツンはああだこうだとぶつぶつ呟いている。

――他人事みたく言うものだ。
ワカッテマスは顔を顰めて、新聞紙をツンに押しつけた。

ξ゚⊿゚)ξ「わぷっ、何よちょっとっ」

( <●><●>)「そういえばツン。今日は眼鏡を掛けていないんですね」

770 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 19:05:22.65 ID:73odygFz0
ξ゚⊿゚)ξ「眼鏡ぇ? ……あ~…」

そういえば、とツンは己の顔を両手で触った。
眼鏡っ娘がよくやる『眼鏡をクイッとする』動作を真似てみる。
鼻の上にそれは掛かっていないから、指先が鼻の頭を擦るだけ。

ξ゚⊿゚)ξ「家に忘れてきたんだっけ」

( <●><●>)「今まで一度も忘れた事なんてなかったでしょう」

忘れてきたわけではない。
寝る時だっていつも外し忘れて掛けたまま熟睡する事もある程、ずうっと掛けていたのだ。
ツンは眉間に皺を寄せ、うんうん唸りながら記憶を遡る。

ξ゚⊿゚)ξ「……あ、そうだ! 割れちゃったんだ」

( <●><●>)「どうして割れたんです」

ξ゚⊿゚)ξ「ええっ…んなポンポン聞かないでよ。えーっと……」

眼鏡が割れた訳。眼鏡が割れた訳。
眼鏡が――

772 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[ギリギリいけそう…?] 投稿日:2010/05/13(木) 19:06:06.49 ID:73odygFz0
ξ゚⊿゚)ξ

眼鏡が割れた。
眼鏡が。

( <●><●>)

ξ゚⊿゚)ξ

金属バット。
銀色の野球のバット。
背の高い子。声が低い子。
頭はつるつる丸坊主な子。

すみません。お尋ねしたい事が。

ξ゚⊿゚)ξ「お尋ねしたい事って、なんだったんだっけ」

人気のない所を歩いたのがいけなかったのだろうか。
すっかり遅くなって、暗くなった道を一人で歩いていたのがいけなかったのだろうか。
遅い時間だからもう寝てるだろうし、と迎えを頼まなかったのがいけなかったのだろうか。
お尋ねしたい事って何かしらと、彼に付いていったのがいけなかったのだろうか。


( <●><●>)「貴方はもう死んだのですよ」


774 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 19:06:51.15 ID:73odygFz0
ツン。ツン。
早く気付いてください。
ワカッテマスは頭を抱え、項垂れた。

ξ゚⊿゚)ξ

ツンはきっとまだ"気付いていないんだお"。
あんなに突然だったもの。あんなに理不尽だったもの。あんな酷い事が起きたんだもの。
すぐには信じられないのも当たり前だお。

( <●><●>)「――ツン」

ワカッテマスが項垂れたまま目を開けると。
ツンの細くて白い、足首だけがぼんやり見えた。
視界が霞む。水の中のように歪む。
涙が邪魔だ。


ξ゚⊿゚)ξ「――そうだ」

776 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 19:07:41.09 ID:73odygFz0
そうだ。そうだった。
だから眼鏡が割れたのだ。
だから外に出ると視線が刺さるのだ。
だからブーンが叫んでいたのだ。

だから。
ワカッテマスが、泣いているのだ。


――ばさり。
ツンが新聞紙を取り落としたらしい。
ワカッテマスがゆるりと顔を上げると。

ツンの姿は消えていた。



ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです おしまい


777 名前:ξ゚⊿゚)ξは気付いてしまったようです[] 投稿日:2010/05/13(木) 19:09:40.27 ID:73odygFz0
お題
・仮面
・金属バット
・眼鏡が割れた

支援してくれた人ありがとう!
お題くれた人ありがとう!

さるさんごめんよ…(´・ω・`)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

短い( ^ω^)

Author:短い( ^ω^)
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
カウンター
フリーエリア
ツイッター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。