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(#゚;;-゚)不器用なようです(・∀・ )

625 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 13:30:53 発信元:220.217.62.162

 彼がわたしの笑顔が好きと言ったから、いつでも笑っているようにした。

――――ヘラヘラするなと言って、彼は私を殴った。

 彼が笑うなと言ったから、いつでも無表情でいるようにした。

――――人形みたいで気持ち悪いと言って、彼はわたしを蹴り飛ばした。

 彼が望むことはなんでもしたわ。

―――でも彼はわたしに何もしてくれなかった。

 彼と一緒にいたかったの。

――――彼はどうだったかしらないけれど。

627 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 13:33:08 発信元:220.217.62.162
 他人にとってこの傷が酷いものに見えようとも、わたしにとっては彼がくれた宝石なの。
 首輪とその痕でさえ、どんなものよりも高級なネックレス。
 わたしには彼しかいなかったの。
 側に居ることができるなら、どんなことにだって従った。
 けれども。
 こればかりはどうしていいかわからなかった。


 殺してくれなんて、そんなこと。



628 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 13:35:03 発信元:220.217.62.162



(#゚;;-゚)不器用なようです(・∀・ )





630 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 13:37:32 発信元:220.217.62.162


(#゚;;-゚)「どうし……て……?」

 手渡されたナイフを握り締め、半ば呆然としてわたしは彼に問い掛けました。
 銀色に煌めくそれは、彼が何度もわたしの肌に滑らせたもの。
 わたしの顔と彼の顔を、鏡のように映したそれは、刃零れ一つありません。

( ・∀・)「僕の望むことは何でもしてくれた君だ、今回もしてくれるよね?」

 そう言って、何時もと同じシニカルな笑み。
 けれどもその瞳には何も映ってはいなくて。
 そんな彼を見ていることが出来なくて、私はふるふると頭を横に降りました。

(#゚;;-゚)「……できま……せん」



631 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 13:39:07 発信元:220.217.62.162
 右頬に衝撃。
 ナイフが手から離れ、床に落ちた硬質な音。
 殴られた、と気付いたのは床に倒れこんだ私を彼が踏みつけてからでした。
 何度も何度も足が降り降ろされ、私の骨がぎしぎしと悲鳴を上げます。
 肌に感じる、彼の足の感覚にほんのりと身体が熱くなり、頬が赤くなりました。
 それを見つけた彼は私を詰るのです。
 足蹴にされて欲情しているのかこの変態め、と。
 彼の表情が見たくて、顔にかかった髪の間から見上げればそれは満面の笑みで。
 彼が笑顔でわたしを見ている事実にもっと身体が熱くなり、そのままされるがままになっていました。
 痛いのが気持ちいい。
 この痛みを受けることだけか、今わたしを支えているのです。
 これが、彼の愛情だと、信じているから。
 彼の言葉一つ一つが、わたしの醜い心を剥き出しにするのです。

 暫くして彼はぴたりと動きを止めて、私へ語りかけます。


633 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 13:41:03 発信元:220.217.62.162

( ・∀・)「また君に暴力を振るって、こんなことを言うのは可笑しいかもしれない。
     けれども僕は、罰を受けなければならない。
     今まで君にしたことを考えれば、僕は殺されるくらいじゃ済まないだろうね。
     だから、君の好きなように殺して欲しいんだ」

 さぁ、立って。
 彼に命令されれば、わたしは従わないわけには行きません。
 ゆっくりと、しかししっかりと立ち上がります。
 それを見届けた彼は落ちたナイフを広い上げ、私へと再び手渡しました。
 そして、私の前ですっと腰を降ろして跪いたのです。
 あの彼が、この彼が、こんなことをするなんて。
 片膝をついて頭を垂れる彼は、まるで王子様。
 酷く酷く、美しい。
 


634 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 13:43:45 発信元:220.217.62.162

 思えば彼には、愛してるだなんて言われたことも無かった。
 優しいキスなんてもってのほか。
 セックスは彼がわたしを一方的に犯すものだったし、よく締まるからって首を何度も絞められた。
 言葉でも何度も責められて、身体に傷をつけられた。
 そういえば、彼の命令で彼以外の男に身体を許したこともあったっけ。
 勿論、彼が見ている前で。

 全て、彼を愛していたからと受け入れてきた。
 これが彼の愛情なんだと、受け入れてきた。
 罵られたり、暴力を振るわれて興奮するのはそういう性癖のはず。
 彼に従うことが私の愛情表現。
 ……そう、信じてた。


635 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 13:45:10 発信元:220.217.62.162

 けれど今、疑問が生まれてしまったのだ。
 本当にわたしは彼を愛していた?
 彼が憎くてたまらないのに、彼を愛しているから耐えられると思い込んではいなかった?
 ずっとずっと、彼の白い肌にナイフを這わせて赤い線を着けたかった。
 彼の首を絞めて、青白く染まる顔を見てみたかった。
 少しでも、そう思ったことは無かった?


 彼はそれを見透かしていたからこそ、殺してくれなんて言ったのでは?


 ぐるぐると疑問はわたしの頭を回り、わたしの意識は



636 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 13:47:06 発信元:220.217.62.162

( -∀-)「やっぱり無理……か」

 彼の呆れたような呟きによって、わたしは思考の海から現実へと意識を取り戻しました。
 そして、一歩。
 彼はわたしに背を向け歩み出しました。。
 わたしは彼の命に従いませんでした。
 きっと、彼はわたしに失望したのでしょう。
 それを思うと、さっきまでの考えはどこへいったのか。
 燃えるような激情が、わたしを支配しました。
 捨てないで、嫌いにならないで、わたしにあなたを愛させて。
 あなたしか居ないの、愛してくれなくてもいい。
 何でもするから、側にいさせて。

 そして、零れる赤、朱、緋、あか。



642 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 14:01:07 発信元:220.217.62.162

 わたしは殆ど無意識のうちに、背後からぶすりと、彼をナイフで刺したのです。
 はっとしてわたしはナイフを彼から抜きました。
 滝のように、赤い血が彼に空いた穴から溢れ出します。
 彼は仰向けに倒れこみ、硝子玉のような瞳で、私の目を見ました。
 そして手を伸ばし、わたしの首に嵌まった首輪に手を伸ばすのです。
 かちゃりかちゃりと金属が触れ合う音がして、わたしの首から首輪を外そうとしているのがわかりました。
 やめて、そう言いたいのに溢れ出るのは嗚咽ばかり。

(  ∀ )「これで、じゆうだ」

 零れる赤を気にもせず、彼はわたしに言いました。
 その手には外された首輪。

 首輪が無い。
 彼との繋がりである首輪が無い。
 それは酷くわたしを狼狽えさせました。
 ぽたりぽたりと溢れる涙を抑えることが出来ません。
 何か言いたいのに、言わなければならないのに、意味ある言葉が出てこない。
 刺したのはわたし、泣くべきは彼。
 それなのに。



644 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 14:04:40 発信元:220.217.62.162

(  ∀ )「あいしてた」

 最期にそんなことを言うなんて。
 
 次にわたしの口をついて出たのは、悲鳴にも聞こえる泣き声だった。



645 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 14:07:41 発信元:220.217.62.162

◇ ◇ ◇

( ^ω^)「本当に命に別状が無くてよかったですおー」

 車のハンドルを握りながら、人のよさそうな笑顔で内藤さんは言った。
 彼はわたし達が住んでいたマンションのお隣さんだ。
 あの時、わたしの声を聞いて駆けつけてくれたらしい。
 彼曰く、

( ^ω^)「毎日のように……、えっと、変な音が聞こえて……ちょっと怖かったんだお。
      そしたら昨日悲鳴が聞こえてきて……」

 やっと、勇気が出たんですお、と言って、内藤さんはカラカラと笑った。
 恐らく彼が聞いていた変な音は彼がわたしを殴ったり蹴ったりした音や、わたしの喘ぎ声だろう。
 音だけとは言え、彼以外の人にあれを聞かれていたとは。
 羞恥で顔が赤く染まる。
 ああ、恥ずかしい。



646 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 14:11:21 発信元:220.217.62.162

( ^ω^)「それにしても……本当に大丈夫ですかお?」

 暫くして、内藤さんは心配そうな声色でわたしに尋ねた。
 内藤さんは血塗れのわたしと彼を彼を見て、直ぐに病院に連絡してくれた。
 そして今も、彼の居る病院へと送ってくれている。
 内藤さんは何も聞こうとはしないけれど、大体の予想はついているのだろう。
 
(#゚;;-゚)「ええ」

 だからそう言って、わたしは首を触る。
 そこにあったはずの、首輪の感覚を思い出す。
 結局あんなものが無くても、わたしは彼に縛られている。
 彼が憎くなかったかと聞かれれば、はいとは答えられない。
 けれども彼をあいしていないのかと聞かれれば、それにもはいとは答えられないのだ。
 隣の内藤さんを見れば、難しそうな顔。
 そんな彼にわたしは薄く微笑みかける。

(#゚;;ー゚)「あの人、結局不器用なんです。
    だからこそわたしにこんなこと、したんですよ」



647 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 14:14:11 発信元:220.217.62.162

 今ならわかる。
 彼はわたしを解放したかった。
 けれども、意志の弱い彼は離れるだけでは駄目なのだ。
 それになにもせずにわたしから離れるわけにも行かない。
 きっとわたしは彼を恨んでいるだろうから。
 ……そんなところだろう。

 内藤さんは納得出来ない様子だったが、もうすぐ着くお、とだけ言ってそれきり口を開かなくなった。
 はい、と答え、わたしは考えを巡らせる。
 あの事件のあと、わたしは客観的にわたし達の関係を見ることが出来るようになった。
 共に依存しているのだ。
 きっと、これからも。
 でもそれでいいと思った。
 あのとに彼が言ってくれた五文字の言葉。
 それだけで全て耐えられる。

 もう少しで彼の元へ着く。
 そう考えるだけで、ほんのり身体が熱くなった。
 はじめに言うことは何にしよう。
 ブレーキによる減速を身体で感じながら、わたしは腕の傷痕を指で撫でた。

649 名前:いやあ名無しってほんとにいいもんですね[sage] 投稿日:2010/02/09(火) 14:15:07 発信元:220.217.62.162
>>625,>>627,>>628,>>630,>>631,>>633,>>634
>>635,>>636,>>642,>>644,>>645,>>646,>>647

全14レス

お題
首輪が無いと不安
恋人を踏みつけて満面の笑み
跪く姿が美しい

(#゚;;-゚)不器用なようです(・∀・ )

でした。
途中猿によってご迷惑お掛けしました。

批評宜しくお願いします。

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