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(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです

278 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 20:56:37.57 ID:Zi+KkjDr0
(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです

――――――――――――――――

随分長いこと眠っていたようだ。太陽は既に高く昇っている。
蝉の声が聞こえる。風鈴も耳障りだ。風が通る音も鬱陶しい。
だが、その日はやけに静かだった。

(゚、゚トソン 「ミセリ?」

ミセ* - )リ

昨日と同じく、縁側の柱に身を預けたまま、ミセリはどこか遠くを見ている。
いや、何も見ていないような気もする。よく分からない。
よく分からないが、私の心臓は早鐘を打つ。足は竦み、背筋が強張る。

(゚、゚トソン 「薬はもう飲んだのですか?」

ミセ* - )リ

(゚、゚トソン 「……何か、言ってください」

ミセリは、動かない。

――――――――――――――――


280 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 20:58:49.28 ID:Zi+KkjDr0
目が覚めると、見知らぬ場所に居た。
自分の周りには茶色い壁がある。天井が無いが、その代わり変な奴がこちらを眺めている。

ミセ*゚ー゚)リ 「なんだぁ、お前?捨てられたのか?」

(゚、゚トソン 「何ですかはこっちの台詞です、じろじろと何ですか」

ミセ;゚ー゚)リ 「うんうん可愛い、可愛いんだけど、うーん……わたしホラ、アレだから、うん……」

言いながらしゃがみ込んで、私の顎下と頭を撫でた。随分冷たい手だ。
それがあんまり気持ちよかったので、暫く目を瞑って悦に浸っていた。おのれ、懐柔するつもりか。
変な奴改めテクニシャンは何か考え込んでいる様子だったが、やがて日傘を取って立ち上がった。

ミセ;゚ー゚)リ 「じゃあね、猫ちゃん。いい人に拾われなよ」

(゚、゚トソン ニャーン

さようなら。
まぁ、通じるはずも無いのだけれど。



282 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 21:01:45.91 ID:Zi+KkjDr0
なんだかひどくだるい。日陰に行きたいが、体を起こすのも面倒臭い。息をするのも億劫だ。
底に敷かれた布の上に倒れこむように横になると、真っ青な空から熱い光が燦々と降り注いでいるのが目

に入る。心底鬱屈とした気持ちになって、目を閉じた。このまま寝てしまいたい。

l从・∀・ノ!リ人 「子猫なのじゃー!」

しかし上手くはいかなかった。主に朝と夕方、黄色い帽子の子供やスカートの短い女の子に、コシが命と
言わんばかりにこね回され、体力をごっそりと奪われた。
辺りも暗くなり、やっと涼しくなってきた頃には、私は疲れきって、寝転んだまま尻尾をぴくぴくと動かす肉塊と
化していた。
視界は妙にぼやける。だるさはいつの間にか鈍い痛みに変わって、全身を嬲る。

ミセ;゚д゚)リ 「……い、生きてるよね……?」

( 、 ;トソン 「?」

突然、電灯の光が遮られた。
ずっと半分閉じたままの瞼は、今更開く元気も沸かない。眼だけを動かして上を見ると、今朝のテクニシャンが
こちらを眺めている。ぽけーっと口を開いた、何ともいえない表情だ、面白い。
その何ともいえない表情との因果関係は不明だが、私はなんとなく心地の良い気分になった。




284 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 21:04:50.76 ID:Zi+KkjDr0
( 、 ;トソン 「見てないで、撫でるとかしてくれませんか」

それが貴方の取り柄でしょうが。
口は殆ど開かない。これが自分のものかと疑いたくなるほど、あまりに細く、弱々しい声が出た。
おそらく、聞こえなかったのだろう。テクニシャンは立ち上がって、足を踏み出す。立ち去るのだろうか。

ミセ;-д-)リ 「……うあぁっ……もう!」

しかしテクニシャンは立ち止まって、おっさんのような呻きと共に頭を掻き毟った。
あぁ、昼間の暑さだ、気がふれるのも無理はない。
暢気に思っていると、自分の寝ていた場所が急に不安定になった。
どうも、私の居る箱ごと持ち上げられているらしい。

ミセ;゚ー゚)リ 「堪えろ……」

少し傾いたままの箱の壁に体を預けて、テクニシャンの顔を見上げた。
なんでもいいからとりあえず撫でて欲しいなぁと、そう思った。




286 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 21:09:10.47 ID:Zi+KkjDr0
全身隈なく力が入らない。暑苦しいくらいタオルに包まれても、体の震えは止まらない。そのせいでもう随
分長いこと眠っていない。
頭の中は、掻き回した水溜りのように濁っていてグチャグチャで、何も考えられない。
暑いのか寒いのかもよくわからない。息をしようにもうまく吸えない。
つらい。

ミセ;゚ー゚)リ 「死ぬな!」

( 。 ;トソン 「……」

わかってますよ。
声にならない。喉の奥のほうから、情けなく空気が漏れる音がしただけだった。
テクニシャンのほうを見ようとしたが、最早目を開けることも叶わない。

ミセ;゚ー゚)リ 「駄目、あんたは……あんたは生き続けないと……!」

体が持ち上げられた。テクニシャンの膝の上で、顎を彼女の手に乗せると、ほんの少しだが息をするのが楽になった。
お腹の底のほうから、ぽかぽかと温かくなってくる。
グチャグチャに波立っていた頭の中が、静かに、穏やかになっていく。

ミセ;゚ー゚)リ 「大丈夫、大丈夫だから……」

微かに、でも確かに体に染み付いた、母の温もりと似ているような。
この温もりがあるのなら――貴方が傍に居てくれるのなら。
私はこのまま、安心して眠れると思います。




290 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 21:12:26.45 ID:Zi+KkjDr0
――――――――――――――――

(゚、゚トソン 「ねぇ、ミセリ」

ミセリの膝の上に座って、彼女を見上げた。
うとうとしていただけなら、ここではっとして、びっくりしたなーもう、なんて言いながら撫でてくれる。

ミセ* - )リ

どうして、何も言わないのですか?
強い風に木々がざわめく。風鈴が狂ったように叫び続ける。

⊂(゚、゚トソン

爪を立てた手をゆっくり、ゆっくり伸ばして、彼女の唇に触れた。
痛いじゃないか、何してるんだクソバカ。いつもみたいに、そうやって怒るだろうか。怒ってくれるだろうか。

しかし、彼女は動かない。
気付いている。分かっている。

爪を離すと少しして、珠のような血が1粒、唇に浮かんだ。
少しずつ大きくなっていき、すぐに自らの重みを支えきれなくなる。
真っ白い彼女の肌を伝い、ぽたりと落ちた。白いワンピースの膝元に、小さな染みがひとつ、ふたつ――

――――――――――――――――




292 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 21:16:31.08 ID:Zi+KkjDr0
(゚、゚トソン 「ごはん」

数日経つと、随分身体も軽くなった。全快したと言って差し支えないだろう。

ミセ*゚ー゚)リ 「はは、もうすっかり元気だね。わたしの献身的な看護の成果だな、うん。感謝しろよー?」

(゚、゚トソン 「私の生命力の賜物ですね。いいからごはん」

ミセ*゚ー゚)リ 「ん、あぁ、もしかしてご飯?オッケー、ちょっと待ってなさいよっと!」

四六時中私の傍を離れない寂しがりやのテクニシャン、もといミセリには、決定的に足りないものがある。
言わずもがな洞察力だ。基本的にコミュニケーションが成立しない。哀れみを感じる。

ミセ*゚ー゚)リ 「じゃじゃーん。夏といえばコレ、カキ氷!」

そう言いながらミセリが持ってきたのは、彼女がいつも食べている、キラキラした白い山だ。
何が出てくるのかと期待していただけに、見慣れたそれは正直全く面白くない。
彼女はいつも、その山の上に何だか危なそうな色の水をかける。果たしてあれは食べられる色だろうか、甚だ疑問だ。


293 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 21:19:08.55 ID:Zi+KkjDr0
ミセ*゚ー゚)リ 「ほれ、あーん」

まぁ、彼女が薦めるなら大丈夫だろう。

(゚。゚トソン 「あーん」

この暑い中、何故か冷気を纏ったそれを口に入れた。

(゚、゚トソン しゃくしゃく

(゚*゚;トソン ニ゛ャュァン!

冷たっ!

ミセ*;∀;)リ 「うはははは!お前、面白い声出すなー!」

(゚、゚#トソン 「からかってるんですか?」

ミセ*゚ー゚)リ 「うーん、嫌い?でもお前もあれだよ。ウチの子なら、カキ氷好きになって貰わにゃ困るね」

言いながら、私を悶絶させたそれを次々と口に運んでいく。
私くらいになると、頭が痛くならずに済むスピードも熟知してるんだ。
自慢げにそう言うが、世界広しといえど最も役に立たないスキルの1つに数えられるだろう。

ミセ*゚ー゚)リ 「なにせウチにはカキ氷くらいしか食べ物が無いからねー。わたし1人だし、この家」

(゚、゚トソン 「ヘンッ、なんですかい、お前に食わせる物は無いぜってことですかい」

ミセ*゚ー゚)リ 「お前が食べないなら、わたし食べようっと」


294 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 21:22:16.48 ID:Zi+KkjDr0
カキ氷を食べ終えたミセリは、縁側に腰掛けて足をぶらぶらさせながら、ぼーっと空を眺めている。
私も彼女に倣い、隣に座って空を眺めてみたが、空腹で景色を楽しむどころではない。

(゚、゚トソン 「ごはん」

ミセ*゚ー゚)リ 「ここ、風が通って気持ちいいでしょ?」

(゚、゚#トソン 「ごーはーん!」

ミセ*゚ー゚)リ 「あーあー、ご飯だったね。……そうだ、スナックパン貰ったんだった。
       私食べないし、未開封のまま消費期限が近づいてて、どうしようかと思ってたんだよね」

そう言って袋から取り出したのは、私より大きい、というか長いパンだった。
ミセリはその1/4程を千切って私の前に置き、残りを袋に戻した。
仄かに漂う甘い香りが食欲をそそる。変な冷気も纏っていない。今度は少し警戒しつつ、かぶりついた。


295 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 21:26:17.70 ID:Zi+KkjDr0
(゚、゚*トソン 「これはうまい」

ミセ*゚ー゚)リ 「お気に召したかい、お坊ちゃん。ん、お嬢さん?猫の性別ってどこで分かるの、股?」

(゚、゚*トソン 「うまっ、何これ、甘っ、うまっ、信じられん……」

ミセ*゚ー゚)リ 「ちょっとみしてみ」

(゚、゚;トソン 「うまい……あっちょっ、やめてくださっ、やっ///」

ミセ*゚ー゚)リ 「女の子か!うはは、オトコノコだったら恥ずいぞー、お姉さんにこんな、ほーれ、開脚!」

(゚、゚;トソン 「やーめなさいってば!」




297 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 21:30:27.85 ID:Zi+KkjDr0
それから1ヶ月が経った。
彼女は仕事などもしていないらしく、ずっと家に居る。寝ているか、氷を食べるか、私に構うか。ニートだ。
寂しがりやなプリティキャットの私としては、遊び相手に欠かないので好都合だった。

ミセ*゚ー゚)リ 「今日から3日間、神社のほうでお祭りがあるの」

携帯電話いじりに満足したらしく、私に話を振ってきた。
ミセリは縁側に座って、垣根の向こうの山を指差した。遠目だが、いくつか旗が立っているのがわかる。

ミセ*゚ー゚)リ 「神社、あの辺りにあるんだけど、お前行ったことある?」

(゚、゚トソン 「貴方と同じくひきこもりですよ」

ミセ*゚ー゚)リ 「一緒に行こうって、友達に誘われたんだけどね……断っちゃった。人ごみも苦手だし」

頬杖をついて笑いながらそう言ったが、私にはとても悲しそうに見えた。
彼女は溜息をついて、何も言わなくなった。その間、あまりに静かで、風鈴の音が酷く耳障りに思えた。

ミセ*゚ー゚)リ 「3日目の夜、送り火があるの。どこぞの大文字とは比べ物にもならないけど、綺麗だよ。
       あれに見送られたらさ、気持ちよく帰れると思うんだよね、きっと……」

(゚、゚トソン 「……」

ミセ*゚ー゚)リ 「まっ、女2人で寂しく楽しみにしてよっか」

近頃彼女は、ここで遠くを眺めていることが多くなった。




303 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 21:45:25.21 ID:Zi+KkjDr0
やがて夕方になり、日も殆ど沈んでしまった。
神社のほうが何やら明るくて賑やかだ。結構な距離があるが、笛や太鼓がここまで聞こえる。

ミセ*゚ー゚)リ 「このやかましいのはね、祭囃子っていうんだ」

私を胸に抱いて、もう片方の手で音の出所を指差した。
なるほど、既にあの辺りでは人がぞろぞろとうごめいている。

ミセ*゚ー゚)リ 「わたしも高校の頃、友達と一緒に太鼓叩いたんだよ。
     あれが存外難しくてね、町内会のおっさんに怒られたよ。
     『情けない。その細腕は何だ、やる気あるのか!どうせ練習もしてないんだろ?』ってさ」

(゚、゚トソン 「意外ですね、器用なテクニシャンである貴方が」

ミセ;゚ー゚)リ 「けっこうグサっときたんだけど、わたしより皆のほうがキレちゃってさ。バチでボッコボコ。
       それ以来、うちの高校は叩かせて貰えないんだって。後輩には恨まれてるだろうなぁ」

まったく、やってくれるよね。苦笑いしながら、彼女は嬉しそうに話す。

ミセ*゚ー゚)リ 「来年は、行けるといいなぁ……1日目は皆と。2日目はお前と。3日目は、送り火」

しゃくしゃくと小気味の良い音を立ててカキ氷を食べながら、そう言った。
夢を絶たれた子供のような。遠い空に手を伸ばし、届かないと嘆くような。そんな口ぶり。
でも私は、期待して待っていてやろうと思う。

ミセ*゚ー゚)リ 「……ま、悪あがきでもね」

引き攣った顔をしながら、『食後』と書かれた錠剤を3つ、水も使わずに飲み込んだ。
薬の数は、以前より明らかに増えていた。




306 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 21:49:40.49 ID:Zi+KkjDr0
――――――――――――――――

彼女の手元にあった団扇が、はらりと落ちた。

ミセ* - )リ

歪んだ赤い線が描かれた彼女の唇を、ぺろりと舐めた。
しょっぱいような、苦いような。なんとも形容し難い味がした。
舌に触れたそれは、あまりに冷たかった。

( 、 トソン 「――」

(゚、゚トソン 「――ありがとうございました」

さようなら。
もう、届かないかもしれないけれど。

これから何処へ行こうか。――そうだ、神社に行かないと。
その後のことは、それからでいい。今は走ろう。
兎に角、今日の送り火を見に行かないと。ミセリが見たがっていた、神社の送り火を。

――――――――――――――――



310 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 21:54:46.86 ID:Zi+KkjDr0
次の日のミセリは、いつも以上にだらしがなかった。
縁側に座り、融けたカキ氷の器を傍に置いて、柱にもたれ掛かって呆けている。

私が膝に飛び乗ると、はっと気がついてこちらを見た。

ミセ;゚ー゚)リ 「あぁ、お前か。ごめんごめん。ちょっと、体を冷やしちゃったみたいでさ。あー、さみー……」

(゚、゚;トソン 「大丈夫ですか?」

ミセ;゚ー゚)リ 「なに?撫でて欲しいの?お前あれだね、結構甘えんぼさんだね」

(-。-*トソン ニャーゴロゴロニャーン

そちらで勘違いして甘えんぼ呼ばわりとは、随分と勝手だ。そして相変わらずテクニシャンだ。
冷たい指が、丁度いい力加減で体を滑る感覚が心地よい。
身体がどんどん軽くなって、温かくなって、弛緩していく。すぐに眠気が襲ってくる。
さっき起きたばかりだが、惰眠を貪るのが猫の仕事というものだ。このまま流されるのもいいだろう。

ミセ;゚ー゚)リ 「猫はあったかくていいねぇ……」

ミセ; ー )リ 「生まれ変われるなら、猫になりたいな。軽くて、暖かくて、高く跳べて……――」


311 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 21:58:29.76 ID:Zi+KkjDr0
(´O`゚トソン 「ふぁああああっ……」

ミセ* ー )リ 「おはよう、ねぼすけさん」

(゚、゚トソン 「ん、まぁ猫は寝るのが仕事ですから」

ミセ* ー )リ 「はは、そうだね。幸せそうでわたしも嬉しいよ」

(゚、゚トソン 「おや、初めてまともなコミュニケーションが出来ましたね」

ミセ* ー )リ 「そうだね。お前、そんな口調だったんだ。――ほら、お祭り始まったよ」

(゚、゚トソン 「2日目なのに、昨日と変わらず賑やかですね」

ミセ* ー )リ 「そうだよ。初日とは屋台も少し変わってるんだ。すっごく楽しいよ、皆でガヤガヤ騒いでさ」

ミセ* ー )リ 「でも明日は違うんだ。送り火が始まると、祭囃子だけが響いててね。
        大きな炎がゆーっくり揺れるのを見てるの。誰も、何も言わずに、じっと……」


312 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 22:02:32.88 ID:Zi+KkjDr0
ミセ* ー )リ 「明日、行ってきなよ」

(゚、゚トソン 「一緒じゃないんですか?」

ミセ* ー )リ 「わたしはここで見てるから……その代わりに、お前が行ってきて。約束してくれる?」

(゚、゚;トソン 「わかりました……でもやっぱり、少し怖いですね」

ミセ* ー )リ 「大丈夫だって。お願いね、トソン」

(゚、゚トソン 「トソン?」

ミセ* ー )リ 「お前の名前。ずっと前から決めてたんだけど、なんかこっぱずかしくってさ。……どう?」

(゚、゚*トソン 「んー、悪くないですね」

ミセ*^ー^)リ 「そう、よかった」

ミセリは目を細めて笑いながら、冷たい両手で、優しく、ゆっくりと私を撫でた。
なんだか、いつもと違う。そんな気がしたけれど、私の意識は再び靄がかかっていって……




316 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 22:08:26.73 ID:Zi+KkjDr0
――――――――――――――――

木の枝か何かに右肩を引っ掛けたらしい。動かす度に、痺れるような痛みを感じる。
だが、止まるわけにはいかない。日は沈みかけている、もう始まったかもしれない。急げ。

(゚、゚;トソン 「――っ!」

屋台の裏、人の歩かない所を走り抜ける。速く、速く。
耳を劈く太鼓と笛の祭囃子が、何処までも行っても鳴り響く。
なのに、とても静かだと感じるのは――

人の声はしない。ならば、もう送り火は始まっているか、その直前なのだろう。
何処だ。人の匂いを辿って、人の足音に耳を澄ませて、走れ。

――――――――――――――――




318 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 22:12:09.64 ID:Zi+KkjDr0
――――――――――――――――

一瞬、踏ん張りが利かなかったのだろうか。体が崩れ落ちて、右半身をしたたかに打ちつける。
2度、3度と体が地面を跳ねた。予想外の出来事に頭が回らない。でも、寝てはいられない。
口の中を満たす胃液を、肺から逆流してきた空気を、一息に吐き出して立ち上がった。

(゛、゚;トソン 「ぐあっ……」

右目が潰れたらしい。
参ったな、これではしっかりと見ることが出来ないかもしれない。

まぁそれくらいなら、許してくれるだろう。
顔の血を拭い、それ以外の怪我を少し舐めて、再び走り出した。

(゛、゚;トソン

やがて、人ごみにぶつかった。送り火はこの奥だろう。
足元を潜り抜けるのは難しい。少し遠目になってしまうが、木に登るのがいいだろう。
手頃なのを見つけて、太い幹に跳び乗った。
どんどん上に登っていくと、やがて人ごみの真ん中に、ぽっかりと空いた空間を見つけた。

そこに松明が投げ込まれる。

送り火が、灯る。

――――――――――――――――



320 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 22:18:10.47 ID:Zi+KkjDr0
――――――――――――――――

(゛、゚トソン

ゆらり、ゆらり。
炎は高く、高く燃え上がり、風に煽られて、ゆっくりと揺れる。

たいしたことは無い。別段恐ろしくも無い。ただの大きな炎。
でもそれを、皆が黙って見ている。蒸し暑いであろう人ごみの中で、何も言わずに、じっと。

貴方がこれを見たがっていた理由も、私に見せた理由も、はっきりとは分かりません。
――いつも楽しそうに笑っていた貴方にも、見送りたい誰かが居たのでしょうか。

( 、 トソン 「見ていますよね、ミセリ」

約束しましたよね。貴方もそこから見ているって。

――――――――――――――――


321 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 22:21:23.49 ID:Zi+KkjDr0
「あの時、死にかけたお前を見つけた時に、逃げなくてよかった」

「お前のお陰で、わたしは幸せだったよ。ありがとう」

「でもわたしは、最後まで面倒見てあげられないみたいなんだ。……本当に、ごめん」

「……あれ、もう寝てるの?寝付き良すぎでしょう……ほんと、お前も幸せそうで何よりだよ」

ミセ*;ー;)リ 「……じゃあ、ありがとう、元気でね。大好きなトソン……」


――――――――――――――――

( 、 トソン 「幸せでした」

( 、 トソン 「大好きです」

( 、 トソン 「ずっと、ずっと――」

炎が燃え尽きて、真っ黒な焼け跡だけになっても、私はそこに居た。

太陽はとうに沈んでいる。
蝉の声が聞こえる。木々のざわめきが耳障りだ。収まらない拍動も鬱陶しい。
それでも、今日はやけに静かだった。

――――――――――――――――


322 :(゚、゚トソン 静かに燃えていたようです :2010/03/07(日) 22:23:43.78 ID:Zi+KkjDr0
以上です。支援ありがとうございました。

元ネタは「うちのタマ知りませんか」です。
姪っ子が見てて不覚にも泣きました。結構改変したけど。

感想・批評などあれば宜しくお願いします。

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