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('A`)丘の上のようです

674 :('A`)丘の上のようです:2010/01/30(土) 22:55:16.03 ID:cBgISVOOO



俺は、体操服の似合わない子供だった。
クラスの中ではダントツのチビで、体力も瞬発力も根性も無かった。
所謂、運動音痴というやつだ。
そんなんだから、俺は体育が苦手だし、とても大嫌いだった。

だから、毎年一月に行われるマラソン大会は、俺にとって苦痛以外の何物でもなかった。


('A`)「…走りたくねぇなあ……」


走り始めて3分後、早くもクラスメート達は遥か前方で黒い豆粒になっている。
どうみても置いてきぼりです、本当に有難うございました。こん畜生。
因みに、俺は既に歩いていて、走る気は毛程にもない。


根性無しの体力のなさ、舐めんなよ。





676 :('A`)丘の上のようです:2010/01/30(土) 22:57:37.88 ID:cBgISVOOO


海に近いルートに差しかかると、強い潮風か吹き荒ぶ。
一月の風はまるで氷で出来たように冷たくて、俺は思わず耳を手で庇うように覆う。
嗚呼駄目だ、鼻水垂れそう。

マラソンのルートには、海沿いのルートの途中に、人工的に造られた小さくゆるやかな丘と、これまた小さな公園がある。

俺はゆるやかな丘をえっちらおっちら登り、流れていく雲を見送りながら歩く。
ドクオは歩くようです、なんちって。フヒヒ。


( ^ω^)「おっ?ドクオ、また歩いているのかお?」

後方からの声に振り向くと、トップを走っていた筈の友人が俺の後ろにいた。
何の事はない、単純に俺が周回遅れしただけの話である。
少し遅れて、他のクラスメート達もやって来た。
皆して、足早すぎだろ。

いや、俺が遅いんだけどね、ウン。




677 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:01:12.99 ID:cBgISVOOO


(,,゚Д゚)「真面目に走れよー」

('A`)「へーへー」


またも、みるみる遠くなるクラスメート達の背中を見送る。

程なくして、俺はまた一人になった。


もう一度空を見上げると、雲すらも俺をびゅんびゅん通り越していく。



('A`)「俺、雲より足遅ぇのな」



ポツリと呟く。聞いてる奴なんて、誰も居ない。

何気なく辺りを見回し、ほぅ、と溜息一つ。
この丘は、海に近いのに、潮風を余り感じない。まるで、時が止まっているかのように。





678 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:03:40.06 ID:cBgISVOOO


「おーい!」

呆けている所で唐突に、後ろから、誰かの掛け声。

恐る恐る振り向けば、知らないおじさんが、俺に向かって手を振っている。



「頑張れー!走れー!」



一気に、頬が熱くなったのを感じた。

遠くて顔はよく見えないけれど、きっと笑っているのだろう。

俺は何だか恥ずかしくなって、深く頭を下げて、無我夢中で走った。



きっと、あのおじさんは、俺の事を根性無しの情けない男だと思っていたのだろう。
間抜けな面して、空をボーっと見ていた俺を、変な奴だと笑っていたのだろう。


何だか無性に悔しくて、何だか自分が情けなくて、俺は精いっぱい走った。







680 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:07:09.64 ID:cBgISVOOO




呼吸するのも辛くて、喉がカラカラになって唾もでなくて、横腹が痛くなっても俺はスピードを緩めなかった。
横に誰がいるとか、何があるとか、そんな事も考えなかった。




気付いた時、俺はクタクタになって足がガタガタになって、先生やクラスメート達が俺の頭を撫でくり回して俺を褒めていて、何が何だか分からなくて。




(*^ω^)「凄いおドクオ!まさか周回遅れから一気にトップブッチギリだなんて、僕おったまげたお!君には素質があるお!」







683 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:09:41.12 ID:cBgISVOOO







(ii'∀`)「……せ、説明口調、乙…………」




俺は、生まれて初めて、マラソンが好きになった。




あれから、もう十年が経つ。
俺は、あの時の丘の上に立っている。

('ー`)「……此処は、十年経っても変わらないのな」


フ、と笑みがこぼれる。懐かしさ故にだ。


あのマラソンのルートでは、懐かしいジャージの裾をはためかせ、少年の集団が必死に走っている。
ああ、もうそんな季節なんだな。






686 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:11:52.00 ID:cBgISVOOO

('A`)「ん?」

ふと、気付く。一人だけ、空を見上げて歩く少年に。



('A`)「おーい!」


声をあげ、思わず手を振る。
少年が振り返る。



('∀`)「頑張れー!走れー!」



少年は、慌てた様に俺に深々と頭を下げ、丘を一目散に駆けていく。
俺はそれを、懐かしいような、微笑ましい気持ちで見送った。




体操服の似合わない、その小さな背中が、見えなくなるまで。


終わり。



687 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:15:05.22 ID:cBgISVOOO
('A`)丘の上のようです
>>674>>676-678>>680>>683>>686


初投下でした。
アドバイスとかあればお願いします。

支援ありがとうございました。




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