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( ^ω^)白鳥が小川で死んだこと、のようです

246 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[] 投稿日:2010/02/26(金) 19:29:28 発信元:43.244.133.131
面前に広がる小川はせらせらと流れ、かつ濁っている。
遠くない水底から時折顔を出す鮒たちもどこか生気薄だ。

( ^ω^)

僕は俯いたまま、静かに川の中へと手を入れた。
ヒンヤリとした冷たさが妙に心地いい。

満足した僕が手を引き上げた時、バサバサと大げさな羽音が耳に届いた。
音のした方を向くと、そこには白鳥がいた。
凛と澄んだ白色を目一杯に広げるその様は、神々しいとすら思われた。


そして、彼女と重なった。


僕は嘆息し、そしてもう一度目の前の水面に触れる。
今度は何故かその温度を生温いと感じる。
そこまでして手を引き上げ、ようやく思いだすことができた。

( ^ω^)白鳥が小川で死んだこと、のようです




247 名前:( ^ω^)白鳥が小川で死んだこと、のようです [] 投稿日:2010/02/26(金) 19:31:23 発信元:43.244.133.131
――彼女は優れたバレエダンサーだった。
ジュニア大会の会場でその姿を初めて見たときから、彼女は他を圧倒していた。少なくとも僕からすれば。
だがあまりに惜しいことに彼女はその素質をその時はまだ一部の人間にしか理解されなかった。
だからこそ僕は入賞すら逃した彼女の控室へおしかけ、こう言ったのである。

( ^ω^)「僕の指導を受けてみないかお?」

余りに簡潔すぎる言葉の後、僕は自身のスクールに関する資料を渡してそれを補った。
僕は自分の指導力に自身があったし、今まで何人も世界レベルのダンサーを鍛え上げている。
そして彼女はその誰よりも上を行くダンサーたる素質を持っていた。

ξ゚ー゚)ξ「ありがとう、あなたみたいな指導者に見染められて光栄よ」

彼女はにっこり笑ってそう答え、僕に右手を差し出した。
それを僕が握手で返し、そこから彼女のコーチとしての生活が始まった。

僕が彼女に指示を出すと、彼女は論理的な説明を求める。
僕が説明をすると、彼女は要求以上のもので応える。
そんな関係で僕らは歩んでいった。

彼女はメキメキと力をつけ、実際大会でも結果を残すようになった。
彼女がそれまで結果を残せなかったのは、恐らく自分の魅せ方を知らなかったからだろう。
出で立ち、身体能力、センスが抜群の彼女に対し僕はプロデューサーのようなものだった。

そして、僕は彼女に惹かれていっていた。

249 名前:( ^ω^)白鳥が小川で死んだこと、のようです [] 投稿日:2010/02/26(金) 19:33:18 発信元:43.244.133.131
僕が彼女と出会って三年が経った。
その頃になると彼女は国内でも有数のバレエダンサーになっていた。
もはや国内では比肩するものなどおらず、僕と彼女の目は世界に向いていた。

そして、世界へ飛び出すためのチャンスが僕らに訪れた。
国内でも最も歴史のあるそのコンクールで優秀な成績を残せば、海外のコンクールに参加できるのだという。
彼女が国内でトップなのは間違い無かったので、まさにこれは千載一遇のチャンスだった。

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

しかし、僕の中で高まる期待とは裏腹に、彼女は元気を無くしていった。
練習中も精彩を欠き、前哨戦と位置付けたコンクールでも賞を逃した。
期待が裏返ったような不安に突き動かされ、僕は自室で彼女を問い詰めた。コンクール前日のことである。

ξ;゚⊿゚)ξ「怖いんです、足がすくむんです」

僕の問いに対し彼女は震える声で言った。
それまでの強気な様子からのあまりの変化にとても驚いたことを良く覚えている。

ξ;゚⊿゚)ξ「夢、それも足が切られる夢を見るんです」

( ^ω^)「切られるって一体誰にだお?」

ξ;⊿;)ξ「うっ、……コ、コーチに、です……」

そう言って彼女は泣き崩れた。
こんなにも彼女は小さかっただろうか、と僕は思った。

250 名前:( ^ω^)白鳥が小川で死んだこと、のようです [] 投稿日:2010/02/26(金) 19:34:45 発信元:43.244.133.131
(;^ω^)「何を言ってるんだお、僕が君に危害を加えるはずが無いお」

ξ;⊿;)ξ「でも……でもっ……!」

声の震えが全体に及び、彼女は嗚咽を上げた。
僕は思わず彼女を抱きしめた。
芳しい香りが鼻を擽る。いつしか震えは止まっていた。

それからどれぐらいそうしていただろう。
ふと彼女を見ると目を瞑り、頬を染めていた。
心のどこかで待ち望んだ光景に、僕は頷き、唇を重ねた。

ξ ⊿ )ξ「これっていけないことなんでしょうか」

彼女は震えの止まった声でそう言った。電気を消したせいで顔は良く見えない。
僕はさあね、と言ってもう一度キスをした。
舌を絡ませると彼女は熱い吐息を吐き、体をくねらせた。

そうして僕らは一つになった。

翌日、予定よりもだいぶ早く目覚めた僕は、一足先にコンクール会場へ向かうことにした。
目覚ましをセットし直し、タクシー代とカギを机の上に置いて家を出る。
彼女の可愛らしい寝息が僕を送り出してくれた。

251 名前:( ^ω^)白鳥が小川で死んだこと、のようです [] 投稿日:2010/02/26(金) 19:36:18 発信元:43.244.133.131
(;^ω^)「遅いお……」

それから数時間後。
大会の会場で、僕はにわかに焦り出していた。
アップの時間も考えると、そろそろ到着していなくては困る。

彼女に連絡をしようと取りだした携帯電話が突然鳴りだした。
驚きのあまり手の中で二度三度それを躍らせたあと、番号を確認する。
――僕の知らない番号だった。背筋を冷たいものが通り過ぎた。

(;^ω^)「もしもし、内藤ですお」

『内藤さんですか!?津出選手の乗っていたタクシーが事故で――』

そこからのことは良く覚えていない。
確か、僕はすぐにタクシーか何かを使い、彼女が運ばれた病院に行った。
そして次に僕が彼女を見たときには……

ξ ⊿ )ξ「ごめんなさいコーチ、私はダメになってしまいました」

緊急手術が終わり、目覚めた彼女は僕から目を背け、こう言った。
ベッドの左側に腰かけていた僕には『それ』が良く見えた。
彼女の左足は、付け根のところから先が無くなっていた。
最初からそうだったのじゃないかと思うくらい、『それ』は恐ろしく、そして美しかった。

253 名前:( ^ω^)白鳥が小川で死んだこと、のようです [] 投稿日:2010/02/26(金) 19:38:08 発信元:43.244.133.131
(  ω )「また、来るお……」

励ましの言葉も絞り出せず、僕は逃げるように病室を後にした。
あの日と違い、僕を送り出したのはあまりにも冷たい無言の哀しみだった。

病院を背に、フラフラと歩きだす。
後悔、自責、愛憎、自己嫌悪……様々な感情が渦を作り、ゆっくりと僕を飲み込んでいく。
曇天は厚く、そして清々しいほどに憎たらしい。

いつの間にか、僕の知らない場所に出ていた。
そこには小さな川が流れていた。
僕は何の気なしにそこへ向かっていった。

(  ω )

川面に映った僕の顔は酷く醜い。
諦めたように顔を上げ、川の中へ入ってみた。
川は思ったよりも浅く、腰までしか浸からなかった。
これじゃあ間違っても死ねないな、と僕は呟き、そして川辺へ座り込んだ。

川はせらせらと流れ、かつ濁っている。

254 名前:( ^ω^)白鳥が小川で死んだこと、のようです [] 投稿日:2010/02/26(金) 19:39:56 発信元:43.244.133.131
――そうだ、そうだったのだ。

いかにも昔話のように語ってしまったが、これは今の僕の話なのだ。
先ほど入れた手だけでなく下半身も濡れているのが何よりの証拠だろう。
何故、ここまで他人事のような口ぶりなのか、当人の僕には余計に分からない。

僕はもう一度、川面に映る自分の顔を見た。
能面のように張り付いた笑顔がそこにはあった。

彼女とはもう会うこともないだろうな、と僕は予感した。
片足を無くした彼女はもう白鳥ではない。フラミンゴなのだ。
そんな劣等種を愛でるような趣味は、僕には無い。
純粋無垢な白ではない、ピンク色などただの売女にしか思えないのだから。

バサバサと、白鳥が飛び去る音が聞こえた。

僕は立ち上がり、軽く伸びをした。
近くに落ちていた石を拾い、振りかぶって投げる。
平なその石は、ポンポンポンとリズミカルに水面を飛び跳ねる。


それはどこか、ワルツのリズムに似ていた――。

終わり

255 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[] 投稿日:2010/02/26(金) 19:42:30 発信元:43.244.133.131
投下以上です
>>246 >>247 >>249 >>250
>>251 >>253 >>254

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