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川 ゚ -゚)たった一億のようです

426 名前:川 ゚ -゚)たった一億のようです[sage] 投稿日:2010/02/14(日) 23:31:21 発信元:210.153.84.179
川 ゚ -゚)「ふぅ」

高層マンションの一室。

明かりの点いていない自室に入り、彼女、素直クールはまず溜息を吐いた。

普段と変わらない、何より落ち着く自分だけの空間。
深い夜の静寂が支配する、闇に沈んだ空間。

他の以外の誰もいないはずのそこに、クールは『語りかけた』


川 ゚ -゚)「……いい夜だ。君もそう思わないか?」

「!」

闇が震えた。

川 ゚ -゚)「出てこい、ドクオ。そこに居るんだろ?」

気配が形を作る。

闇の中に、かつてのクールの同僚が姿を浮かべた。

小柄かつ痩せぎすで今にも病に倒れそうな彼と、髪の長い細身の美しい彼女。

何も知らない人は、対峙する2人が共に殺人術の達人だとは想像だに出来ないだろう。


川 ゚ -゚)たった一億のようです


427 名前:川 ゚ -゚)たった一億のようです[sage] 投稿日:2010/02/14(日) 23:33:30 発信元:210.136.161.238
('A`)「俺が何をしに来たかは分かるな?」

川 ゚ -゚)「私を殺しに、だろう。無理をするなよ、こそ泥君」

('A`)「……へぇ、余裕じゃねーか。お前は今からオレに殺されるのに、よぉ!」

川; -)「がはッ」


言葉が終わるより早く、ドクオは一瞬でクールとの距離を詰めた。

小柄な体躯から繰り出される素早く力強い体術は、
同業者から最強と呼ばれたクールにも容易に受けきれるものではない。

深く沈んだ姿勢からのドクオの槍のような蹴りを、
クールは鳩尾に突き刺さる寸前で受け、
その衝撃で壁に叩きつけられた。

クールは、決して油断していた訳ではない。単にドクオが速かったのだ。

ほんの一瞬でも対処が遅れていたならば、
彼女は内臓を潰されて絶命していただろう。

黒みがかった血反吐を吐き、クールは内心で舌打ちした。
これだけの痛手を受けて『戦利品』が『これ』1つなど、とても割に合わない。

428 名前:川 ゚ -゚)たった一億のようです[sage] 投稿日:2010/02/14(日) 23:35:40 発信元:210.136.161.244
('A`)「あぁ? お前なんでまだ生きてるんだよ……面倒くせーなぁ」


川; -)「げほッ、げほッ! ……予想したより、っ、速いな、」


蹴りを受けた左手にぶら下げた安全靴を無造作にドクオの足元に投げた。

それが数秒前まで穿いていた物だと気付いたドクオの顔から、余裕が消える。


(;'A`)「ああ? てめえ、いつの間に……」

川;゚ -゚)「人の家に、上がる時は、靴くらいは、脱ぐ、ものだ……」

( 'A`)「流石は最強の素直クール様、って事か。仕方ねぇ……」


ドクオは、大振りなナイフを抜いた。

彼がナイフに関しては天才的な実力を持つことを、クールは知っていた。

彼がナイフファイトで敗れたところなど、
訓練生時代から一度として見たことがない。


429 名前:川 ゚ -゚)たった一億のようです[sage] 投稿日:2010/02/14(日) 23:37:26 発信元:210.153.84.181
( 'A`)「ちょっと痛いかも知れねぇけど、我慢しろよ」

川;゚ -゚)「くッ!」


ドクオの体術とナイフの巧みな組み合わせに、クールは圧倒された。

回転をベースとした彼の変則的な動きは
クールの予測を尽く掻き乱し、反撃を許さない。

もしもクールの着ているタートルネックが防刃・絶縁その他の機能に優れた
特注品でなければ、彼女は既にドクオに3回は殺されているだろう。

('A`)「ッと!」

片方の靴を失ったままのドクオが、不意にバランスを崩した。

僅か一秒にも満たない、逆転には十分すぎる隙。

生まれた一瞬の隙を突いて、クールは懐に隠し持った武器を押し当てた。


川;゚ -゚)「喰らえッ」


超高圧の電流が流れ、それをもろに食らったドクオは崩れ落ちる

……はずだった。

430 名前:川 ゚ -゚)たった一億のようです[sage] 投稿日:2010/02/14(日) 23:39:35 発信元:210.153.84.175
('A`)「スタンガン? 無駄だよ!」

川; -)「な……?」


零距離から放たれた強烈な膝蹴りがクールの無防備な腹に突き刺さった。

クールの足から力が抜け、持っていた必殺の武器も取り落とす。

ドクオは崩れ落ちる彼女の髪を掴み強引に引き摺り上げ、続けた。

('A`)「絶縁スーツだ。お前のしそうな事にはすでに対策してある」


ドクオはクールの首元にナイフを押し当て、低く恫喝した。


('A`)「大人しくしろよ。そうしたら、なるべく楽に殺して……!」ペチャッ

川;゚ ー゚)「ふん……」


ドクオが全て言い終わるよりも早く、クールはその顔に唾を吐きかけた。


川;゚ -゚)「断る。私はまだ貴様ごときに殺されるほど、落ちぶれていない」



431 名前:川 ゚ -゚)たった一億のようです[sage] 投稿日:2010/02/14(日) 23:42:05 発信元:210.153.84.163
('A`)「……俺はよぉ。俺の思い通りにならねぇ女は大嫌いなんだよ……」


川;゚ー゚)「相変わらずの見下げ果てたクズ野郎で安心したよ。
     どうせ今年もバレンタインデーとも絶縁状態だろう?」


(#'A`)「貴様……!」


川;-ー-)「図星のようだな。忠告してやるが、お前の顔は
     しかめない方がいい。不快さが増す」


(#'A`)「ああ分かったよ。聖ヴァレンティヌスよろしく、頭を砕いて殺してやる」

ドクオが力任せに振るう拳を、クールはただ受ける事しかできなかった。

1回、2回、3回……

気絶できない程度の力で何度も何度も繰り返し殴られ、
ようやく解放された彼女は、よろめきながら壁に背をついた。

432 名前:川 ゚ -゚)たった一億のようです[sage] 投稿日:2010/02/14(日) 23:44:42 発信元:210.153.84.233
川;゚ -メ)「……まともに抵抗出来ない女を殴るのは……楽しいか……?」


('A`)「良く回る口だな。どうせなら惨めに命乞いでもしてみせろよ」

川;-ーメ)「悪いが、クズに下げる頭は、持っていないんだ」

('A`)「ふーん。別に俺はお前の生き方には口出ししねぇけど、なァ!」

川; -)「ぐッ、げほッ……うぐ……」


利き足での容赦の無い蹴り。
クールは壁際の棚に体を預け、かろうじて倒れるのを防いだ。


('A`)「もっと賢い生き方だってできたんじゃねーのか?
    なんで俺が送り込まれたのか位は分かるよな?」

川;゚ -メ)「……どうせ、荒巻にでも、雇われたんだろう?」

過去の自分の雇い主の顔が否応なしに浮かんだ。

自らに都合の悪い事は手を尽くして完全に闇に葬る、冷酷で不快な男だ。

暗殺を重ねた証拠を道具もろとも消す位は、躊躇わない。

433 名前:川 ゚ -゚)たった一億のようです[sage] 投稿日:2010/02/14(日) 23:46:47 発信元:210.153.84.82
('A`)「厳密には違うが、まぁその辺りだ」


川;゚ -メ)「だったら、その秘書のモララーかな」


('A`)「ちっ、その通りだ。余程あんたを殺したかったらしいぜ」


彼等らしい。クールはそれだけ思った。
栄達と保身以外は、連中の頭の中に無い。


川;- _メ)「ずいぶん話してくれるな。良いのか?」


('A`)「お前だって、理由も知らずに殺されたく無いだろ?
    お前は別に気にするなよ。これは俺の主義だ」


川;-ーメ)「成る程。プロらしくない。ついでに教えて欲しいんだが……」


ずっと知りたかった事を聞く機会を得た。
それなのに問う少し声が震える。

クールは、雇われて人を殺してきた頃から抱えていた問いを口にした。

436 名前:川 ゚ -゚)たった一億のようです[sage] 投稿日:2010/02/14(日) 23:50:03 発信元:210.153.84.242
川;-ーメ)「私の命は一体いくらなんだ?」


('A`)「……一億だ。他に前金と実行費で二千万貰ってる」


その金額は、決して安くはない。
むしろ、かつて自分が手にかけた者よりも、はるかに高い。
クールは、はじめて罪の意識を感じた。

他人の命を奪って金にしたこの外道の命は、
奪ったどの他人の命より金になるのだ。

たった今目の前にいる殺人鬼も、
同じ感覚に捕らわれているのだろう。

クールはそこで思考を打ちきった。

今考えるべきは、そうじゃない。
今は……

437 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 00:00:06 発信元:210.153.84.173
川;゚ーメ)「そうか。たった一億、か!」

呼吸を整える時間は十分に稼げた。
生き残る為に、ドクオに勝つ為に、何をすればいいのか。

答えは既に見つけてある。

クールは勢いよく爪先を蹴り上げ、ドクオの顎を打ち抜いた。
間髪入れずに、凭れていた棚を引き倒す。


('A`)「がッ!? てめ……、!!」

なんとか棚を避けたドクオの視界いっぱいに、黒い布が広がった。

周囲が明るければ、その程度は一瞬の目隠しにすらならない。
だが、光源の無い真っ暗な現状では、いかに夜目に優れた
自分たちと言えども、対処するのは難しい。

素直クールを相手にするなら、ほんの僅かな隙でも命取りだ。


ドクオは後ろに飛び退いて、クールの着ていた黒いコートを避けた。

視界を遮る布が落ちた時、ドクオの前にクールは居なかった。


('A`)「く……逃がすかよ!」


439 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 00:06:23 発信元:210.153.84.69
ドクオは、物音を頼りに闇の中を追った。
玄関とは反対の方向から、足音が聞こえる。
どうやら、外に逃げるつもりのではないらしい。

ドクオの耳に、ドアを閉じるくぐもった音と、
鍵を掛ける軽い金属質な音が聞こえてきた。

('A`)「まさか……風呂場だと!?」

自分から逃げ場を無くすなど、馬鹿げている。
鍵があれば安心だとでも思ったのか? そんなもの、何の役にも立たない!

ドクオは、風呂の扉のすりガラスをナイフでぶち破った。


(#'A`)「おい、てめぇ一体どういうつもりだ!?」

川;゚ -メ)「どういうって、一応私も女の子だからな」

風呂に押し入ったドクオは、全身に凄まじい熱を受けた。

(; A)「ぐあぁああぁああッ!?」

川;゚ーメ)「キレイ好きなんだよ」

視界の外れから、スタンロッドを構えたクールが襲い掛かってくる。

彼女が洗面器いっぱいの熱湯をぶちまけたと気付いたのは、その直前だった。


441 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 00:11:06 発信元:210.153.84.76
(;'A`)「くっ……そがぁッ!」

川;゚ -メ)「ぐっ!?」


飛び掛かるクールの喉と左手は、ドクオに掴まれた。
ダメージの抜けていないクールでは、ドクオの腕力には敵わない。しかし、


川;゚ -メ)「……どうした? そのまま私の首の骨をへし折れば、
     お前の望み通り、私は死ぬぞ?」

(;'A`)「……そんなに死にてぇのかよ?」


ドクオは、躊躇ってしまった。掴んでいた勝利を再び取り落とした。


川;゚ -メ)「断じて御免だね。それにしても、つくづくお前はプロらしくないな」

( 'A`)「……?」

川;゚ーメ)「お前の敗因はそれだけだ」


クールは、右手に隠し持ったもう一本のスタンガンを
素早くドクオの脇腹に押し付け、スイッチを入れた。

水浸しの絶縁スーツの表面を、剥き出しの顔や手を、右足を、高圧の電流が走る。

444 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 00:15:32 発信元:210.153.84.170
(;゚A゚)「あが……」

川 ゚ -メ)「まだ気絶するなよッ」


直接首に押し当てて、もう一度。


(; A)「がかか……」

川;゚ーメ)「こんなに可愛い女の子をボコボコやってくれた罰……その身に受けろ!」


クールは、全力で右ストレートを振り抜いた。
固めた拳は、ドクオの顔面に吸い込まれるように叩き込まれ、
彼の脳髄に衝撃を余すところなく伝える。

川 ゚ -メ)「鉄拳制裁ッ(フィアーズ・ノックダウンッ)!!」

゚(A(#)「べぶらッ」


クールの渾身の一撃で、ドクオは完全に意識を手放した。


川;゚ーメ)「……私の勝ちだな」

……かくして、殺人鬼同士の死闘は幕を下ろす。

445 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 00:19:17 発信元:210.153.84.68
( A )

('A`)「……うッ」

('A`)「ぐ……ここは……?」


ドクオが目覚めた所は、地獄でも天国でもなかった。
気絶する少し前まで殺し合いをしていた、クールの寝室だ。


川 ゚ -メ)「ああ、目が覚めたのか」

('A`)「あ……? お前……!? 何でッ!?」

川 ゚ -メ)「叫ぶな。頭に響く」


改めて、自分の置かれた状況を確認する。
どうやら、両手と両足がロープでぐるぐる巻きにされているらしい。

ドクオは混乱した。


(;'A`)「なぜ俺を生かしてる? なぜ殺さない!?」

川 ゚ -メ)「理由は幾つかあるが……どうでもいい順に話そう。
     まず1つ目は、お前を殺してもメリットがないからだ。
     無駄な労力は使いたくないんでな」

448 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 00:21:58 発信元:210.153.84.168
(;'A`)「はじめから、俺の命は眼中外だったのか……俺はまたお前を狙うぞ?」

川 ゚ -メ)「2つ目。お前は私を殺せない。二回もチャンスを逃した事が証拠だ」

('A`)「……くそ」


ドクオは歯噛みした。
悔しいが、事実だ。俺はこの女を殺せなかった。


川 ゚ -メ)「3つ目。お前には私と行動を共にする合理的な理由がある」

('A`)「……何?」

川 ゚ -メ)「荒巻やモララー達だ。このまま奴らに従っていると、
     いずれ間違いなくお前も私のように使い捨てられる」

('A`)「そりゃあ……」


クールの言うことは、恐らく正しい。
モララーと直に話したドクオにも、それは分かった。

450 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 00:23:56 発信元:210.153.84.183
川 ゚ -メ)「私はこれから外国に身を隠す。暫く旅をするのも良いだろう。
     その為の資金にはアテがあるからな。……お前も付いて来い」

('A`)「……なに?」

川 ゚ -メ)「私の下に就け。お前も護衛程度には役に立つ」

(;'A`)「正気か? 俺はお前をあんなにボコボコにしたんだぞ?」

川 ゚ -メ)「馬車馬の如く働いて返せ、と私は言っているんだ」

('A`)「……」


本物の馬車馬のように働かされる自分を、ドクオは容易に想像できた。


('A`)「だが……」

川 ゚ -メ)「そう気にするな。私も昔は散々殺した」

('A`)「……」

川 ゚ -メ)「今はお互いにこうして生きている。それで良いだろ?」

452 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 00:25:26 発信元:210.153.84.166
('A`)「俺は……」

川 ゚ -メ)「……まぁ、無理にとは言わないさ。三日待つから、ゆっくり考えろ」


ゆっくり考えろ? バカ言うな。
三日も考える必要なんてあるか。

ドクオは即座に結論を出した。


('A`)「……わかった。従おう」

川 ゚ーメ)「……そうか」


初めてクールが自分に向けた自然な微笑みに、ドクオは直感した。
俺は一生この魔女には敵わない、と。

455 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 00:30:56 発信元:210.136.161.243
川 ゚ -メ)「4つ目。お前はモララーに雇われて私を殺しに来たんだろう?」

('A`)「……ああ」

川 ゚ -メ)「だったら、お前が受け取った前金の二千万は私の金だ。
     あれは私の命に支払われた金だからな」

(#'A`)「……!? ふざけんな、そんな横暴なッ!」

川 ゚ーメ)「答えによっては、今後のお前の処遇が変わるぞ?」

(;'A`)「……くそッ! くそぉッ!」


ドクオは、再認識した。
俺は一生この魔女には敵わない、と。


(;A;)「全額、お譲りします……」



川 ゚ーメ)「……5つ目。私がお前を殺したくなかったのさ」

一億円の最強の魔女の小さな最後の囁きは、殺し屋には届かない。

──了──

457 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 00:38:32 発信元:210.153.84.69
>>426-433>>436-437>>439>>441>>444-445>>448>>450>>452>>455

以上で。地の文付きもバトル付きも初でしたので、正直自信が無いでした。

よろしければご指導頂きたいです

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